国連安保理では、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンの事態悪化への対応を協議する会合が開かれた。
会合に出席したバッシャール・ジャアファリーシリア国連代表は、「トルコが緊張緩和地帯や非武装地帯の設置にかかる一連の合意を遵守していないことに乗じて、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構がイドリブ県を掌握し、シリア国内にテロの温床が創り出された」と批判した。
ジャアファリー国連代表はまた「緊張緩和地帯にかかる合意が暫定的なもので、これを維持したいのであれば、トルコがシリア領内での占領とイドリブ県でのテロ組織への支援を止める必要があることをみなが理解すべきだ」と強調した。
これに対して、トルコのフェリドゥン・スィニルリオール国連大使は、「シリア軍の攻撃により数十万の避難民が発生しており、こうした事態はトルコ、欧州などにとって人道危機、安全保障上の危機である」と発言し、その数が24万3000人に上っていると主張した。
スィニルリオール国連大使はまた、シリア軍が「民間人、学校、病院を意図的に狙っている…。シリア政府は数々の人道に対する罪を犯し、何度もレッド・ラインを踏み越えてきた。我々は同じ過ちを繰り返すことはできない」と批判、「イドリブ県に対する大規模軍事攻撃は人道危機をもたらす」と警鐘を鳴らした。
AFP, May 17, 2019、ANHA, May 17, 2019、AP, May 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 17, 2019、al-Hayat, May 18, 2019、Reuters, May 17, 2019、SANA, May 17, 2019、SOHR, May 17, 2019、UPI, May 17, 2019などをもとに作成。
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