SANA(3月1日付)は、2月28日にダマスカス県ヒジャーズ駅前の中央郵便局で発生したデモに関して、公式筋の話として補償金支給に関する情報は「根拠がない」と報じるとともに、国民に対して「国民の生活状況改善のために政府が行うあらゆる措置に関して、公式の発表のみに従う」よう呼びかけた。
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『ハヤート』(3月2日付)は、シリアの信頼できる複数の消息筋が「デモ実施の呼びかけ(怒りの日)が失敗した後に、特定の場所に集まるよう国民に呼びかけ、抗議行動が行われているように思わせようとする噂」が広まった結果、事件が発生したと見ていると報じた。
同消息筋は次のように述べた。
シリアでは多くの噂が流れている。そのほとんどが生活状態に関わるもので、特定の場所に集まるよう国民に呼びかけている。そのねらいは、こうした噂を利用して、シリア国内で抗議行動が行われていると思わせることにある。とりわけ、シリア各都市でデモを実施することでその安定を揺るがそうとする偽りの呼びかけに国民が同調しなかったことを受け、このような噂が広まっている。
もっとも最近の噂は、一部の国民の間で広まったもので、ダマスカス県の郵政公社ビル前で女性に対して補償金が分配されるという内容だった。これにより数百人の女性が同ビル前に集まった。
だが、これらの噂は根拠がなく、シリアで実施されている一貫した制度化された施策とは相容れない。
このような噂は、民衆による抗議集会が行われていると思わせることをねらっている。
女性たちが集まったのと同じ場所で映像を録画している者が何人かいたことは、この噂の流布の背後に悪意があることを示している。これらの者たちはおそらく何の躊躇もなく、社会の一部の階層が必要とするものを、シリアの安全を揺るがす継続的な試みに合致するような複数の目的のために利用するだろう。そしてこれらの目的とは最近のデモの呼びかけのなかに見てとれる。
多くのシリア人は、フェイスブックで架空の名前を用いて先月初めになされたデモの呼びかけには同調しなかった。
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『クッルナー・シュラカー』(3月1日付)によると、シリア関係当局は全国各地でさまざまな階層を対象に世論調査を実施し、国内での改革の必要性や優先順位、そしてアラブ諸国での政変に関する意見を聴取した。
al-Hayat, March 2, 2011、Kull-na Shuraka’ March 1, 2011, March 2, 2011、SANA, March
2, 2011などをもとに作成。
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