シリア南部(ダルアー県、クナイトラ県、スワイダー県)でシリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の戦闘が激化(2018年6月19日)

ダルアー県では、SANA(6月19日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がダルアー市北部入口一帯、シハーリー地区、空港地区、カーシフ地区を砲撃し、女児1人が死亡、住民1人が負傷した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月19日付)は、ホワイト・ヘルメットの情報として、シリア軍がダルアー市北東のナーフタ町、ブスル・ハリール市、アースィム村、ムサイカ村、ブスターン村を爆撃・砲撃し、住民多数が死傷したと伝えた。

アバービール軍の報道官も、『ハヤート』(6月20日付)に対し、ラジャート高原、ヒルバト・ガザーラ町、ウンム・バーティナ村一帯に進攻したシリア軍を撃退したことを明らかにした。

また、ドゥラル・シャーミーヤは、ムサイカ村に近い防空大隊基地一帯に進攻したシリア軍を、反体制武装集団が撃退、その際にマーズィン・アフマド・バラカート准将(第1師団第242戦車大隊司令官)が死亡したと伝えた。

さらに、ドゥラル・シャーミーヤによると、スンナ青年軍団がヒルバト・ガザーラ町とダルアー市を結ぶ街道でシリア軍と親政権民兵の車列を襲撃した。

この戦闘激化に関して、複数の反体制派消息筋は『ハヤート』(6月20日付)に対し、「イスラエルはダルアー県東部のみに対する軍事作戦の実施に青信号を出した」との見方を示した。

同消息筋は、「政権は、占領下のゴラン高原から離れた二つの戦線で(軍事)行動をとっている。第1の戦線が(現在攻撃が激化している)県北東部に位置するラジャート高原で、スワイダー県や国際幹線道路方面から攻撃を行っている…。政権はまた、反体制派を揺さぶるために、ダルアー市への攻撃を始めた。これはヨルダン国境に位置するナスィーブ国境通行所を制圧するためだ…。政権は現時点で、イスラエルとの関係が微妙な県西部で戦闘を開始しようとはしていない」と述べた。

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スワイダー県では、SANA(6月19日付)によると、ダルアー県北東部で活動を続けるシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が、スワイダー市、ムジャイミル村、ラビーン村を砲撃した。

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クナイトラ県では、SANA(6月19日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がバアス市を砲撃した。

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ラタキア県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月19日付)によると、イスラーム山地大隊が県北部のトゥルクマーン山一帯にあるシリア軍部隊を攻撃した。

AFP, June 19, 2018、ANHA, June 19, 2018、AP, June 19, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 19, 2018、al-Hayat, June 20, 2018、Reuters, June 19, 2018、SANA, June 19, 2018、UPI, June 19, 2018などをもとに作成。

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