2011年5月22日のシリア情勢

反体制勢力の動き

ロンドンを拠点とするシリア人権監視団は2011年3月以降の死者数が1,003人に上り、うち863人が民間人、140人が治安要員・軍人だと発表した。

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クッルナー・シュラカー(5月22日付)は、5月17日に総合情報局内部治安課に身柄拘束された反体制活動家のアンワル・ブンニー弁護士が釈放されたと報じた。

シリア政府の動き

『イェデイオト・アハロノト』(5月22日付)は、複数の米国筋の話として、アサド大統領が先週、米政権に複数の書簡を送ったと報じた。

同報道によると、書簡には、アサド大統領がイスラエルとの和平交渉開始の準備を行っていること、意見の相違が見られていた問題の98%が合意されたことが記されており、「シリア情勢の安定後」にイスラエルとの和平交渉再開を行うことが提案されている、という。

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アドナーン・マフムード情報大臣は、ズィヤード・グスン氏を『ティシュリーン』紙の編集長に任命した。

クッルナー・シュラカー(5月22日付)が伝えた。

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SANA(5月22日付)は「内務治安部隊の殉職者は事件発生以来32人に上り、また負傷者は547人となった」と報じた。

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シリア・アラブ・テレビ(5月22日付)は、ダルアー市などで破壊活動を行ったとする武装テロ集団メンバー2人の証言映像を放映した。

このうちバーニヤース市出身でアブドゥルカーディル・ザイル(33歳)を名乗る男性は「我々が配った武器はレバノンから来たもので、(バーニヤース市の)ラフマーン・モスクに保管していた…。軍がバーニヤース市に進軍するだろうと聞いたとき、我々はウンス・アルヌート氏を指導者とするイスラーム国家を建設するために活動することを決定した。この国では、ウンス・シャグリー氏が内務大臣を、アブー・アリー・ビヤースィー氏が国防大臣を務めることになっていた」と証言した。

また「シャイフ・アルヌートの自宅に爆弾を仕掛けようとした者もいたし、石油ガス・パイプライン…を破壊しようとした者もいた」と付言した。

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SANA(5月22日付)によると、21日にダマスカス郊外県で反体制武装集団に殺害された警察官の遺体が故郷(タルトゥース県)に搬送され、葬儀が行われた。

国内の暴力

ヒムス県では、AFP(5月22日付)によると、ヒムス市で、20日の反体制デモに対する弾圧で殺害された13人の葬儀(21日)参列中に殺害された5人の葬儀が行われ、数万人が参列した。

シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、会葬者らが行進した市内のタッル・ナスル墓地一帯からアッバースィーヤ広場に至る地区は、軍・治安部隊によって包囲され、厳戒態勢が敷かれたという。

カルビー代表はまたヒムス市のバーバー・アムル地区、バーブ・スィバーア地区などで活動家の逮捕が行われていると述べた。

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イドリブ県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、アリーハー市、ビンニシュ市、マアッラト・ヌウマーン市、カフルナブル市などで治安部隊が活動かを逮捕した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、朝、外出禁止令が出ていたヒルバト・ガザーラ町で数十人が逮捕された。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(5月23日付)によると、サクバー市での20日の反体制デモで死亡した犠牲者1人の葬儀に参列した会葬者1万人以上が「政権打倒」を求めるシュプレヒコールを叫んだが、治安部隊が介入、発砲した。

これに関連して、SANA(5月22日付)は、内務省筋の話として、警官1人が21日夜「サクバーで武装テロ集団」の発砲によって殺害された、と報じた。

諸外国の動き

アラブ人権機構とヨルダン・ムスリム同胞団の政治部門であるイスラーム行動戦線は共同声明を出し、デモ参加者に暴力を行使し続けるシリアの体制を非難した。

同声明は、「包囲、殺戮、逮捕」に曝されているシリア国民との連帯を改めて呼びかけ、抗議行動に対して体制が行う行為は「人道に対する罪」のレベルに達していると評した。

また「国民と戦い、民間人数百人を殺害するいかなる政体も…集団処罰がなされなければ、正統性を失う」と述べた。

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イスラーム諸国会議機構は声明を発表し、「(シリアの)治安当局に自制と罪のない民間人への攻撃を停止する」よう呼びかけた。

また「国家によってより重要な国益を優先し、対話とシリア指導部が治安と安定のために約束した改革を通じて安定を実現し、民主主義と正しい支配を求めるシリア国民の希望に応える必要」を強調した。

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アラブ連盟本部(カイロ)で昨日開催されたアラブ議会第2回会合では、議長国のアリー・ディクヤースィー(クウェート)議長とシリアのアブドゥルアズィーズ・ハサン使節代表とが激しいやりとりを行った。

この対立はディクヤースィー議長がシリア政府を激しく批判し、閉幕声明にシリアでの暴力行為を非難する項目を加えるよう求めたことを受けたもので、シリアの使節団はこの動きを「買弁」と非難した。

長時間にわたる議論の末、シリアを支持する国々が議長とその支持国の行動を抑え、シリア非難を含まない声明を採択した。

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ヨルダン国王のアブドゥッラー2世はABC(5月22日)とのインタビューで「ヨルダンがシリアの安定回復と平穏化を支援できるかどうかを判断するため、アサド大統領とたびたび話した」ことを明らかにした。

「政権を指導するとともに、国民の方を向き、対話をせねばならない」とアサド大統領に求めた。

AFP, May 22, 2011、Akhbar al-Sharq, May 22, 2011、al-Hayat, May 23, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 22, 2011、Naharnet, May 22, 2011、Reuters, May 22, 2011、SANA, May 22, 2011などをもとに作成。

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