ダマスカス県とアレッポ市で自由シリア軍が犯行を主張する爆弾テロが発生(2012年5月5日)

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第10期人民議会選挙をめぐる動き

反体制活動家のスライマーン・ユースフ氏は、AKI(5月5日付)に対して、アッシリア教徒とクルド人の反体制活動家は第10期人民議会選挙をボイコットするだろう、と述べた。

SANA, May 5, 2012

SANA, May 5, 2012

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国内の暴力

ダマスカス県とアレッポ市で爆弾テロが発生、アレッポでのテロに関して自由シリア軍のメンバーが犯行を認めた。

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ダマスカス県では走行中の軍用バスを標的とした爆弾テロが発生する一方、サウラ通りの車に仕掛けられた爆弾が爆発し、兵士3人が負傷した。

この事件に関して、イマードを名のる反体制活動家は、「我々は外国の記者にダマスカスが沈黙している訳ではないことを明らかにしたい」と述べた。

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SANA, May 5, 2012

SANA, May 5, 2012

アレッポ市での爆破テロは、タッル・ザラーズィール地区の洗車スタンドを標的としたもので、自由シリア軍が同スタンドの店主がある女性を夫の目前で強姦したことへの制裁として行ったとロイター通信(5月5日付)に発表し、犯行を認めた。

シリア人権監視団によると、この爆発で少なくとも5人が死亡した。

一方、SANA(5月5日付)によると、このテロで子供1人を含む3人が死亡し、21人が負傷した。

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その他、ダマスカス県では、反体制活動家らによると、カフルスーサ区、タダームン区で4日のデモの犠牲者の葬儀が行われ、参列した「数千人」が反体制デモを行った。

また、バルザ区、カーブーン区で軍・治安部隊が大規模な逮捕・摘発活動を展開、またサブア・バフラート地区で厳戒態勢が強化された。

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アレッポ県では、SANA(5月5日付)によると、軍医のイスマーイール・スライマーン大佐がアレッポ市で武装テロ集団に暗殺された。

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ダイル・ザウル県では、反体制活動家らによると、アレッポ大学学生寮でのデモ弾圧に抗議して、ダイル・ザウル市の学生がデモを行った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ミスヤーフ市でサアド・ムスタファー・ハッシュ弁護士が治安当局に逮捕された。

またラスタン市では、軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

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イドリブ県では、SANA(5月5日付)によると、対シリア国境地帯で、トルコ領から密入国を試みた武装テロ集団と国境警備隊が交戦し、国境警備隊1人とテロリスト多数が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、同県でバアス党の地元幹部が「武装した何者か」に殺害された。

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スワイダー県では、『クッルナー・シュラカー』(5月5日付)によると、スワイダー市で反体制デモが発生した。

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自由シリア軍は声明を出し、マーヒル・アサド大佐に近いアドナーン・ザイダーン・ディーブ空挺准将(第4師団)を暗殺した、と発表した。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(5月5日付)は、シリアの主要なメディアが武装テロ集団のリーダーの一人と報じていたガッサーン・サルワーヤ容疑者(通称アブー・ナズィール)が、アサド政権に近いビジネスマンのアイマン・ジャービル氏に買収されていた、と報じた。

Kull-na Shurakā’, May 5, 2012

Kull-na Shuraka’, May 5, 2012

複数の匿名筋によると、サルワーヤ氏が精神病であり、ジャービル氏によって武器や資金を与えられ、破壊工作を行っていたとの証言を行った、という。

反体制勢力の動き

第147空挺連帯のガーズィー・ジャービル・アッブード准将が離反を宣言した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権がUNSMIS隊員の国籍を制限していることを批判し、こうした制約のもとではUNSMISが本来の任務を遂行し得ないと主張した。

その他の国内での動き

SANA(5月5日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場に多くの市民が集まり、アサド政権による改革路線支持、シリアに対する陰謀への抵抗を訴えた。

SANA, May 5, 2012

SANA, May 5, 2012

レバノンの動き

レバノン・シリア最高議会のナスリー・フーリー議長はアドナーン・マンスール外務大臣と会談し、レバノンからの武器密輸問題に対するナジーブ・ミーカーティー内閣の対応に関して「私はシリアがレバノンの内閣のパフォーマンスを不快に感じているとは思わない」と述べた。

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UNHCRは、シリアからレバノンへの避難民の数が24,000人に達したと発表した。

AFP, May 5, 2012、Akhbar al-Sharq, May 5, 2012、AKI, May 5, 2012、al-Hayat, May 6, 2012、Kull-na Shuraka’, May 5, 2012、Naharnet.com, May 6, 2012、Reuters, May 5, 2012、SANA, May 5, 2012などをもとに作成。

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