2014年1月6日のシリア情勢

反体制勢力の動き

『ハヤート』(1月7日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家運動などとの対立を解消するため、シリア・イスラーム評議会、イスラーム改革建設運動といったシリア人ウラマーの団体が仲介をめざしている、と報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長(5日に再選)は、トルコのイスタンブールで開催中の総合委員会で「連立はシリア国民の唯一の正統な代表として、シリア革命が求めてきた最低限の要求も譲歩しない」と意気込みを示した。

また前日の選挙で過半数に達しなかった副議長1人と書記長の再選挙が行われた。

副議長選挙は、ファールーク・タイフール副議長(シリア・ムスリム同胞団)とジョルジュ・サブラー・シリア国民評議会事務局長が立候補し、タイフール氏が再選された。

事務局長選挙は、バドル・ジャームース事務局長とムスタファー・サッバーグ前事務局長(地元評議会ブロック)の間で争われるはずだったが、サッバーグ氏が立候補を取り下げ、ジャースィム氏が無投票当選した。

事務局長選挙に関して、クッルナー・シュラカー(1月6日付)は、トルクメン運動のズィヤード・ハサン氏の話として、サッバーグ氏が、正副議長のほとんどが再選したことを不服とし、立候補を取り下げるとともに、自らが率いる地元評議会ブロックのメンバーや支持者に総合委員会のボイコットを呼びかけ、約40人がこれに応じ、文書で脱会を表明したと報じた。

アナトリア通信(1月7日付)が入手した脱会者の共同声明によると、シリア革命反体制勢力国民連立からの脱会を表明した組織、代表メンバーは以下の通り:

組織

1. トルクメン運動
2. シリア・ビジネスマン・フォーラム
3. 地元評議会ブロック
4. シリア革命司令最高評議会
5. 自由シリア軍参謀委員会メンバー
6. 愛国的無所属メンバー
7. 革命運動体ブロック
8. シリア国民評議会革命無所属運動体ブロック

脱会者

1. リヤード・ハサン
2. アナス・アルヌート
3. ムハンマド・ムスタファー・ムッラー・ラシード
4. ズィヤード・ハサン
5. ムハンマド・ヤフヤー・マクタビー
6. アブドゥルイラーフ・ファフド
7. ナスル・ハリーリー
8. ズィヤード・ライイス
9. ムスタファー・アリー
10. リヤード・ヒジャーブ
11. カマール・ルブワーニー
12. ジャマール・ワルド
13. ムハンマド・サリーム・ハティーブ
14. スライマーン・ヒラーキー
15. ムハンマド・サフワン・ジャンダリー
16. ハーリド・マスブート
17. ジャラール・ハーンジー
18. ムハンマド・カッダーフ
19. ハーリド・アリー
20. ヤーミン・ジャウハリー
21. ムスタファー・サッバーグ
22. ファイサル・シャーミー
23. ヤースィル・ファルハーン
24. アドナーン・ラフムーン
25. ニザール・ヒラーキー
26. フサイン・サイイド
27. ワースィル・シャマーリー
28. ダーウード・アール・スライマーン
29. ジャワード・アブー・ハトブ
30. ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド
31. ムハンマド・ダギーム
32. ムハンマド・アブー・ハイイル・シュクリー
33. ムハンマド・ハイイル・ワズィール
34. ハーリド・ハウジャ(駐トルコ代表=大使)
35. ムスタファー・サフタ
36. ムスタファー・シャルシュ
37. フアード・アッルーシュ
38. マフナド・イーサー
39. スィーバーン・アフマド
40. ムハンマド・シャッアール
41. ルワイユ・ミクダード

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は執行部の4日に定例会を開き、ジュネーブ2会議などへの対応について協議し、その結果を6日付声明で発表した。

声明において、委員会は、現下の独裁体制から「民主的多元的文民政体」への転換をめざすとの原則を改めて確認し、ジュネーブ2会議がそのための政治プロセスの起点であるべきだと明言した。

また委員会は、「あらゆる形態のテロ」を拒否、「テロとの戦いは独裁制が続く限り不可能だ」と強調した。

国内の暴力

ダマスカス県では、AFP(1月6日付)が複数の活動家の情報として、バルザ区で軍と反体制武装集団が停戦に合意した。

同地区の停戦合意は、12月25日のダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市に次ぐ動き。

バルザ区調整はフェイスブックで「同地区住民からなる委員会を通じた政府軍と自由軍青年の間での過去数日にわたる数々の仲介と交渉の試みを経て、両当事者間で発砲停止が合意された」と発表した。

同調整によると、停戦合意は「アサド軍のバルザ区全土からの撤退、民間人への同地区開放に向けた街道・街路の清掃、政権の拘置所からの逮捕者(バルザ区住民)の釈放」、「公共福祉改善後の住民の帰宅許可」を骨子とし、住民の帰宅は「街道開放、福祉改善、合意履行確認から2週間以内に始められる」と定められているという。

なお同調整は「自由シリア軍がそのメンバーをもって同地区の運営に携わり、政権側のメディアが報じているのとは異なり、誰一人として投降、武装解除しない」と強調した。

これに関して、SANA(1月6日付)は、軍消息筋の話として、軍部隊がバルザ区に入り、重火器の武装解除、住宅地に仕掛けられた爆弾の撤去を行い…、いわゆる自由シリア軍とシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員200人が、バルザ区のシリア・アラブ軍に投降、武装解除した」と報じた。

一方、SANA(1月6日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人運動(イスラーム戦線)などからなる武装集団が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が本部を置くラッカ市の県・市庁舎を包囲、無血開城を求めた。

この要求にダーイシュが応じ、ヌスラ戦線が県・市庁舎に入った。

クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、ラッカ市内での戦闘は依然として続いている、という。

また『ハヤート』(1月7日付)などによると、ダーイシュは、ティシュリーン・ダム「拘置所」、タッル・アブヤド国境通行所など対トルコ国境付近に設置していた検問所複数カ所から撤退した。

同報道によると、「拘置所」や検問所はシャームの民のヌスラ戦線に引き継がれる模様。

一方、シリア人権監視団によると、タブカ市でダーイシュとサラフィー主義武装集団が交戦した。

このほか、『ハヤート』(1月7日付)は、活動家の話として、ダーイシュに忠誠を誓ってきたラッカ県のフザイファ大隊が離反し、シャームの民のヌスラ戦線に忠誠を誓った、と報じた。

フザイファ大隊はラッカ県一帯の部族に強い影響力を持つとされる。

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ハマー県では、クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、カフルズィーター市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と「自由シリア軍」(シリア革命家戦線と思われる)などからなる武装集団が交戦し、外国人5人を含むダーイシュ戦闘員7人と「自由シリア軍」戦闘員17人が死亡した。

カフルズィーター市での戦闘は4日から続いており、戦闘には、「自由シリア軍」のほか、イスラーム戦線が参加、シャームの民のヌスラ戦線とアジュナード・シャーム大隊の仲介のもと、ダーイシュに撤退と武装解除を求めているが、ダーイシュ側は応じないという。

これに関して、『ハヤート』(1月7日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が撤退し、シャームの民のヌスラ戦線が制圧したカフルズィーター市で、ダーイシュに拉致されていた人質3人が遺体で発見されたと報じた。

一方、SANA(1月6日付)によると、ウカイリバート町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヒムス自由人運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、ダーナー市にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の教練所で、ダーイシュとイスラーム戦線が交戦した。

ダーイシュは、同訓練所などを含むダーナー市の拠点をシャームの民のヌスラ戦線に明け渡す決定を下している。

またカフルナブル市のダーイシュ本部跡で、約1週間前にダーイシュによって誘拐したアルメニア教徒2人や子供1人の遺体が発見された。遺体はいずれも頭を切り落とされていた。

このほか、『ハヤート』(1月7日付)によると、ダーイシュが撤退したダーナー市近郊のダイル・ハッサーン村で拉致されていたアフリーン市郊外出身のクルド人市民10人が逃走に成功した。

一方、SANA(1月6日付)によると、ビンニシュ市、マアッラ・シャムシャ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(1月7日付)によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、シャッアール地区、カーディー・アスカル地区でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とムジャーヒディーン軍が交戦する一方、ムジャーヒディーン軍はバーラー村一帯を制圧した。

またアレッポ市のハラク地区、ブアイディーン地区、ブスターン・バーシャー地区、ブスターン・ルッズ通行所一帯で活動するクルド戦線旅団が、ダーイシュ掃討の戦闘に参加した。

さらに『ハヤート』(1月7日付)によると、イスラーム戦線は、対トルコ国境に位置するジャラーブルス市を制圧した。

しかし、クッルナー・シュラカー(1月6日付)によると、ダーイシュがアレッポ市郊外のSyria Live Network(SLN)の事務所を襲撃し、機材などを強奪した。

またシリア革命総合委員会は、複数の活動家の情報として、ダーイシュがアレッポ市などで拉致した反体制メディア関係者ら50人以上を処刑したと発表した。

処刑された活動家のなかには、女性4人も含まれているという。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立は、ムハンマド・ヤフヤー・ナアナーア元アレッポ県知事がフライターン市で何者かに拉致されたと発表した。

他方、シリア人権監視団によると、軍がバザーア村を爆撃し、子供3人を含む10人が死亡した。

またハラブ・ニュース(1月6日付)によると、シリア軍とアブー・イマーラ大隊が捕虜交換に合意、軍は大隊のヤースィル・ファウズィー前司令官(アブー・ジャアファル)を解放した。

なお、SANA(1月6日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、カスキース村、ザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、ヒーラーン村、ハーン・アサル村、マアーッラト・アルティーク村、ナッカーリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ラーシディーン地区郊外、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月6日付)によると、アドラー市(旧市街)、ドゥーマー市、アルバイン市、ハーン・シャイフ・キャンプ、ダーライヤー市、リーマー農場、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民4人が負傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月6日付)によると、アトマーン村、フラーク市、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月6日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ガースィビーヤ村、ダール・カビーラ村、アスマド村、スルターニーヤ村、アクサフ農場、タルビーサ市郊外、ウンム・サフリージュ村、アブー・ジャリース村、マスアダ村、ウンム・リーシュ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月6日付)によると、シャッダーディー市・ハサカ市間の街道で軍が反体制武装集団の拠点を攻撃、戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月6日付)によると、ダイル・ザウル市ラサーファ地区、工業地区、ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、アルディー地区、ダイル・ザウル市・タドムル街道沿いの軍拠点で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

NNA(1月6日付)によると、北部県トリポリ市ザヒリーヤ地区で、何者かが軍の車輌に手榴弾を投げつけ、兵士2人が負傷した。

イラクの動き

ヌーリー・マーリキー首相(兼イラク軍総司令官)は声明を出し、アンバール県ファッルージャ市民および部族に対して、「武力衝突を回避するため市内からテロリストを排除」するよう呼びかけた。

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イラキー・ニュース(1月6日付)によると、イラク空軍はアンバール県ファッルージャ市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車輌2台を破壊し、複数の戦闘員を殺害した。

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バービル県議会治安委員会のサーミル・スィーバーン司令官は声明を出し「武装した何者かがジュルフ・サフル地方の警察署に向かって迫撃砲弾7発を発射し、民間人6人が負傷した」と発表した。

また、バービル県議会治安委員会のファラフ・アブドゥルカリーム・カッファージー委員長はイラキー・ニュース(1月6日付)に対し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員多数がアンバール市方面からバービル県北部に潜入していると述べたうえで、SWAT部隊、連邦警察、イラク軍第31旅団が[テロリストや武装集団」を追撃するための大規模な作戦を開始したことを明らかにした。

諸外国の動き

AFP(1月6日付)は、シリアでの反体制武装闘争に参加していたフランス人サラフィー主義戦闘員のニコラ・ボン氏(30歳)がシリアで自爆攻撃を行い、死亡したと報じた。

ニコラ・ボン氏の弟のジャーン氏(22歳)も2013年8月にシリアでの戦闘で死亡している。

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国連のファルハーン・ハック副報道官は、ジュネーブ2会議へのイランの参加に関して、招聘者リストには記載されていないが、13日に予定されているジョン・ケリー米国務長官とセルゲイ・ラヴロフ露外務大臣との会談でその是非が決定されるだろうと述べた。

Anadolu Ajansı, January 6, 2014、AFP, January 6, 2014、AP, January 6, 2014、Champress, January 6, 2014、Halabnews.com, January 6, 2013、al-Hayat, January 7, 2014、Iraqinews.com, January 6, 2014、Kull-na Shuraka’, January 6, 2014、Naharnet, January 6, 2014、NNA, January 6, 2014、Reuters, January 6, 2014、Rihab News, January 6, 2014、SANA, January 6, 2014、UPI, January 6, 2014などをもとに作成。

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