バーニヤース市でデモが行われ死傷者が発生、潘国連事務総長は政権によるデモ弾圧への懸念と不快感を表明(2011年4月10日)

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国内の暴力

タルトゥース県バーニヤース市で、9日晩から「自由」を求めるデモが発生し、複数の目撃者によると、治安部隊がデモ参加者に発砲、『ハヤート』(4月10日付)によると、4人が死亡(ただし、BBCは死者数を6人、「アフバール・シャルク」は14人と報じた)、約20人が負傷した。

人権活動家の一人がAFP(4月9日付)に述べたところによると、「治安部隊がラフマーン・モスク周辺で発砲し、4人が死亡、少なくとも20人が死亡した…。死傷者は市内中心の総合病院に搬送され…、モスクのミナレットから、救急治療のため総合病院に向かうよう医師に呼びかけが行われたが、住民は被害発生直後、外出を禁じられた」という。

また目撃者の一人はAFP(4月9日付)に対して、「シリアの治安部隊がバーニヤース市郊外のラアス・ナブア地区にあるラフマーン・モスク周辺の群衆に2時間にわたり発砲した」と述べ、同モスクが「市内での一連の抗議行動の中心だった」ことを明らかにした。

さらに別の目撃者がロイター通信(4月9日付)に述べたところによれば、「非正規」軍がアブー・バクル・スィッディーク・モスクを護っていた人々に向けて発砲し、5人が負傷した、という。

彼らは棍棒で武装しモスクを護っていたところを、高速で通り過ぎる車から自動小銃で銃撃された。

アブー・バクル・スィッディーク・モスク周辺での事件に関して、AFP(4月9日付)は、複数の目撃者の話として、デモ参加者が「体制打倒」のシュプレヒコールを連呼していた、と報じた。

このほか、複数の住民によると、バーニヤース石油精製所近くに戦車が展開し、複数の活動家によると、市内では地上電話、携帯電話ともに不通となった。

これに対し、SANA(4月10日付)は公式筋の話として、「バーニヤース市を通るラタキア・タルトゥース街道を移動していた軍の部隊が武装集団の要撃を受け、士官1人が戦死、1人が重体、複数の兵士が負傷した」と報じた。

同報道によると、「関係機関が武装集団を追跡し、彼らを逮捕、司法当局に突き出した」という。

なおその後、SANA(4月12日付)は死亡した兵士の数が9人(うち士官2人)だったと発表した。

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ダイル・ザウル県では、「アフバール・シャルク」(4月11日付)によると、ダイル・ザウル市内で犠牲となった市民の葬儀の参列者らが、バーニヤース市に対する弾圧に抗議するデモを行った。

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ダマスカス郊外県では、「アフバール・シャルク」(4月11日付)によると、ムウダミーヤト・シャーム市では、バーニヤース市に対する弾圧に抗議するデモが発生した。

アサド政権の動き

『ハヤート』(4月11日付)は信頼できる消息筋の話として、アサド大統領がドゥーマー市の使節団と会見し、同市で最近発生したデモでの「殉教者への弔意」を示したと報じた。

同報道によると、アサド大統領はこの会見でドゥーマーでの事件に関して住民の意見に耳を傾ける一方、使節団は祖国の安全と安定への熱意と、暴力や破壊への拒否の姿勢を示し、ラタキア市とダルアー市でのデモ発生後に設置された「調査委員会の調査対象がドゥーマー市にも拡大されたこと」への安堵感を表明した、という。

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SANA(4月10日付)は、アサド大統領がブルガリアのニコライ・ムラデノフ外務大臣との会談で、「シリアは包括的改革の途上にあり、欧州諸国の経験を役立てるべく開放的になっている」と述べたと報じた。

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ダルアー県選出のナースィル・ハリーリー人民議会議員はBBC Arabic(4月10日付)に対して、ダルアー市での治安部隊による発砲を批判し、アサド大統領に事件の真相調査と「流血沙汰」を停止させるための介入を求めた。

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『ワタン』(4月11日付)は、人民諸委員会高官の一人アドナーン・シャーウール氏の話として、当局がドゥーマー市でのデモに際して逮捕した191人を釈放したと報じた。

諸外国の動き

潘基文国連事務総長は声明を出し、アサド大統領と電話会談し、平和的デモ参加者の犠牲について「調査実施の決意」を告げられたことを明らかにした。

また電話会談で、潘事務総長はデモ弾圧への懸念と不快感を表明し、アサド大統領に対して「政府は市民を保護し、言論や平和的デモ実施といった権利と自由を保護しなければならない」と述べ、逮捕者の即時釈放を求めた、という。

AFP, April 10, 2011、Akhbar al-Sharq, April 10, 2011, April 11, 2011、BBC Arabic, April 10, 2011、al-Hayat, April 11, 2011, April 13, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 10, 2011、Reuters, April 10, 2011、SANA, April 10, 2011, April 12, 2011、al-Watan, April 11, 2011などをもとに筆者作成。

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