2012年6月20日のシリア情勢

国内の暴力

アレッポ県では、ロンドンで活動する反体制勢力のシリア人権監視団によると、対トルコ国境のクルド山地方で、軍・治安部隊と反体制武装集団が未明から激しく交戦し、前者の兵士少なくとも20人、後者の戦闘員5人が死亡した。

戦闘は同地方のマルジュ・ザーウィヤ村で激しく行われ、軍・治安部隊は周辺の村々の建物を砲撃で破壊した、という。

また、軍・治安部隊の兵士数十人が負傷、士官1人を含む複数の兵士が捕虜となった。

なおシリア人権監視団など反体制組織や西側メディアはクルド山をラタキア(市/県)郊外としているが、行政上はアレッポ県に属する。

「ラタキア(市/県)郊外」とするのは、アサド政権の地盤地域である同県で交戦があったと宣伝することで、反体制武装集団の攻勢とアサド政権の弱体化をアピールすることが狙いだと思われる。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団およびSANA(6月20日付)によると、サイイダ・ザイナブ町でシーア派の宗教関係者アブドゥルクドゥース・ジャッバーラ師が暗殺された。

またハラスター市(マイサート地区・ルクンッディーン区間の街道)でシリア軍の軍医ガッサーン・アブー・ダハブ准将の乗った車の近くで爆弾が爆発し、同軍医が暗殺された。

シリア人権監視団によると、ハラスター市では治安部隊の発砲で1人が殺害され、また離反兵の士官が負傷、死亡した。

ドゥーマー市でも、軍・治安部隊の掃討作戦により4人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市クスール地区で治安部隊の発砲により1人が死亡した。

一方、SANA(6月20日付)によると、同県西部の油田地帯の施設を武装テロ集団が襲撃、警備隊が応戦し、テロリスト多数を殺害、逮捕した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、バーブウィーン村で何者かが市民1人を殺害した。

またマアッラト・ヌウマーン市では、激しい銃声や爆発音が聞こえたという。地元調整委員会によると、軍が戦闘機を上空に旋回させ、攻撃を行った、という。

一方、SANA(6月20日付)によると、ザーウィヤ山のイブリーン村、バルシューン村で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト4人を殺害した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ラターミナ町で軍・治安部隊の攻撃で女性1人を含む2人が死亡した。

またカルアト・マディーク町が軍・治安部隊の砲撃を受けた他、ハマー市で軍・治安部隊による掃討作戦が続いた。

一方、SANA(6月20日付)によると、ハマー市の複数箇所で武装テロ集団が発砲し、市民5人が死亡した。

また同市内で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を死傷させた。

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ヒムス県では、SANA(6月20日付)によると、ヒムス市、ラスタン市で軍・治安部隊による治安回復作戦が継続され、多数のテロリストを殺傷した。

また武装テロ集団はヒムス・ミスヤーフ街道に架かる橋を爆弾で破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、市民1人が死亡した。

また地元の活動家(ジャーナリスト)がAFP(6月20日付)に語ったところによると、ダーイル町が始めてヘリコプターによる攻撃を受けた。だが、この活動家はハマー市での軍・治安部隊の掃討作戦についても情報を発信しており、発言の真偽には疑問の余地が残る。

イタリア外務省は、ANSA通信のクラウディオ・アコーリ(Claudio Accogli)記者が乗った車など3台からなる車列がダマスカス県の南約100キロの地点で攻撃を受け、同記者が負傷した、と発表した。

SANA(6月20日付)によると、「武装テロ集団」によるこの襲撃で、治安維持部隊の士官1人が犠牲となった。

諸外国の動き

ヨルダン国王アブドゥッラー2世は、『ハヤート』(6月20日付)とのインタビューで、ヨルダンがシリアの危機の「政治的解決以外のオルターナティブはないと我々は考えているし、大多数も考えている。軍事介入は事態を複雑にし、地域全体の安全保障を危機に曝す」と述べた。

AFP, June 20, 2012、Akhbar al-Sharq, June 20, 2012、al-Hayat, June 20, 2012、June 21, 2012、Kull-na Shurakāʼ, June 20, 2012、Naharnet.com,
June 20, 2012、Reuters, June 20, 2012、SANA, June 20, 2012などをもとに作成。

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