反体制系サイトのジャディード・チャンネル(8月10日付)は、「アラブの春」が波及した2011年春以降、シリア政府支配地域で死亡した犠牲者の数が40万人以上に上っていると伝えた。
同サイトによると、ダマスカス大学医学部法医学学科長のフサイン・ヌーファル氏が、シリア国内の病院が公式に記録してきた犠牲者数をもとに、死者数を推計、シリア政府支配地域で死亡が確認された死者だけで40万人を上回っていることを明らかにした。
この40万人が、民間人なのか兵士なのかは明示されていないが、シリア政府支配下の病院に搬送された兵士の数は、民間人の2倍に及んでいるという。
ヌーファル氏はこの数値があくまでも推計だとしたうえで、シリア政府の支配下にない地域での犠牲者数に関する信頼できる正確なデータが得られれば、犠牲者数はさらに増加するだろうと述べている。
なお、ヌーファル氏によると、ダマスカス県とダマスカス郊外県の病院が受け入れる犠牲者の数は1日約40体、負傷者は約150人に及んでおり、負傷者数は死者数の約10倍の400万人に達すると推計されるという。
一方、シリアの反体制派支配地域での犠牲者数のみを発表するシリア人権ネットワークによると、シリア政府の支配下にない地域での民間人の死者数は20万7,000人を記録、うち19万5,000人がシリア政府ないしはその同盟者によって殺害されたと断じている。
AFP, August 10, 2017、AP, August 10, 2017、ARA News, August 10, 2017、Champress, August 10, 2017、al-Hayat, August 11, 2017、al-Jadid TV, August 10, 2017、Kull-na Shuraka’, August 10, 2017、al-Mada Press, August 10, 2017、Naharnet, August 10, 2017、NNA, August 10, 2017、Reuters, August 10, 2017、SANA, August 10, 2017、UPI, August 10, 2017などをもとに作成。
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