2013年12月7日のシリア情勢

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月7日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はアレッポ県アターリブ市で犠牲者遺族に対する慰安会を開催し、遺族に補償金を支給した、と報じ、その写真を掲載した。

Kull-na Shuraka’, December 7, 2013

Kull-na Shuraka’, December 7, 2013

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『ラアユ』(12月7日付)は、ダイル・ザウル市中央シャリーア委員会が、ウマル油田周辺の油田の明け渡しを拒否した者を処罰せず、免罪とすることを決定したと報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月7日付)によると、シリア民主主義者連合のマイス・クライディー氏、アマル・カワーリート女史が脱会を発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長がクウェートを「公式」訪問した。

クウェート滞在中、ジャルバー議長は、スバーフ首長らと会談する予定。

シリア政府の動き

DP-News(12月7日付)は、シリア正教会アンタキア総大司教区のルーカー・フーリー副大司教が、祖国、教会、修道院防衛のため、キリスト教徒の若者に武装するよう呼びかけた、と報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イスラーム戦線が、対トルコ国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所にある自由シリア軍参謀委員会の武器庫および拠点複数カ所を戦闘の末に完全制圧した。

この武器庫には、トルコ経由で供与されていた外国からの武器弾薬などが貯蔵されていたという。

イスラーム戦線はまた、バーブ・ハワー国境通行所近くにある使徒末裔旅団(自由シリア軍)の拠点、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点も「制圧」したという。

さらにイスラーム戦線は、アティマ国境通行所周辺に設置された自由シリア軍参謀委員会の拠点複数カ所も制圧したという。

これに関して、シリア革命総合委員会の広報局は、イラク・シャーム・イスラーム国がこれに先立ち、バースキヤー村(アレッポ県)にある自由シリア軍参謀委員会第1師団の拠点複数カ所と、バーブ・ハワー国境通行所の近くにある同師団の武器庫を制圧し、司令官を含む約200人を連行したと発表した。

同広報局によると、イスラーム戦線はこれを受けて、事態に介入し、自由シリア軍とダーイシュの対立を解消させたのだという。

またクッルナー・シュラカー(12月7日付)は、反体制筋の話として、イラク・シャーム・イスラーム国による自由シリア軍参謀委員会拠点襲撃に対して、シャーム自由人運動が介入し、自由シリア軍の戦闘員を保護、これを受け、「サリーム・イドリース参謀長の事務局長がバーブ・ハワーにある参謀委員会の拠点複数カ所のカギを渡した」と報じた。

一方、イスラーム戦線のイスラーム・アッルーシュ大尉は、バーブ・ハワー国境通行所近く(バーブサカー村)の自由シリア軍参謀委員会の武器庫の引き渡しに関して、自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長から「何者かが武器を襲撃、制圧した」との電話連絡を受け、部隊を派遣、同武器庫の守衛、士官が撤退・待避していることを確認、その後同武器庫のカギを参謀委員会から受け取り、武器庫を明け渡されたとの声明を出した。この声明の日付は12月6日晩となっている。

他方、SANA(12月7日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、ハミーディーヤ村、ウンム・ジャリーン村、イドリブ市・サルキーン市間、ハーリム市、マストゥーマ村・煉瓦工場地区間、ジュッブ・アフマル市、カフルジャーリス市、ブワイダル市、マアッラトミスリーン市、ハーッス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、キンディー大学病院周辺で軍と反体制武装集団が交戦する一方、軍はマアーッラト・アルティーク村郊外の山間部、クワイリス航空基地周辺などを爆撃・砲撃した。

また、自由シリア軍参謀委員会の発表によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が参謀委員会のアフマド・ジハーズ少将、ムハンマド・カーディー中将、および両士官と同行していたドライバーを殺害した。

参謀委員会によると、3人はシリア北部に物資を搬入する任務についていたが、前日に消息を絶ち、その後、遺体で発見されたという。

3人は、殺害される前にアアザース市にあるダーイシュの拠点で目撃されているが、処刑方法がダーイシュの手法と異なっており、政権の関与も疑われているという。

一方、SANA(12月7日付)によると、キンディー大学病院、ワディーヒー村、ハンダラート・キャンプ、ハーナート村、ハーン・アサル村、マンスーラ村、カースティールー地方、アレッポ刑務所周辺、ハーディル村、クワイリス村、アッラーン村、ブザーア村、マスカナ市、ダイル・ハーフィル市、アターリブ市・ハーン・アサル村間、ナッカーリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、サラーフッディーン地区、ザバディーヤ地区、ブスターン・カスル地区、旧市街、マルジャ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナバク市郊外の国際幹線道路で、軍、国防隊、ヒズブッラーの戦闘員が、反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(12月7日付)によると、リーマー農場、ダブラ市、ダイル・サルマーン市、バハーリーヤ市、イバーダ市、ファリーファ市、キーサー市、ザマルカー回廊、ハラスター市、ダーライヤー市、ザバダーニー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、アシャーラ市長が何者かによって暗殺された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・フード地区で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が旧市街を砲撃した。

一方、SANA(12月7日付)によると、ヒムス市クスール地区、バーブ・フード地区、ハーリディーヤ村周辺、ダール・カビーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(12月7日付)によると、ジャウバル区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(12月7日付)によると、キンサッバー町、グナイミーヤ村、バーシューラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、チュニジア人やパキスタン人の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が7日深夜から8日に未明にかけてラッカ市内の検問所などで交戦した。

両者は7日のヌスラ戦線検問所でのダーイシュ戦闘員(サウジ人)殺害を機に一気に緊張を高めていたという。

また同監視団によると、第17師団基地周辺で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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クナイトラ県では、ロイター(12月7日付)によると、イスラエル占領下のゴラン高原の境界に設置されたフェンスに複数のシリア人が爆弾を仕掛け爆破させた。

イスラエル軍によると死傷者はなかったという。

レバノンの動き

ナハールネット(12月7日付)によると、北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区内のスーク・カムフ(穀物市場)にあるアラウィー派の商店が何者かに放火され、全焼した。

諸外国の動き

BBC(12月7日付)は、英国人などアル=カーイダの系譜を汲む外国人サラフィー主義者が、トルコ南部の「安全な家」(safe houses)を利用・経由し、シリア国内に潜入、破壊活動を行っていると報じた。

ハタイ県レイハンル市にあるこうした家の一つは、過去3ヶ月で英国人20人を含む150人以上の外国人戦闘員が利用していたという。

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ハバレーンの首都マナマで安全保障フォーラムが開催され、チャック・ヘーゲル米国防長官、ウィリアム・ヘイグ英外務大臣、アラブ諸国の外務大臣らが出席、講演した。

ヘーゲル国防長官は、シリアの化学兵器廃棄問題に関して「廃棄プロセスが完了したとき、化学兵器の脅威はなくなるだろう。これは地域全体、そして世界にとって有益なことだ」と述べた。

またシリアでの紛争に関して「我々はシリアの暴力的過激集団の台頭に対抗しなければならない。我々の反体制勢力への支援が誤った者たちの手に渡らないようにしなければならない」と述べる一方、シリア政府に対して「シリア国民に人道支援を届けることを認めるべきだ」と主張した。

一方、ヘイグ英外務大臣は「紛争が続けば、シリアそのものが解体してしまう。過激派が台頭し、中東の心臓部に無政府地帯が創出されてしまう…。2014年は紛争解決の年になってほしい」と述べた。

このほか、イラクのホシェル・ゼバリ外務大臣は、シリア情勢に関して「いつの日か、アッラーのお許しがないまま、新たなイスラーム国が作られてしまう」と述べ、シリア国内でのサラフィー主義武装集団の台頭に警鐘を鳴らした。

AFP, December 7, 2013、BBC, December 7, 2013、DP-News, December 7, 2013、al-Hayat, December 8, 2013、Kull-na Shuraka’, December 7, 2013、Naharnet, December 7, 2013、al-Ra’y, December 7, 2013、Reuters, December 7, 2013、Rihab News, December 7, 2013、SANA, December 7, 2013、UPI, December 7, 2013などをもとに作成。

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