露外相いわく西側諸国のシリア情勢への対応は「世界レベルの政治的挑発」、またサウジアラビア内閣がアサド政権に対しアラブ連盟ワーキングペーパーの完全実施を再度呼びかける(2011年11月21日)

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アサド政権の動き

ダマスカス郊外県ドゥーマー裁判所の第一検事は、反体制活動家のマージド・サーリフ氏(9月14日逮捕)の釈放を決定した。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(11月21日付)は、ダマスカスの複数の外交筋の話として、ダマスカス県のイーマーン・モスクに隣接するバアス党支部への襲撃を実行したのが、空軍情報部のクサイ・マイフーブ大佐だと報じた。

同報道によると、離反兵はダマスカス県内のロシア大使館、政治治安部ファイハー支部、ファイハー・スタジアム内のナーディー・バラダーなどへの攻撃を計画している、という

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、アサド政権がアラブ連盟のイニシアチブを拒否していると非難し、国連安保理に民間人保護を保障する措置を講じるよう求めた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長、ウサーマ・ムナッジド氏、ニブラース・ファーディル氏、国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア氏、ハルフ・ダーウド氏、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長と会談した。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、来週初めにカイロのアラブ連盟本部で、反体制勢力代表による拡大会合を行うと発表した。

反体制運動掃討

シリア革命総合委員会は複数の都市で14人が殺害されたと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バイヤーダ地区で治安部隊の発砲により市民2人が殺害されたと発表した。同監視団によると、ヒムス市ではライフラインが依然として遮断されたままだという。

これに対してSANA(11月21日付)は、ヒムス市バイヤーダ地区で治安維持部隊が武装テロ集団メンバー4人を殺害し、そのなかには「同市の住民を脅迫してきた武装テロ集団の指名手配者リストの筆頭」に記載されてきた「ハーリド・ラージフ、通称バンダル」が含まれていると報じた。

またシリア人権監視団によると、クサイル市では治安部隊の発砲により2人が殺害された。

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ハマー県では、SANA(11月21日付)によると、ガーブ地方裁判所のブラーヒーム・ムハンマド検事長とカルア治安裁判所のイマード・ムハンマド裁判長が武装テロ集団によって誘拐未遂にあった。

シリア人権監視団によると、カルナーズ、ラターミナ、カフルヌブーダに軍・治安部隊が多数展開したという。

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イドリブ県では、SANA(11月21日付)によると、当局がマアッラ・ニウマーンでワーディー・ダイフの倉庫を襲撃しようとした武装テロ集団を逮捕した。

シリア人権監視団によると、イフスィム村で数千発の銃声が聞こえたという。

諸外国の動き

ロシアの複数の報道機関が伝えたところによると、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、西側諸国のシリア情勢への対応が「世界レベルで政治的挑発を行っているかのようである」と批判した。

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サウジアラビア内閣は閣議でアサド政権に対してアラブ連盟のワーキングペーパーの完全実施を改めて呼びかけた。

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サウジアラビア日刊紙『イクティサーディー』(11月21日付)は、アラブ連盟が近く、旅行、銀行送金、アラブ諸国内の資産凍結、プロジェクト中止、通称、アラブ自由通称地域における資格停止などといった経済制裁をシリアに対して科すだろうと報じた。

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トルコの複数の報道機関によると、メッカでの巡礼を終えて帰国しようとしていたトルコ人巡礼者を乗せたバスがヒムス市近くで襲撃され、トルコ人運転手1人と巡礼者1人が負傷したと報じた。

CNN-Turk(11月21日付)によると、このバスは道を間違ってヒムス市に近づき、襲撃を受けたのち、シリア軍が制止したという。

ドーアン通信(11月21日付)は複数の乗客の証言として、シリア軍兵士8人が検問所まで戻るよう指示したと報じた。また乗客の一人によると、兵士たちが無差別に発砲したという。

この事件を受けるかたちで、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、「限られた期間しか戦車や迫撃砲で支配を維持することはできない」と述べ、アサド大統領に呼びかけるかのように、「お前も去る日がくるだろう」と厳しく非難した。

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レバノンのアマル運動とヒズブッラーは共同声明を出し、「国際的な陰謀」と「脅迫」に対抗するシリアとイランを支持するとの姿勢を改めて示した。

AFP, November 21, 2011、Akhbar al-Sharq, November 21, 2011, November 23, 2011、al-Hayat, November 22, 2011、al-Iqtisadi, November 21, 2011、Kull-na Shuraka’, November 21, 2011、Naharnet.com, November 21, 2011、Reuters, November 21, 2011などをもとに作成。

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