国連安保理での対シリア決議に関する審議がロシア・西側諸国間の対立にもかかわらず採決に向けて進行、各地で数万人が金曜礼拝後の反体制デモに参加(2011年9月30日)

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離反兵との戦闘

ヒムス県ラスタン市での軍・治安部隊と離反兵との戦闘が引き続き行われ、シリア人権監視団によると、約250輌の戦車が激しい砲撃を行い、市内の複数の地区で貯水場、発電所などが破壊された。

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ハマー県カフルズィーター市で軍・治安部隊と離反兵が衝突、複数の活動家、目撃者によると、昨日のハマー市での戦闘で少なくとも11人が死亡した。シリア人権監視団によると、11人の内訳は民間人が5人、軍・治安部隊兵士が6人。

反体制デモをめぐる動き

数万人がヒムス県、イドリブ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、ハマー県各地で金曜礼拝後にデモを行い、軍・治安部隊が発砲、数十人が死傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市シャンマース地域などで金曜礼拝後のデモで少女1人を含む6人が射殺された。また同市複数の地区で19人が負傷した。

またシリア人権監視団によると、ラスタン市では子供1人を含む2人が殺害された

一方、SANA(10月1日付)は、ラスタン市で「武装テロ集団」が士官2人を含む兵士7人を殺害し、タッルカラフ市でも治安維持部隊兵士1人を殺害したと報じた。またヒムス県、イドリブ県で10人が「武装テロ集団」の襲撃によって死亡したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によるとサラーキブ市で1人が殺害された。

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SANA(10月1日付)はダマスカス郊外県ドゥーマー市で爆発物処理を行っていた兵士6人が爆発に巻き込まれ、3人が死亡したと報じた。

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SANA(10月1日付)は、ダルアー県ダルアー市ウマリー・モスク南の農地で12キロの爆発物が発見され、除去されたと報じた。またウマリー・モスク近くの別の場所でも爆発物が発見された。

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SANA(10月1日付)は、ハマー県ハマー市カフルズィーター地区で爆発物処理を行っていた兵士が爆発に巻き込まれ、1人が死亡したと報じた。

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SANA(10月1日付)は、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で爆発物が発見され、除去されたと報じた。

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デモに先立って、フェイスブックの「シリア革命2011」ページが「我らがシャームとイエメンのための勝利の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。

しかし、同ページが呼びかけた9月25日、27日、29日の抗議行動がいずれも不調に終わっていたこと、そして30日のデモが金曜日の礼拝後に一部の都市で行われたに過ぎないことから、インターネットやSNSによる動員がほぼ奏功していないことがわかる。

なお筆者がシリアで9月下旬に行った調査によると、これらのデモの多くは、数十人規模に過ぎず、また30分程度、長くて1時間弱で解散している、という。

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フェイスブック上で「シリア大学インティファーダ」というページが立ち上げられ、大学の新学期が始まる10月2日(以降)、各大学での反体制デモを呼びかけた。http://www.facebook.com/Syrian.Revolution?ref=ts#!/revelutionofuniversity

反体制勢力の動き

アラビーヤ(9月30日付)のインタビュー番組でアーリフ・ダリーラ氏は、反体制勢力が武装闘争を行わないとしたうえで、宗派間対立の激化の懸念を否定した。

またアサド政権に関しては、その唯一のビジョンが支配の維持と国民の略奪にあると批判した。

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在米の反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏はUP(9月30日付)の取材に対して、外国の干渉を呼び込もうとしているのは、反体制勢力ではなく、野蛮な弾圧を続けるアサド政権である、と述べた。

ズィヤーダ氏は反体制運動開始当初から外国による干渉を再三にわたって求めてきたが、反体制勢力の多くが外国の干渉に異議を唱えるなか、彼のこの発言はこれまでの姿勢の責任をアサド政権に押しつける動きとも解釈できる。

諸外国の動き

シリア政府による先週の輸入規制措置を受けて、トルコの経済大臣は「300,000,000ドルもの貿易規模を持つトルコは、指摘されているような影響を受けないだろう。しかし、シリアが負わねばならない潜在的負担は、シリアの経済を完全に転覆させることになろう」と述べ、脅迫した。

一方、トルコ外務省は、同国が、反体制運動収束を支援する代わりに、バッシャール・アサド政権にシリア・ムスリム同胞団の入閣を提案したとの一部報道を強く否定した。

トルコ外務省報道官は「これらの言い分は、現実と何ら関係ない」と述べた。

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国連の安保理での対シリア決議に関する審議は、ロシアと西側諸国に対立にもかかわらず採決に向けて議事が進行、採決は10月4日(火曜日)に行われる見込みとなった。

決議採択に関して、西側諸国は、BRICS諸国、とりわけブラジル、インド、南アフリカの懐柔を試みているという。9月の議長国であるレバノンは採決そのものに反対の姿勢をとってきた。

インド代表は、木曜の晩、「決議案を採択するよう脅迫している国があるが、こうした戦略は有益ではない…。過激派による暴力行為の責任を追及すべきである」と述べた。

西側外交筋は、ロシアによる決議案反対の真の理由は、30日間の制裁猶予と武器禁輸に関する呼びかけに関する文言にある、と指摘した。

一方、米国はロバート・フォード大使襲撃未遂事件を受けるかたちで、安保理決議案にシリア政府に外交官の保護を遵守させるための文言追加を求めた。

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スイス経済省はシリアの石油部門への新規投資を禁止することを決定・発表し、制裁を強化した。

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NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務局長はブリュッセルの欧州政治研究センターで、シリアへの軍事介入の可能性を改めて否定。

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ウィリアム・ヘイグ英外務大臣は、反体制勢力にシリアの民主化とアサド大統領退任に向け糾合するよう呼びかけた。

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「アフバール・シャルク」(10月4日付)は、ヴェネズエラのウーゴ・チャベス大統領がアサド大統領と電話会談を行い、リビアのムアンマル・カッザーフィー大佐とともにアサド大統領を「兄弟」を評し、シリアの現政権への支持を改めて表明したと報じた。

そのほか

「アフバール・シャルク」(9月30日付)は西側諸国の経済制裁とシリア政府による輸入禁止措置がシリア経済に及ぼす影響に関して予測。

同記事は、経済学者のフサイン・アンマーシュ氏のアラビーヤ・ネットでの発言をもとに、この二つの措置によって外国との取引が事実上不可能になったとしたうえで、複数の経済アナリストが、これによってシリアの物価が15~20%上昇すると予測していると指摘した。

また経済学者のナビール・スッカル氏の分析をもとに、この措置によって打撃を受けるのが、シリア政府でなく、一般の市民であると指摘した。

一方、西側の石油部門への制裁に関しては、石油輸出による収入が70~80%に落ち込むだろうとのアンマーシュ氏の推計を紹介した。

AFP, September 30, 2011、Alarabia.net, September 30, 2011、Akhbar al-Sharq, September 30, 2011, October 1, 2011, October 4, 2011、al-Hayat, October 1, 2011、Kull-na Shuraka’, September 30, 2011、Reuters, September 30, 2011、SANA, October 1, 2011、UP, September 30, 2011などをもとに作成。

 

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