2013年12月3日のシリア情勢

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班は「民主連合党はシリアの現支配体制と分かつことのできない一部をなしている。その姿勢を正当化することはできない。なぜならこの党が政権を直接且つ確実に支持していることは皆にとって周知の事実だからだ」と述べた。

リハーブ・ニュース(12月3日付)が伝えた。

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クッルナー・シュラカー(12月3日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立のスハイル・アタースィー副議長が正式に辞意を表明、辞表を提出した。

同辞表は総合委員会でその是非が採決される予定だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のミシェル・キールー氏は、『クドス・アラビー』が報じたアサド大統領の発言に関して、ラジオ・ロザナ(12月3日付)に「革命に勝利すれば、私は家に戻り、政治とは何の関係もなくなるだろう。大統領にも門番にもなるつもりはない…。アサドに次期大統領を決める権利などない…。次期大統領はシリア人のみが決めるだろう」と述べた。

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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は『ワシントン・ポスト』(12月3日付)に対して、「自由シリア軍は二つの戦線で戦闘を試みている。シリア国内の24地点でアル=カーイダと戦う一方、アサドの軍と戦っている」と述べた。

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シリア革命総合委員会は、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団がダマスカス県マアルーラー市を襲撃し、聖タクラー教会・修道院の修道女らを拉致したとの報道を否定、「ヌスラ戦線と自由シリア軍の戦闘員は、修道女らをより安全な場所に避難させようとし、これを妨害しようとした軍の狙撃や砲撃によって多くが負傷した」と主張した。

これに関して、サイドナーヤー修道院のセヴィロニア・ナッバハーン修道長はAFP(12月3日付)に対し、ヌスラ戦線などに拉致されたとされる修道女12人を含む15人はダマスカス郊外県ヤブルード市で、危害を加えられることなく、快適な状態にある、と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立に合流したシリア・クルド国民評議会の指導者2人は、民主連合党が設置をめざす西クルディスタン移行期民政局評議会を非難した。

イラク・クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領とエルビルでの会談を終えたシリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長は、『ハヤート』(12月4日付)に「愛国的諸勢力(クルド民族主義勢力)から乖離した(クルド問題の)いかなる解決策も拒否する」と述べた。

また同じく会談を終えたシリア・クルド民主党(パールティ)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長も「クルド問題は…シリアでのコンセンサスから乖離したかたちで解決し得ない…。我々は連邦制を求めているが、クルド人だけがそれを決めるのではない。国民的なコンセンサスがなければならない」と述べた。

シリア政府の動き

『クドス・アラビー』(12月3日付)は、アサド大統領と会談したヨルダンの弁護士組合使節団メンバーの話として、同大統領が在外の反体制活動家を酷評したと報じた。

同報道によると、アサド大統領は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長に関して「ジャルバーがバッシャール・アサドの代わりになることを決して受け入れない。例えば、ミシェル・キールーが代わりだったとしたら、話は別で、受け入れたかもしれないが、ジャルバーなら決してダメだ」と述べたという。

またアサド大統領は、現下のシリア軍の優先事項がダマスカス郊外県カラムーン地方の解放にあり、ダルアー県については「ヨルダンの問題であって、シリアだけの問題ではない。ヨルダンはテロ活動や潜入者を認めてしまったからには、国境地帯の掃討を行わねばならない」と述べたという。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、アサド大統領を含む政権幹部が戦争犯罪と人道に対する罪に関与したことを示す証拠を入手したとのナビ・ピレイ国連人権高等弁務官の発表に関して、BBC(12月3日付)に「ピレイ氏は前からナンセンスなことばかり言ってきた。我々は彼女に耳を傾けてなどいられない」と一蹴した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア・アラブ・テレビ(12月3日付)などによると、ジスル・アブヤド地区にある戦死者補償局(国防省)事務所(第205ユニット)前で「自爆ベルトを着用した「テロリスト」が自爆し、市民4人が死亡、17人が負傷した。

またSANA(12月3日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マアルーラー市周辺で、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が軍と交戦した。

一方、SANA(12月3日付)によると、ナバク市周辺の主な回廊地帯で、軍が反体制武装集団を掃討し、同地を制圧した。

またナバク市および同市東部、ヤルダー市、ザバダーニー市、イバーダ市、ムライハ市、ドゥーマ-市、サクバー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア革命総合委員会によると、アレッポ市シャイフ・サイード地区、アシュラフィーヤ地区、ハーン・サーブーン地区で軍と反体制武装集団が交戦し、軍兵士20人が死亡したという。

一方、SANA(12月3日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、アレッポ・バーブ街道、ダーラ・イッザ市、カブターン・ジャバル村、フライターン市東部、カフルハムラ村、マンスーラ村、ダイル・ハーフィル市東部、アブー・ジャッバール市、シャイフ・ナッジャール市、アレッポ市カースティールー地区、ムスリミーヤ村、カフルダーイル村、アレッポ中央刑務所周辺、キンディー大学病院周辺、ヒーラーン村、ナッカーリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ラーシディーン地区、バニー・ザイド地区、シャイフ・サイード地区、アシュラフィーヤ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、クッルナー・シュラカー(12月3日付)によると、タアーラ村、ダウル村に対して軍が爆撃を行い、反体制武装集団(スワイダー革命軍事評議会)と激しく交戦した。

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ヒムス県では、SANA(12月3日付)によると、シューマリーヤ山地、ハワー丘陵、ウンム・サフリージュ村周辺の山岳地帯で、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同地を完全制圧した。

またガースィビーヤ村、ダール・カビーラ村・ハーリディーヤ村間、キースィーン村、西ハブラ村、アブー・ハワーディード村、ラッフーム村、ラスム・タウィール村、カフラ山、タッルカラフ市郊外、ヒムス市クスール地区、バーブ・フード地区、ワルシャ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ワアル地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(12月3日付)によると、マアッラトミスリーン市、ラーム・ハムダーン市、マアッルディブスィー市・サラーキブ市間、イドリブ市・ハーリム市間、イブリーン村、カフルラーター市、サルジャ村、マアッルバリード市、サルジャ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(12月3日付)によると、アトマーン村、バイト・ハジャル村、ダルアー市、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市旧税関地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、タウヒード旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月3日付)によると、ダイル・ザウル市ハミーディーヤ地区、旧空港地区、ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、ラシーディーヤ地区、ラサーファ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はOTV(12月3日付)の単独インタビューに応じ、シリア情勢などについて語った。

このなかでナスルッラー書記長は「我々はシリア人のために戦っているのではない…。ダルアー、ダイル・ザウル、ラッカ、ハサカ、イドリブ、ラタキア、タルトゥースにヒズブッラーの戦闘員は一人もいない。我々はレバノン国境に近い、ヒムスとダマスカス(郊外)に限定的にいるだけだ…。東グータ地方で、350人、500人、あるいは1,000人のヒズブッラーの戦闘員が死んだという主張は願望に過ぎず、シリアで捕虜となっているヒズブッラーのメンバーは一人もいない。何人かの殉教者が行方不明なだけだ」と述べた。

また「我々がシリアに介入するためにシリア軍が一部地域から撤退したとの情報は正しくない…。シリア軍の戦況や戦闘の性格ゆえに、同軍は一部地域から後退しただけで…、我々がシリアに徐々に介入していったのは当然のことだった…。レバノン人が暮らす村々を武装集団が侵略しようとしたのを受け、我々はクサイルに戦闘員を派遣した…。我々が(クサイルへの介入を)決断し、イラン人にそれを伝えただけだ」と述べた。

そのうえで「クサイル市郊外のレバノン人を攻撃するために持ち込まれた武器は、レバノンから密輸されていた…。我々が責任を放棄すれば、レバノン・シリア国境は武装集団の手に落ちていただろう…。東西グータ地方の陥落とサイイダ・ザイナブ廟への脅威が、ダマスカス郊外県に介入する動機となった」と主張した。

さらに「サウジアラビア、カタール、トルコ、欧州諸国は軍事的にシリアの体制を打倒しようとし、政治的対話を拒否してきた…。アサド大統領は最大限の改革を行う準備が出来ていたが、地域各国は彼を退陣させようとした…反体制派の一部は、我々がシリアに関する立場を表明する前から我々を脅迫してきた…」と非難した。

一方、ナスルッラー書記長はベイルート県郊外ビイル・ハサン地区にあるイラン大使館前での自爆テロに関して「我々はアブドゥッラー・アッザーム大隊の…司令官がサウジ人で、サウジアラビアの諜報機関とつながりがあると考えている…。爆破はイランに対するサウジの怒りと関係がある」と述べた。

このほか、イランの核開発問題に関して、「イランは大国とジュネーブで合意する意思があった…。だがトルコがシリア情勢をめぐるその姿勢ゆえに、政治的、心理的、経済的に地域において妨害を行ってきた…。イスラエルが米国からの青信号なしにイランの核施設攻撃を推し進めるとは考えていない。戦争回避の最大の勝利者はそれゆえ、地域の諸国民だ」と述べた。

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ナハールネット(12月3日付)などによると、武装集団どうしの戦闘が続く北部県トリポリ市にレバノン軍が全面介入し、武装集団の逮捕・摘発活動を本格化させた。

諸外国の動き

フランス外務省報道官は、マアルーラー市の聖タクラー修道院の修道女12人がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団に拘束された問題に関して、「強い懸念」を表明し、「もし事実であれば、即時解放を求める」と発表した。

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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領はモスクワを訪問したサウジアラビアのバンダル・ビン・スルターン総合情報庁長官と会談し、イランの核開発問題、シリア情勢などについて協議した。

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『ハヤート』(12月4日付)は、国連安保理宛の事務総長報告の内容として、シリアで化学兵器の廃棄作業を進めている化学兵器禁止機関と国連の合同派遣団が、タルトゥース港からの化学物質搬出のため、シリア軍に対して化学物質の梱包技術などの教練を行っている、と報じた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はスイスのRTS(12月3日付)に対して「シリアに民主的で非宗派主義的な新たな共和制を樹立されねばならないというのが私の明確な見解で、それによりいわゆる新シリア共和国への門戸が開かれる…。すべてのシリア人がこの新体制がどのようになるかを決定することになる」と述べた。

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サウジ通信(12月3日付)は、ムハンマド・ビン・ナーイフ内務大臣は、周辺諸国で避難生活を送るシリア人避難民に対して総額3,200万リヤル相当の冬期支援を行うことを決定したと報じた。

AFP, December 3, 2013、BBC, December 3, 2013、al-Hayat, December 4, 2013、Kull-na Shuraka’, December 3, 2013、Naharnet, December 3, 2013、Reuters, December 3, 2013、Rihab News, December 3, 2013、SANA, December 3, 2013、UPI, December 3, 2013、The Washington Post, December 3, 2013などをもとに作成。

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