アレッポ市東部の反体制武装集団支配地域からの戦闘員、住民の退去は実施されず、戦闘が再開(2016年12月14日)

アレッポ県では、AFP(12月14日付)によると、反体制武装集団が籠城を続けるアレッポ市南東部の南側のサラーフッディーン地区、マシュハド地区、アンサーリー地区に対して、シリア軍が砲撃・空爆を実施し、反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室、ないしはアレッポ軍)と激しく交戦した。

同地では、14日午前5時から、戦闘員と住民の退去が開始されることで、ロシア軍と反体制武装集団がトルコの仲介で合意していたが、同監視団によると、シリア軍の攻撃再開により「事態は振り出しに戻った」という。

これに関して、シャーム戦線はSNSを通じて、ジスル・ハッジ地区のシリア軍拠点をグラード・ロケットで砲撃したと発表した。

また、ムスリム・アブー・サッルームを名乗る反体制活動家は、ARA News(12月14日付)に対して、シャーム・ファトフ戦線の戦闘員が、爆弾を積んだ自動車でシリア軍の拠点に対して自爆攻撃を行ったと述べた。

なおシリア人権監視団によると、反体制武装集団が籠城する街区には、退去を希望する約1万5,000人がとりのこされたままで、うち約5,000人が武装集団戦闘員、のこり約10,000人がその家族や一般の住民だという。

一方、SANA(12月14日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のアレッポ市各所(ハーリディーヤ地区、ナイル通り地区、ファイイド地区、スッカリー地区、フィルドゥース地区、サーリヒーン地区)に対して砲撃を加え、シリア・アラブ・テレビ(12月14日付)によると住民7人を殺害、数十人を負傷させた。

アレッポ市で籠城を続ける反体制武装集団に所属する「穏健な反体制派」の一つのヌールッディーン・ザンキー運動の政治局メンバーであるヤースィル・ユースフ氏は、戦闘員や住民の退去が開始されたなかったことに関して、合意内容に「退去希望者の氏名を追加しない」との規定があることが主因だと指摘、「政府軍とイラン人は合意履行を妨害し、アレッポ市以外の問題、とりわけイドリブ県の反体制派が包囲しているフーア市やカファルヤー町の問題と停戦履行を結びつけようとしている」と非難した。

SANA, December 14, 2016

SANA, December 14, 2016

AFP, December 14, 2016、AP, December 14, 2016、ARA News, December 14, 2016、Champress, December 14, 2016、al-Hayat, December 15, 2016、Iraqi News, December 14, 2016、Kull-na Shuraka’, December 14, 2016、al-Mada Press, December 14, 2016、Naharnet, December 14, 2016、NNA, December 14, 2016、Reuters, December 14, 2016、SANA, December 14, 2016、UPI, December 14, 2016などをもとに作成。

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