2011年2月3日のシリア情勢

2月4、5日に予定されている反体制デモ「シリア怒りの日」に対抗するべく、携帯電話のSMSにバッシャール・アサド大統領を支持するメッセージが配信される。

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『クドス・アラビー』2月2日付、Kull-na Shurakā’, February 3, 2011によると、「シリア怒りの日」に反対するページがフェイスブックに立ち上げられる。これにより、フェイスブック上で、アサド政権を支持するブロガーと反体制ブロガーの「ネット戦争」が激化。

シリア国内でのフェイスブックへのアクセスが規制を受けるなか、在外居住者によると思われる様々なページが登場している。これらのページは、首都ダマスカスでシリアの現体制に反対する抗議行動を呼びかけている。代表的なページとしては「シリア怒りの日」、「シリア革命」がある。

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これに対して、この呼びかけを拒否し、アサド大統領への愛を誇示し、彼を「レジスタント、勇敢」と称賛するページも数多く作られている。こうしたページのなかでもっとも代表的なのが、「2月5日[にデモ実施を呼びかける]立場に反対」、「シリア怒りの日に反対」、「シリアをアッラーが護らんことを」などであり、いずれもシリアの地図にアサド大統領の顔をあしらい、「我々は彼を愛している」という言葉が書かれた写真を掲げている。

「シリア怒りの日」のなかで作成者は次のように書いている。「我々の決行日は2月4日の金曜礼拝の後である…。我々の決行日は変革とともにある…。我々とともに平和的デモに参加しよう…。シリアのすべての都市で…。我々の要求が実現されるまで」。

反体制ブロガーたちはまた、彼らが「自由シリア人」と呼ぶ在外居住者に対して、同じ日時に居住地のシリア大使館前でデモを行うよう呼びかけている。この呼びかけはとりわけヨルダン、イエメン、トルコ、カタール、イラク、レバノン、ロンドン、米国、イタリア、デンマーク、スウェーデン、フランス、ドイツ、カナダ、ノルウェー、オランダに対して向けられている。

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一方、「あなたのプロフィール写真をレジスタンスする指導者バッシャール・アサドの写真へ替えよ」と題したページは次のようなメッセージを載せている。「シリアの旗と指導者バッシャールの写真を各人の窓やバルコニーに掲げよう。その日は、国中をシリアの旗とレジスタントであるバッシャール・アサドの写真で飾ろう。自らの手で、その日を誇りの日としよう。シオニズムの汚れを知らず、世界の諸国民のなかで尊厳を護り、勇気と能力をもって諸権利と公正なアラブの大儀を常に支持し、不正に喘ぐ人に対して門戸を開け放ち、その権利回復を支援してきた白い手で。これこそ、我々自身があなたに対して誇るゆえんなのである」。

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治安当局は、ジャズィーラ、アラビーヤなどアラブ諸国の主要なメディアに対して、シリアでのデモや暴動に関して報道しないよう警告。

シリア近代民主主義党、自由シリアなどの反体制組織のウェブサイトがサイバー攻撃を受ける。なおシリア・ムスリム同胞団のウェブサイトも201年1月にサイバー攻撃を受けていた。

Akhbar al-Sharq, February 3, 2011, Kull-na Shurakā’, February 3, 2011, February 4, 2011、al-Quds al-ʻArabī, February 2, 2011などをもとに作成。

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