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反体制勢力の動き
イスラーム戦線シューラー会議のアフマド・イーサー・シャイフ議長と同戦線軍事委員会のザフラーン・アッルーシュ議長が連名で声明を出し、同戦線が自由シリア軍参謀委員会の指揮下から離れて久しいと発表、自由シリア軍からの離反を改めて表明した。
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アレッポ・シャリーア委員会は、電気設備容量別の電気料金表を発表、1アンペアにつき5~6シリア・ポンドの電気料金を設定したと発表した。
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クッルナー・シュラカー(12月4日付)は、反体制筋の話として、シリア民主主義者連合執行部(11人)メンバーのサーイル・ムーサー氏がメンバーと対立し、執行部を辞任したと報じた。
また同消息筋は、これに先立ち、サーブト・イバーラ氏も、連合の大会を欠席し、執行部を辞任していた、と報じた。
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クッルナー・シュラカー(12月4日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立が、次回の総合委員会会合で、議長、事務局長などの任期の6ヶ月から1年への延長を審議することを決定したと報じた。
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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長、アフマド・トゥウマ暫定内閣首班、アスアド・ムスタファー同国防大臣、自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長はイスタンブールで会合を開き、ダマスカス郊外県などの人権状況、戦況への対応について協議した。
クッルナー・シュラカー(12月4日付)などが伝えた。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ダマスカス郊外県マアルーラー市へのシャームの民のヌスラ戦線代表などによる襲撃・占拠に関して、軍とヒズブッラーが「マアルーラーの礼拝堂(教会・修道院)に直接、意図的、そして無差別に砲撃を加えている」と断じた。
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AKI(12月4日付)は、ダマスカス郊外県カラムーン地方の反体制武装集団司令官の話として、聖タクラー教会の修道女がヤブルード市の教会で「保護」されており、現在国連を介して、身柄引き渡しの交渉が行われている、と報じた。
シリア政府の動き
ウムラーン・ズウビー情報大臣は「我々がダマスカスのカギを反体制勢力に手渡すためにジュネーブ2会議に行くと一人でも考えているのだとすれば、行く必要などない。決断はアサド大統領が下すのであり、移行期が来れば、彼がその指導者、すなわちシリアの指導者となる。彼はシリアの大統領でい続けるだろう」と述べた。
SANA(12月4日付)が伝えた。
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『ワタン』(12月4日付)は、シャームの民のヌスラ戦線などによる聖タクラー教会(マアルーラー市)の修道女ら15人の拉致・連行に関して、反体制武装集団が修道女を「人間の盾」として利用しようとしていると批判するとともに、軍がマアルーラー市一帯の治安回復のために増援部隊を派遣したと報じた。
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シリア政府は声明を出し、ヒズブッラーの軍事部門の指導者の一人ハッサーン・フールー・ラキース氏暗殺をイスラエルの犯行と断じ、非難した。
SANA(12月4日付)などが伝えた。
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エジプトのMENA(12月4日付)は、シリア・アラブ航空が、ダマスカス・カイロ便、ラタキア・カイロ便の運航を週17便から3便に削減することを決定した、と報じた。
乗客の減少が理由だという。
国内の暴力
アレッポ県では、シリア人権監視団が信頼できるクルド人筋の話として、マンビジュ市およびジャラーブルス市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が子供2人、女性1人、少女7人、老人1人を含むクルド人市民37人を身柄拘束した、と発表した。
拘束されたクルド人のうち3人はアルジェリアから、5人はトルコからシリアに入国し、ジャラーブルス市で逮捕されたのだという。
またSANA(12月4日付)によると、アレッポ市フルカーン地区に反体制武装集団が撃った手製の迫撃砲弾2発が着弾し、女性3人を含む市民20人が死亡、30人以上が負傷した。
これに関して、シリア人権監視団は犠牲者のうち9人が民間人、5人が士官1人を含む軍人、身元不明が4人だと発表した。
このほか、SANAによると、クワイリス村、アレッポ中央刑務所・発電所周辺、ダイル・ハーフィル市東部、フライターン市、バービース村、マンスーラ村、マルジャ村、アレッポ市カースティールー地区、ナイラブ航空基地東部、キンディー大学病院、タッル・アッザーン村、カフルダーイル村、バーブ市西部、アブティーン村、ハンダラート・キャンプ、シャイフ・ルトフィー村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、ジュダイダ地区、ライラムーン地区で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またシリア人権監視団によると、アッサーン村、バーブ街道地区、アンジャーラ村などに軍が砲撃・爆撃を行ったという。
一方、アレッポ市郊外で活動する反体制武装集団「カルブ・ワーヒド作戦司令室」はビデオ声明を出し、「キンディー大学病院解放」作戦を開始したと宣言した。
またシリア革命総合委員会は、アレッポ市イザーア地区で「自由シリア軍」がヒズブッラーの戦闘員7人と軍兵士20人を殺害したと主張した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(12月4日付)によると、ナブク市および同市周辺、アルクーブ地方、サキー農場、ズライバート農場、ヤブルード市郊外(リーマー農場)、ハーン・シャイフ・キャンプ、ドゥーマー市、イバーダ農場、アーリヤ農場、アッブ農場、ハラスター市、サクバー市、ダーライヤー市、ザバダーニー市で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シリア革命総合委員会は、マアルーラー市郊外のアイン・ティーナ地方で軍と「自由シリア軍」が交戦し、軍兵士多数が死傷したと主張した。
また同委員会は、東グータ地方での戦闘で、「自由シリア軍」がヒズブッラー戦闘員8人を殺害したと主張した。
これに関して、シリア人権監視団は、国防隊の戦闘員10人が東グータ地方アフマディーヤ市周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線との交戦中に死亡したと発表した。
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ダマスカス県では、SANA(12月4日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区、バルザ区で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(12月4日付)によると、ダイル・ザウル市・マヤーディーン市街道、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市工業地区にある軍の拠点を反体制武装集団が攻撃、また同市の航空基地内で軍と反体制武装集団が交戦した。
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ハマー県では、SANA(12月4日付)によると、サラミーヤ市郊外のバルグースィーヤ村で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(12月4日付)によると、クマイナース農場、タッル・サラムー村、アブー・ズフール市、ハーミディーヤ市で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、SANA(12月4日付)によると、ヒラーブ・アスカル村、ヒルバト・サッド村、カーミシュリー市郊外などで、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(12月4日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、タルビーサ市、フーシュ・ハッジュー市で、反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、マヤーディーン・チャンネル(12月4日付)によると、タウヒード旅団の指導者の一人ラビーア・アバーザイド氏が県内の検問所でシャームの民のヌスラ戦線に撃たれ死亡した。
またSANA(12月4日付)によると、アトマーン村、ダルアー市で、反体制武装集団と交戦、タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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クッルナー・シュラカー(12月4日付)は、アレッポ郊外のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に近い消息筋の話として、ダーイシュが、ハサカ県ラアス・アイン市とアレッポ県アフリーン市の民主統一党とクルディスタン労働者党(PKK)の支配地域を包囲した、と報じた。
レバノンの動き
ヒズブッラーの軍事部門の指導者の一人ハッサーン・フールー・ラキース氏が正午、ベイルート県南部郊外のハダス市にある自宅前で2人組の男に銃で撃たれ、死亡した。
AFP(12月4日付)などが伝えた。
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ラキース氏暗殺を受けて、ヒズブッラーは声明を出し、同氏がこれまでにもたびたび暗殺未遂に遭っていたとしたうえで、「この憎むべき犯罪の責任はすべてイスラエルにある」と非難した。
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ナハールネット(12月4日付)によると、「バアルベック・スンナ派自由人旅団」を名乗る集団が声明を出し、ヒズブッラーの軍事部門の指導者の一人ハッサーン・フールー・ラキース氏暗殺を行ったと認めた。
また「アンサール・ウンマ・イスラーミーヤ大隊」を名乗る集団も声明を出し、「クサイルでの虐殺」に対する報復として暗殺を実行したと発表した。
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NNA(12月4日付)によると、レバノン軍が全面介入し「平穏を取り戻した」北部県トリポリ市で、武装した男性4人が逮捕された。
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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー元首相は声明を出し、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長のOTVでの発言を「サウジアラビアが地域全体で戦争を行い、イラン大使館に対する爆破を行ったと非難することで、アラブ諸国とレバノンの結びつきを破壊しようとしている」と非難した。
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レバノンのマロン派総大司教府は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線などによる聖タクラー教会(マアルーラー市)の修道女ら15人の拉致・連行を非難した。
また、レバノン共和国ムフティーのムハンマド・ラシード・カッバーニー師も拉致・連行を非難した。
諸外国の動き
ヒズブッラーの軍事部門の指導者の一人ハッサーン・フールー・ラキース氏の暗殺に関して、イスラエル外務省のイガル・パルモール報道官は「イスラエルはこの事件と何ら関係はない…。(イスラエルへの)機械的な非難はヒズブッラー生来の反射神経のようなもので…、彼らには証拠も事実も必要ない。あらゆることについてイスラエルを非難してくるだけだ」との声明を出した。
イスラエルが、レバノンやシリアで関与・実行したとされる暗殺テロ・攻撃に対して、沈黙を続けるのが常であることを踏まえると、異例の対応の早さである。
またイスラエルのスィルヴァン・シャロム資源大臣も「イスラエルはこの事件とは関係ない…。もしこの事件に喜んだとしても、それを実行したのはサラフィー主義者だ」と述べた。
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ローマ法王フランシスコは、シャームの民のヌスラ戦線などによる聖タクラー教会(マアルーラー市)の修道女ら15人の拉致・連行に関して、サンピエトロ広場で約3万人の一般信者を前に「武装した男たちによって連行された」と非難、「修道女たち、そして紛争で拉致されたすべての人々のために祈り、平和のために祈りと行動を続けましょう」と呼びかけた。
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『デイリー・テレグラフ』(12月4日付)は、英国人300人以上がシリアの反体制武装集団に参加しており、同国政府が国家安全保障上最大の脅威とみなしていると報じた。
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イラクのヌーリー・マーリキー首相がイランを訪問した。
2日間の滞在期間中、マーリキー首相はハサン・ロウハーニー大統領らと会談し、シリア情勢などについて協議する予定だという。
AFP, December 4, 2013、AKI, December 4, 2013、The Daily Telegraph, December 4, 2013、al-Hayat, December 5, 2013、Kull-na Shuraka’, December 4, 2013、al-Mayadeen, December 4, 2013、MENA, December 4, 2013、Naharnet, December 4, 2013、NNA, December 4, 2013、Reuters, December 4, 2013、Rihab News, December 4, 2013、SANA, December 4, 2013、UPI, December 4, 2013、al-Watan, December 4, 2013などをもとに作成。
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