2011年5月30日のシリア情勢

反体制勢力の動き

フェイスブックのグループ「シリア革命2011」などは、30日を「写真焼却の月曜日」と名付け、アサド大統領の写真やポスターを焼却するよう呼びかけた。

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アフバール・シャルク(5月30日付)によると、イスラエルで捕捉・拘留(1998年)中のシリア人、ウィアーム・アンマーシュ受刑者が、アサド政権によるデモ弾圧に抗議してハンストを行っていると報じた。

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シリア政府の動き

アーディル・サラフ内閣は総選挙法最終草案を発表した。

SANA(5月30日付)などによると、同法案はシリア国民の間で一般に議論され、コメントや提言を受けて、さらなる改訂がなされる予定だという。

また最終草案における修正箇所のなかには、最高司法委員会設置、選挙監視小委員会の設置などが盛り込まれているという。

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クッルナー・シュラカー(5月30日付)は、複数の消息筋の話として、労働総連合のジャマール・カーディリー総裁が、各支部代表者との会合で、デモへの参加を行わないよう「脅迫」したと報じた。

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DP-News(5月30日付)は、シリア学生連合がダマスカス大学学長に、構内でデモを行うなどして学則に違反した学生を処罰(退学)することを文書で要請したと報じた。

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『アフバール』(5月30日付)は、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長が、2011年3月以降、シリア国内での改革について協議するため、アサド大統領と複数回にわたって会談していると報じた。

国内の暴力

AFP(5月30日付)は、シリアの活動家の話として、ヒムス県タルビーサ市とラスタン市での軍・治安部隊で激化する武力弾圧に対抗し、デモ参加者が武装を余儀なくされ、機関銃やロケット弾を使用、これにより多数の治安要員が死亡したと報じた。

ヒムスの住民の一人は、軍が住民の「武装抵抗」に直面し、タルビーサ市とラスタン市に突入できないと証言、「軍は依然として市外にいる…。私が聞いたところでは、複数の軍の車輌や兵士を搬送する車輌が放火された」ことを明らかにした。

また別の活動家は、軍が二つの市の住民の「激しい抵抗に直面している」と述べたうえで、多くの住民が「イラクやレバノンからの武器密輸が盛んになった数年前から武装していた」ことを明らかにした。

人権活動家のムスタファー・ウースー氏によると、28日以降、数百人が逮捕され、地元の調整委員会によると、28日以降の両市での死者数は14人にのぼっているという。

これに対して、シリア当局は、タルビーサ市で「武装テロ集団」の手によって、兵士4人が殺害、14人が負傷させられたと発表する一方、「テロ集団側にも、追跡作戦によって多数の死傷者が出て、多数が逮捕、大量の武器・弾薬が押収された」と付け加えた。

SANA(5月30日付)などが報じた。

一方、SANA(5月30日付)によると、ヒムス県タルビーサ市で29日に武装テロ集団によって殺害された軍・治安部隊隊員の葬儀がヒムス軍事病院で行われた。

諸外国の動き

ジュネーブでは、ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官が、シリア政府部隊によるデモ参加者弾圧を「残虐」と非難、これらの行為が「衝突をもたらし」、人権状況を悪化させると指弾した。

ピレイ高等弁務官は、国連人権理事会に参加する47カ国の前で「平和的デモ参加者への過剰な力の行使は生存権を含む基本的人権を侵害するだけでなく、緊張を高め、暴力の文化を拡げる恐れがある」と述べた。

そのうえでシリア政府に対して、人権侵害状況を調査するための国際的派遣団の受入を改めて呼びかけた。

AFP, May 30, 2011、al-Akhbar, May 30, 2011、Akhbar al-Sharq, May 30, 2011、DP-News, May 30, 2011、al-Hayat, May 31, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 30, 2011、Naharnet, May 30, 2011、Reuters, May 30, 2011、SANA, May 30, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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