アサド大統領がアーディル・サファル暫定移行内閣農業・農業改革大臣に対し組閣を指示(2011年4月3日)

アサド政権の動き

SANA(4月3日付)によると、アサド大統領は、政令第134号を発し、アーディル・サファル暫定移行内閣農業・農業改革大臣に組閣を指示した。

al-Hayat, April 4, 2011

al-Hayat, April 4, 2011

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SANA(4月3日付)によると、アサド大統領は、公務員、国営セクター、人民諸組織を定年退職した民間人、軍人双方の健康保険などに関する政令を発したと報じた。

同報道によると、これまで定年退職者に対する健康保険は任意であったが、この政令によって、国庫が定年退職者の健康保険年金の62%以上を負担し、残りの年金分を定年退職者が負担することになる、という。

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「アフバール・シャルク」(4月3日付)は、政権支持者がモスクで礼拝するかのような姿勢でアサド大統領の写真にひれ伏し、忠誠を示している、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(4月3日付)によると、ダマスカス大学当局は午後5時以降の大学寮(マディーナ・ジャーミイーヤ)への訪問を禁じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(4月4日付)などによると、ドゥーマー市(人口約12万人)で、1日(金曜日)の自由を求めるデモで犠牲となったデモ参加者8人の葬儀に数千人が参列した。

Kull-na Shurakāʼ, April 3, 2011

Kull-na Shurakaʼ, April 3, 2011

情報表現の自由国民センター(2009年に閉鎖)のマーズィン・ダルウィーシュ所長は、AFP(4月3日付)に対して「葬儀には数万人が参列し、殉教者をたたえ、自由を求めるスローガンを連呼した」と述べた。

また同所長によると「デモ参加者のなかには、政権打倒を求めるシュプレヒコールを叫ぶ集団も含まれていた」という。

『ハヤート』(4月4日付)などによると、ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、6時間にわたりインターネットが停止する一方、携帯電話はほぼ不通状態となった、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、治安部隊がダイル・ザウル市で17人を逮捕した。

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ダルアー県では、活動家によると、ダルアー市の弁護士組合本部前で弁護士約50人がデモを行い、逮捕中の弁護士の釈放を要求した。

またダルアー市住民の一人によると、シリア当局は1日のデモに参加し逮捕されていた約90人を3日未明に釈放した。

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フェイスブックの「バッシャール・アサドに対するシリア革命」ページは、サファル大臣への組閣命令を受けて、段階的な抗議運動を呼びかけた。

この抗議行動は5日の各地での反体制デモ、6日の携帯電話会社へのボイコット、そして7日(バアス党創設記念日)のバアス党本部前でのデモからなる。

反体制勢力の動き

Kull-na Shurakāʼ, April 3, 2011

Kull-na Shurakaʼ, April 3, 2011

ハリール・マアトゥーク弁護士によると、司法当局は女性人権活動家のスハイル・アタースィー氏の保釈を決定した。

アタ-スィー氏は3月16日にダマスカス県の内務省本庁前での政治犯家族による座り込みを主導し逮捕されていた。

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『クッルナー・シュラカー』(4月3日付)によると、詩人のムハンマド・アラーッディーン氏はアサド政権によるデモ弾圧に抗議し、アラブ作家連盟の脱退を宣言した。

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在外シリア人約100人が連名で声明を出し、「シリアにおけるインティファーダ」支持を表明した。

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ロンドンのシリア大使館前で反体制活動からが自由を求めるデモを実施した。

デモ開始直後、アサド政権支持者約20人を乗せた車数台が現場に駆けつけ、デモ妨害を試みたが、警官隊に阻まれて失敗に終わった。

諸外国の動き

『クッルナー・シュラカー』(4月3日付)によると、オーストラリアのシドニーでアサド政権を支持するデモ行進が行われ、約5,000人が参加した。

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アサド大統領は、イラクのヌーリー・マーリキー首相から書簡を受け取った。

同書簡は「シリア・イラク二国間関係」に関するもので、「シリアの安定を標的とする陰謀に曝されるなかで、イラク政府が、シリアを支持することが確認されていた」という。

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米国は「政治的暴力や市民に対する暴力継続の可能性がある」との理由で、政府職員(大使館職員など)家族のシリア出国を認め、米国人のシリアへの渡航に対する警戒レベルを高めたと発表した。

AFP, April 3, 2011、Akhbar al-Sharq, April 3, 2011、al-Hayat, April 4, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 3, 2011、Reuters, April 3, 2011、SANA, April 3, 2011などをもとに筆者作成。

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