2014年1月13日のシリア情勢

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会の広報局は声明を出し、ジュネーブ2会議への参加を求める国連の潘基文事務総長の招待状(シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長宛ての招待状の写し)を受け取ったと発表した。

Kull-na Shuraka', January 13, 2014

Kull-na Shuraka’, January 13, 2014

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イスラーム戦線の政治委員会は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立および同連立を脱会したメンバーに対して、連立を離れ、シリア国内に戻って反体制武装活動に参加するよう呼びかけた。

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ラッカ県で活動してきたラッカ・ニュース・ネットワーク(RNN)が声明を出し、「兄弟での殺し合いがラッカで起きていることを信用しない…。我々はアサド家の悪党からラッカを守ってきたが、今日、我々は誰を信じてよいか、そして誰が敵なのか分からくなった」と主張、同県での取材・報道活動を停止すると発表した。

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『ハヤート』(1月14日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立から脱会を宣言したムスタファー・サッバーグ前事務局長ら44人は共同声明を出し、「現体制の打倒を目的とする」とした連立の基本方針から逸脱した決定をアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長が2013年に行ったことが脱会の理由であることを明らかにした。

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ルワイユ・サーフィー氏は、シリア革命反体制勢力国民連立の指導部の説得に応じ、連立からの脱会を撤回すると発表した。

シリア政府の動き

シリア外務在外居住者省は声明を出し、「シリア・アラブ共和国はパリで行われた「シリア国民の敵会合」とそこでの声明が、真実ではなく幻想に近く、現実から乖離した者たちから発せられているに過ぎず、許容可能ないかなる政治的論理からもほど遠いことに違和感を感じない…。ジュネーブ2会議を前にしたいかなる声明も価値のない言葉に過ぎず、現地での薬湯の敗北を取り繕う無駄な試みだと考えている」と非難した。

そのうえで「シリア・アラブ共和国はジュネーブ2会議への無条件での参加に合意した。なぜならシリア人どうしの対話こそが解決策だからだ。これに対し、前提条件を設けようとする者は…大会開催前にそれを失敗に追い込もうとしている。こうした幻想は国連憲章、国際法に反している」と付言した。

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軍武装部隊総司令部は声明を出し、国防隊の支援を受けた軍部隊が12日にアレッポ県アレッポ市東部のナッカーリーン地方、ザルズール地方、タアーナ地方、スバイヒーヤ地方、53高地を制圧、多数の「外国人テロリスト」を殺害、武器弾薬を押収し、同地の治安を回復し、アレッポ国際空港周辺地域の治安強化を実現したと発表した。

SANA(1月13日付)が伝えた。

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ラタキア市で与野党参加のもとに開催されていた「第1回シリア政界対話会合」が、外国の干渉拒否、シリア人による対話の継続、シリア軍によるテロとの戦いを支持する声明を出し閉幕した。

SANA(1月13日付)が伝えた。

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アサド大統領は2014年政令第3号を発し、販売目的での自動車の輸出を禁じるとともに、国内で登録された自動車を1年間以上、国外に放置することを禁じた。

SANA, January 13, 2014

SANA, January 13, 2014

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シリア革命総合委員会は、女性200人が過去数ヶ月間で共和国護衛隊に志願入隊し、狙撃兵としてダマスカス県カーブーン区、ダマスカス郊外県ハラスター市などに配属されていると主張した。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がバーブ市、バザーア村でイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線などとの戦闘の末、同市を制圧し、戦闘員数十人を捕捉した。

これに対し、イスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線は、対トルコ国境のジャラーブスル市に向かって進軍し、ダーイシュとの戦闘の末、市内にある郵便局、文化センター、拘置所などを制圧した。

一方、SANA(1月13日付)によると、アレッポ市旧市街、アアザミーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハーン・ハフィーラ村、バーブ市東部、フライターン市、ハイヤーン町、アレッポ中央刑務所周辺、バービース村、マアーッラト・アルティーク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がカンタリー地方でイスラーム戦線シャーム自由人イスラーム運動の部隊を要撃し、戦闘員数十人を殺害した。

同部隊はラッカ県からハサカ県に途中に要撃を受けたという。

同監視団によると、ダーイシュはシャーム自由人イスラーム運動の戦闘員46人を殺害・処刑したという。

また、クッルナー・シュラカー(1月13日付)は、メディア筋の話として、ダーイシュがラッカ市を「完全制圧」しておらず、ラッカ革命家旅団などと交戦が続いていると報じた。

一方、シリア革命総合委員会は、ダーイシュがタッル・アブヤド市の国境通行所をハムザ・アサド・アッラー旅団に明け渡す一方、トルコ政府がシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣に対して、同通行所を恒久的に完全閉鎖すると告知したと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、バーディヤ地方でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が反体制武装集団の戦闘員14人を殺害した。

一方、SANA(1月13日付)によると、ヒムス市カラービース地区、クスール地区、ダール・カビーラ村、ガースィビーヤ村、サアン村、タルビーサ市郊外、タッルカラフ市郊外、カンヌ山で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市マイダーン地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、複数の市民が負傷した。

SANA, January 13, 2014

SANA, January 13, 2014

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍がダーライヤー市で反体制武装集団と交戦、同市を爆撃する一方、ザバダーニー市、ドゥーマー市郊外、ナバク市周辺、ハムーリーヤ市などを砲撃した。

一方、SANA(1月13日付)によると、アドラー市旧市街およびウンマーリーヤ地区、アルバイン市、ダーライヤー市、ムライハ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、ダマスカス県では、PLOのアンワル・アブドゥルハーディー駐シリア大使がAFP(1月13日付)に、ヤルムーク区にUNRWAからの人道支援物資を積んだトラックが入ろうとしたが、激しい銃撃に曝され、同地区への進入ができなかったことを明らかにした。

イスラーム聖戦機構のアブー・ムジャーヒド氏(駐ダマスカス代表)によると、トラックはダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市で銃撃を受け、引き返したという。

これに関連して、シリア人権監視団は、ヤルムーク区で市民が狙撃され、子供1人を含む2人が死亡したと発表した。

一方、SANA(1月13日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(1月13日付)によると、ダルアー各所、ティーハ村、キヒール村、タイバ町・サイダー町間、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(1月13日付)によると、アクラブ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月13日付)によると、カーミシュリー市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月13日付)によると、マアッラトミスリーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

『アフバール』(1月13日付)は、アブドゥッラー・アッザーム大隊の新指導者にサウジアラビア陣の「アブドゥルミスリー」を名乗る人物が就任したと報じた。

同報道によると、アブドゥッラー・アッザーム大隊リーダー兼シャームの民のヌスラ戦線メンバーのマージド・マージド氏が、逮捕・死去の直前、南部県サイダー市にあるアイン・フルワ・パレスチナ難民キャンプで、アブドゥルミスリー氏を後継者として推挙していたのだという。

イラクの動き

アンマール・ハキームSIIC代表は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対するイラク軍の戦いを支持すると改めて述べた。

イラキー・ニュース(1月13日付)が伝えた。

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イラキー・ニュース(1月13日付)によると、アンバール県ラマーディー市で、イラク治安部隊と部族民兵がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

またイラク軍・治安部隊合同司令部は、県ブー・フィラージュ地方で、ダーイシュの戦闘員5人を殺害、拠点を破壊した、と発表した。

一方、イラク軍バグダード作戦司令室は、バグダード県とアンバール県の県境で、軍がダーイシュの戦闘員6人を殺害したと発表した。

諸外国の動き

アフバール・アーン(1月13日付)は、イドリブ県のアブ・バッラーを名乗る活動家の情報として、シリア国内で活動していたトルコ人戦闘員40人以上が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を離れ、ハッジー・バーシャー村経由でトルコに帰国した、と報じた。

SANA, January 13, 2014

SANA, January 13, 2014

トルコ人戦闘員はシリア国内でのダーイシュと反体制武装集団の戦闘激化を受け、ダーイシュを離反したのだという。

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ジョン・ケリー米国務長官、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がパリで会談し、ジュネーブ2会議への対応、とりわけイランの参加の是非について協議した。

会談後の共同記者会見では、ケリー国務長官は、イランの参加に関して「ジュネーブ2会議の目的、すなわちジュネーブ合意への同意」を求めた。

また「イランは、シリアでの戦争に参加する…ヒズブッラーというテロ政党を支援している。またシリア領内にイランの部隊がいる」と指摘・非難した。

これに対して、ブラーヒーミー共同特別代表は、潘基文事務総長が「イランの参加を個人的に支持している」ことを明らかにしつつ、「米国とロシアの双方でコンセンサスに達しなければならず、イラン招待をめぐってコンセンサスがなければ、招待するか否かを決定できない」と述べた。

一方、ラヴロフ外務大臣は、「イランの参加にかかわるイデオロギー的姿勢を捨象」して、イランやサウジアラビアなど、シリア情勢に影響力を持つ国を参加させるべきだと主張した。

またシリアの反体制勢力に関して、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、そして「テロ組織や外国の傭兵」が含まれているイスラーム戦線といった「テロ組織」からなっていると批判、事態に対処するために早急な政治解決が必要だと訴えた。

ケリー米国務長官はまた、12日のカタールのハーリド・アティーヤ外務大臣との会談に続いて、訪問先のパリで、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と個別に会談する一方、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長、ミシェル・キールー氏、ブルハーン・ガルユーン氏と会談した。

ラヴロフ外務大臣も、フランスのローラン・ファビウス外務大臣と会談した。

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イランのモハンマド・ジャワード・ザリーフ外務大臣は、訪問先のレバノンの首都ベイルートでの記者会見で、ジュネーブ2会議について触れ、イランの出席を阻止するために「圧力をかけている」当事者は「将来後悔するだろう」と述べたうえで、イランが参加についていかなる前提条件も設けていないと強調した。

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『ハヤート』(1月14日付)は、サウジアラビアの定例閣議で、パリでのシリアの友連絡グループ(ロンドン11)外相会議の結果の報告がなされ、国際社会に対して、シリア国民の自決および自衛への支援を続けるよう改めて呼びかけた、と報じた。

AFP, January 13, 2014、al-Akhbar, January 13, 2014、Akhbar al-An, January 13, 2014、AP, January 13, 2014、Champress, January 13, 2014、al-Hayat, January 14, 2014、Iraqinews.com, January 13, 2014、Kull-na Shuraka’, January 13, 2014、Naharnet, January 13, 2014、NNA, January 13, 2014、Reuters, January 13, 2014、Rihab News, January 14, 2014、SANA, January 13, 2014、UPI, January 13, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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