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国内の暴力
SANA(1月14日付)は、武装テロ集団がイドリブ県で線路に爆弾をしかけ、貨物列車を爆破し、積載していた燃料(発電所で使用するための燃料)が燃えて、列車の乗務員3人が負傷したと報じた。
事件に関して、シリア人権監視団は、「革命運動家を疑うために当局が爆破を自作自演したと住民は疑っている」と発表した。
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『ハヤート』(1月15日付)は、反体制筋の話として、ダマスカス郊外県ザバダーニー市で軍と離反兵が交戦し、少なくとも40人が死亡したと報じた。
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シリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市で13歳の少年を含む4人の市民が治安当局によって殺害された。
またイドリブ県クマイナース村出身の男性が13日に治安当局の発砲で受けた傷が原因で死亡した。
ダマスカス郊外県ドゥーマー市でも13日のデモで負傷した若者1人が死亡した、という。
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『クッルナー・シュラカー』(1月14日付)によると、携帯電話会社シリアテルのシステムが午前4時にサイバー攻撃を受け、利用者に「バッシャールの一味は破産した。爆破の真相が露わとなった。国民を殺す裏切り者め」と書かれたSMSが配信されたと報じた。
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ヒムス市で殺害されたフランス人テレビ・レポーターのジル・ジャキエ氏とともに同市で取材していたスイス人ジャーナリストのアフマド・ハンムー氏は『ラ・リベルテ』(1月14日付)で、ジャキエ氏の殺害に関して「多くの疑問点」が浮かぶとしたうえで、「国家犯罪」と断じた。
反体制勢力の動き
シリア軍を離反したムスタファー・アフマド・シャイフ准将は声明を出し「シリア最高軍事評議会」発足の準備があることを明らかにした。
声明によると同評議会は、自由シリア軍との調整のもと反体制軍事作戦の計画を行うという。
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シリア国民評議会はアラブ連盟に対して、連盟監視団のシリア国内での活動に関する報告書を提出した。
22ページからなる報告書には、監視団が秘密の刑務所などを視察できないといった点、都市部からの軍の撤退や逮捕者の釈放が不充分である点などが記されている。
http://issuu.com/love.syria/docs/parallel_report-syria?mode=window&backgroundColor#222222
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民主変革諸勢力国民調整委員会は、メンバーのムハンマド・ジブル・ムサーラマ氏(アラブ社会主義連合民主党ダルアー支部書記長)がダマスカス郊外県キスワ市の空軍情報部の検問所で逮捕されたことを明らかにした。
アラブ連盟の動き
アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、「アラブ連盟監視団は、アラブ諸国外相が要請したように、包括的かつ完全なかたちで(連盟イニシアチブが)履行されていない」と述べ、監視団の活動に関して「包括的な再検討」が不可避との立場を初めて明らかにした。
またムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長が「もはや(シリアには)当初あった歓迎の姿勢はなくなっていると報告した」と述べた。
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アラブ連盟監視団を離反したチュニジア人アンワル・マーリク氏はアルジェリアの『シュルーク』紙(1月14日付)の取材に応え、ダービー団長が「シリアの士官らと夕食をとっている」などと述べ、中立的ではないと批判するとともに、監視団の各チームのリーダーたちが証言や報告内容を改ざんしていると断じた。
レバノンの動き
忠誠への改革ブロック代表でヒズブッラーの党員でもあるムハンマド・ラアド議員がレバノンを訪問中のトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣と会談し、「シリアにおける変革がいかなる外国の介入もなくなされる必要がある」との意思を伝えた。
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サウジアラビアで事実上の避難生活を送るレバノンのサアド・ハリーリー前首相はツイッターで「シリアで変化が起ころうとしている…。彼(アサド大統領)は終わりだ」とつぶやいた。
諸外国の動き
カタールのハマド・ブンハリーファ首長は米CBS(1月14日付)とのインタビューで、シリアでの「殺戮を終わらせるために」アラブ軍を派遣することを提案した。
またシリアの反体制運動を煽動するジャズィーラが果たしている役割に関して「ポジティブである」と自画自賛した。
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AFP(1月14日付)は、米国の複数の高官がアサド政権による反体制デモ弾圧のためにイランが武器支援を行っていると疑っていると報じた。
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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣がレバノンを訪問し、同じくレバノン訪問中の潘基文国連事務総長と会談した。
事務総長報道官によると、会談で「シリアの危機の危険な軌道」が焦点となったと述べた。
AFP, January 14, 2012、AKI, January 14, 2012、Akhbar al-Sharq, January 14, 2012、al-Shuruq, January 14, 2012、al-Hayat, January 15, 2012、Kull-na Shuraka’, January 14, 2012、Naharnet.com, January
14, 2012、Reuters, January 14, 2012、SANA, January 14, 2012などをもとに作成。
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