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反体制デモ・国内の暴力
「アフバール・シャルク」(4月4日付)は、複数の市民の話として、ダルアー市内のウマリー・モスク周辺での住民らによる座り込みの強制排除を試みたが失敗した、と報じた。
同報道によると、治安部隊は依然としてモスクを包囲している、という。
一方、AFP(4月4日付)は、ダルアー県の人権活動家が住民の要求が「治安機関の権限の制限、非常事態令下での治安機関の活動停止、所有権侵害の禁止、逮捕者釈放、一般的自由を保障するための法改正」にあるとしたうえで、「県知事任命は、ダルアー住民の要求実現の保証にはつながらない」と述べたと報じた。
また弁護士約50人がダルアー市内の弁護士組合本部前でデモを行い、同僚弁護士の釈放を求め、こうしたなか、AFP(4月4日付)によると、身柄拘束中だったハッサーン・アスワド弁護士とアフマド・カークーニー弁護士が釈放された。
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ヒムス県では、「アフバール・シャルク」(4月4日付)によると、ヒムス市のバイヤーダ地区、ハーリディーヤ地区で座り込みを行う若者らを治安部隊が包囲した。
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ダマスカス郊外県では、「アフバール・シャルク」(4月4日付)によると、キスワ市でダルアーとの連帯や自由を求めるデモが発生した。
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SANA(4月4日付)は、ラタキア県警のカマール・ファティーフ署長の話として、早朝に収監者の一人がラタキア中央刑務所内の一区画でスポンジ製の枕や寝具用毛布に放火した、と報じた。
同報道はまた、この騒ぎに「警察部隊が介入し、直ちに消火作業にあたり、収監者を避難、救出した。収監者の判断で、監房には内側から鉄の錠で施錠されていたため、警察部隊はセメントの壁に換気用の穴を二つ空け、迅速な救急活動を可能とし、国立病院に25人の収監者を搬送した。うち8人は窒息状態と重度の火傷により重体である」と続けた。
ファティーフ署長はさらに警官2人が負傷したとしたうえで、同区画が殺人や麻薬犯罪などの刑事犯罪者専用で、無期刑の収監者もいることを明かした。
アサド政権の動き
SANA(4月4日付)によると、アサド大統領は昨日(4日)、先月末に「解任」されたファイサル・クルスーム氏の後任としてムハンマド・ハーリド・ハンヌース氏をダルアー県知事に任命した。
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『ワタン』(4月4日付)は、非常事態令解除に関する委員会に関して、「必要な法案作成を終えようとしている」としたうえで、「委員会は新立法の作成にあたって、米国、英国、フランスでの国民と市民の安全維持の法に関する経験や立法に依拠し」、また「シリア国民の尊厳とその安全維持を同時に保障する明快な均衡」に立脚している、と報じた。
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「アフバール・シャルク」(4月11日付)は、治安当局は、シリアの公式メディアなどが抗議運動の背後にいると疑うアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領の支援者2人、ムハンマド・アラー・ビヤースィー氏とアフマド・ムーサー氏を逮捕した、と報じた。
反体制活動家の動き
APF(4月4日付)は、リーバール・アサド氏(リフアト・アサド副大統領の息子)が、アサド政権によるデモ弾圧に関して、「反体制勢力が要求する民主的改革を早急に実行せねば、内戦に陥る」と警鐘をならした。
リーバール氏はロンドンでシリア民主主義自由機構と称する政治団体を指導している。
諸外国の動き
AFP(4月5日付)は、IAEAの報道官の話として、IAEAの査察団がヒムスで調査を行ったと報じた。
AFP, April 4, 2011、Akhbar al-Sharq, April 4, 2011, April 5, 2011, April 11, 2011、al-Hayat, April 5, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 4, 2011、Reuters, April 4 ,2011、SANA,
April 4, 2011、al-Watan, April 4, 2011などをもとに作成。
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