2013年12月27日のシリア情勢

反体制勢力の動き

イドリブ県では、『ハヤート』(12月28日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市で、反体制武装集団が共同声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に、第13編隊司令官のアフマド・サウード中佐の釈放を求めた。

Kull-na Shuraka', December 27, 2013

Kull-na Shuraka’, December 27, 2013

声明を出したのは、マアッラト・ニウマーン・ムジャーヒディーン軍事評議会、ハマー県革命軍事評議会。

サウード中佐は、イドリブ軍事評議会メンバー、イドリブ作戦司令室メンバーを兼務し、イドリブ県内のダーイシュ拠点を数日前に訪れた際に拉致されたという。

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ラッカ県では、『ハヤート』(12月28日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、ラッカ市のシャリーア委員会、部族長、反体制武装集団に対して、「3ヶ月前にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が拉致した戦線のアミールの一人を釈放するため行動」するよう呼びかけた。

このアミールは、アブー・サアド・ハドラミー市で、イラク・シャーム・イスラーム国に対して武装解除したのち、「裏切られて」拉致されたのだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のバドル・ジャームース書記長は、RIAノーボスチ通信(12月27日付)に、ジュネーブ2会議開催に先立ち、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長が1月13~14日にロシアの首都モスクワを(予定通り)訪問すると述べた。

シリア政府の動き

ウムラーン・ズウビー情報大臣は、レバノンのフアード・スィニューラ元首相がムハンマド・シャタフ元財務大臣暗殺へのシリアの関与を疑ったことを受け、「スィニューラがレバノンや中東のテロ、とりわけイラク・シャーム・イスラーム国とシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線…を支援、資金供与しているとの確固たる疑いをぬぐおうとする無駄な試み」としたうえで、「こうしたバカげた…嫌疑を投げかけるということは、中東全土でテロを行う勢力がレバノンにいるということだ…。政治的な憎しみを背景とするこの手の恣意的で無差別な嫌疑…を行う者は、民族の敵と結託していることの結果だ」と批判した。

SANA(12月27日付)などが伝えた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マアルーラー市近郊のマラーフ村・カスタル村間で、軍が反体制武装集団の要撃を成功させ、サラフィー主義戦闘員数十人が死亡、約20人が負傷した(SANA特派員の取材によると、死亡した戦闘員はエジプト人、サウジアラビア人、リビア人、パキスタン人戦闘員など80人)。

要撃は、ブカイン村・マダーヤー町間の農園に対して軍が砲撃を続けるなかで、行われたという。

これに関して、SANA(12月27日付)は、マアルーラー市・カスタル村間で、軍がシャームの民のヌスラ戦線を要撃し、「テロリスト」数十人した殲滅したと報じた。

また軍のMiG戦闘機が、ヤブルード市、リーマー農場の「テロ集団」の拠点を空爆したと報じた。

さらに、シリア・アラブ・テレビ(12月27日付)は、この戦闘後、レバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール村に、反体制武装集団戦闘員の遺体と負傷者、合わせて約150人が搬送されたと報じた。

このほか、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ドゥーマー市では、シリア人権監視団によると、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、イラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ドゥーマー市、ヒジャーリーヤ農場、アッブ農場、アルバイン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハラスター市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民1人が負傷した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(12月28日付)によると、ハーリド・ブン・ワリード大隊司令官のアフマド・カディーマーニー氏が、肝炎治療のために入院していたトルコ国内の病院で死亡した。

カディーマーニー氏はサラーフッディーン評議会創設メンバー。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市サーフール地区に軍が「樽爆弾」を投下し、複数名が負傷、またナッカーリーン地区では、軍、国防隊、ヒズブッラー民兵が、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国と交戦した。

また、フライターン市、カフルナーハー村、ハーン・アサル村、アンジャーラ市、アウラム・クブラー村、マンスーラ村、ナッカーリーン村などでも軍が「樽爆弾」で攻撃を行った。

他方、SANA(12月27日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、タッル・アッザーン村、ザルズール村、フライターン市、アンダーン市、マーイル町、マスカナ市、マアーッラト・アルティーク村、カースティールー地方、カフルダーイル村、ワディーヒー村、シャイフ・ナッジャール市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、スッカリー地区、マイダーン地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ジャンドゥール交差点で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、アレッポ市ジャミーリーヤ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民4人が死亡、12人が負傷した。

また、アレッポ・ニューズ(12月28日付)は、アレッポ中東刑務所で収監者12人以上が飢えと寒さが原因で死亡したと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がダイル・ザウル空港に隣接するジャフラ村を制圧し、また同村周辺で軍、国防隊と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街に迫撃砲弾が着弾、またバーブ・フード地区などで軍と反体制武装集団が交戦した。

また、クッルナー・シュラカー(12月27日付)によると、ヒムス市内にあるパレスチナ難民キャンプで大きな爆発があり、少なくとも2人が死亡、多数が負傷した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、サアン村、キースィーン村、タッルドゥー市、ガースィビーヤ村、ワービダ村、ダール・カビーラ村、ラスタン市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市マハッタ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、女性1人が死亡、市民13人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がイドリブ市にある県庁をT62戦車で砲撃した。

これに対し、軍はマアッラト・ヌウマーン市に「樽爆弾」を投下したという。

一方、SANA(12月27日付)によると、アラブ・サイード村、バシーリーヤ村、カストゥーン村、マールティーン村、ジダール・ブカフルーン村、アブー・ズフール村、ハントゥーティーン村、イドリブ市西部郊外食品加工工場周辺、カトルーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またイドリブ市南部に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民3人が死亡、4人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナスィーブ村、ジャースィム市に、軍が「樽爆弾」を投下した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ラムズィーン村、ウンム・アウサジュ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主連合党人民防衛部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との交戦のすえ、カーミシュリー市近郊の5村を制圧した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍の包囲による食糧不足が原因で5人が死亡した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアッバースィーイーン地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、女性1人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(12月27日付)によると、シール・ジャラージマ地区からハマー市に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

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ラタキア県ではSANA(12月27日付)によると、リーハーニーヤ村、シュマイスィマ村、ムアイティマ村、ラウダ村、バイト・シュルーク村、アブリク村、ダルーシャーン村、タラフ村、サルマー町、カウム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、カッバーナ大隊、ユーヌスィーヤ大隊など外国人戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ベイルート県ダウンタンのStarco地区でムハンマド・シャタフ元財務大臣が乗った車列を狙ったと思われる爆弾テロが発生、同大臣を含む6人が死亡、少なくとも50人が負傷した。

シャタフ元財務大臣は、第2次フアード・スィニューラ挙国一致内閣(2008~2009年)で財務大臣を務め(http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/aljabal/biladalsham/lebanon/ministers/2008_08.htm)、サアド・ハリーリー元首相の「財務顧問」と目されてきた。

ナハールネット(12月27日付)は、暗殺の数時間前にシャタフ元大臣が、ツイッターに「ヒズブッラーはシリアが15年にわたって行ってきたのと同じ治安・外交面での権限を認めるよう強く迫っている」とつぶやいていたと報じた。

なお、2005年のラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件では、当初、欧米諸国および3月14日勢力はアサド政権の関与を断じ、外交攻勢をかけたもの、2006年半ばのレバノン紛争でのヒズブッラーの善戦を追い風にアサド政権が欧米諸国のバッシングを退けて以降は、ヒズブッラーに嫌疑が向けられ、レバノン特別法廷開廷に向けた準備が進められてきた。

シャタフ元財務大臣暗殺も、化学兵器問題と同じく、アサド政権を追い詰めることに失敗し、シリアを不安定化させた欧米諸国が、国際社会の耳目をシリアからさらに反らし、その非難の矛先をヒズブッラーに向ける好機になると考えることもできる。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー元首相は、ムハンマド・シャタフ元財務大臣暗殺に関して声明を出し「シャタフの暗殺者は、ラフィーク・ハリーリー元首相を暗殺したのと同一人物だ…。非難されるべき者は、レバノン特別法廷に立つことを拒否するのと同一人物だ。なぜなら彼らはレバノンにおいて悪と混乱に道を開いたからだ」と述べ、ヒズブッラー、およびかつて嫌疑をかけられていたシリア政府の関与を暗に疑った。

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3月14日勢力はベイルート県内で会合を開き、ムハンマド・シャタフ元財務大臣暗殺への対応などについて協議した。

フアード・スィニューラ元首相は、会合後に、シャタフ元財務大臣暗殺に関して、「殺人犯は、2004年10月から、ラフィーク・ハリーリー元首相暗殺にかかるレバノン特別法廷の活動開始を2週間後に控えた今日まで、レバノンの英雄たちを標的としてきた者であり、彼らがムハンマド・シャタフを殺したのだ」と述べ、シリア政府やレバノンにおけるその同盟者の関与を暗に疑った。

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ヒズブッラーはムハンマド・シャタフ元国防大臣暗殺に関して「凶悪な犯行で…、レバノンの敵に利するだけだ」とする声明を出した。

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レバノンのシリア民族社会党は声明を出し、山地県ジュバイル郡アルマート村出身の党員ムハンマド・アリー・アワード氏が「シリアでのテロ・過激化との戦いにおいて愛国的義務を果たし」戦死したと発表した。

諸外国の動き

イラク・メディア・ネットワーク(12月27日付)は、イラクのアンバール県でイラク軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を追撃、戦闘員16人を殲滅した、と報じた。

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イラクのムフィード・バルダーウィー国民議会議員(法治国家連立)は、イラキー・ニューズ(12月27日付)に対し、サラーフッディーン県で大規模なイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討作戦を実施すべきだと述べた。

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モスクワで、シリアの化学兵器廃棄に関する国連・化学兵器禁止機関の専門家会合が開催され、ロシア、中国、米国などの専門家が出席した。

イタルタス通信(12月27日付)によると、議長を務めたロシア外務省のミハエル・ウリヤノフ安全保障武装解除局長は「我々は、ラタキア港から公海への化学兵器搬出に際して、シリア領海でいかに協力し合うかについて合意に達した」と述べた。

AFP, December 27, 2013、AP, December 27, 2013、Champress, December 27, 2013、Halab News, December 28, 2013、Iraqinews.com, December 27、al-Hayat, December 28, 2013、IMN, December 28, 2013、Kull-na Shuraka’, December 27, 2013、Naharnet, December 27, 2013、NNA, December 27, 2013、Reuters, December 27, 2013、Rihab News, December 27, 2013、SANA, December 27, 2013、UPI, December 27, 2013などをもとに作成。

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