ヒムス市で軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が継続するなか、オバマ米大統領は「軍事的介入なしに(シリアの危機を)解決することが非常に大切だ」と語る(2012年2月6日)

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国内での暴力

複数の反体制活動家・目撃者などによると、ヒムス県ヒムス市のバーブ・アムル地区など複数の地区で、軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が継続された。

SANA, February 6, 2012

SANA, February 6, 2012

現地で取材をしていたBBC記者によると、300発以上の迫撃砲が早朝からバーブ・アムル地区に降り注いだ。

シリア人権監視団によると、この攻撃により、29人がバーブ・アムル地区、カラム・ザイトゥーン地区、カラム・シャーミー地区、ハーリディーヤ地区、インシャーアート地区、バーブ・スィバーア地区で死亡した。

また掃討作戦はラスタン市に対しても続けられ、シリア人権監視団によると、5人の市民が死亡した。

しかしシリア・アラブ・テレビ(2月6日付)など、シリアの主要メディアは、武装テロ集団がハーリディーヤ地区にしかけた爆弾が爆発し多数の死者が出たと報じた。

またバーブ・アムル地区では同じく武装テロ集団が、石油・パイプラインを爆破し、火災が発生したと報じた。

またSANA(2月6日付)によると、ヒムス市では武装テロ集団が労働者の乗ったバスを襲撃し、1人を殺害した。

また同市内各地で建物を爆破するなど破壊行為を続けたという。

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ダマスカス郊外県では、政府との間に「停戦」が成立していたザバダーニー市でも、軍・治安部隊が戦車などで包囲し、激しい砲撃を加えたという。

またマダーヤー町周辺でも大規模な掃討作戦が行われた。さらにスィルガーヤー町では子供1人を含む2人が殺害された。

シリア人権監視団によると、戦車・装甲車約200輌がザバダーニー市、マダーヤー町を包囲しているという。

一方、SANA(2月6日付)によると、武装テロ集団がザバダーニー市内の建物を攻撃し、市民生活を妨害、関係当局が摘発のための追跡を行った。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マーリア市で市民1人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ市近くの農場に迫撃砲が着弾し、女性2人、子供1人を含む4人が死亡した。

またバーラ村では、シリア人権監視団によると、離反兵が軍・治安部隊を襲撃し准将1人、大尉1人、中尉1人を殺害し、19人の兵士を捕捉した。

一方、SANA(2月6日付)によると、バーラ村で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、3人を殺害した。

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複数の活動家によると、ヒムス市などでの軍・治安部隊による掃討作戦で73人が死亡した。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, February 6, 2012

Kull-na Shuraka’, February 6, 2012

『クッルナー・シュラカー』(2月6日付)は、ヒムス県、ダマスカス郊外県、イドリブ県で掃討作戦を行っている軍・治安部隊の部隊と指揮官に関する詳細情報を発表した。

同報道によると、弾圧を行っている主な部隊と指揮官は以下の通り。

1. 第4師団:アリー・アンマール少将が指揮官。実質的な指揮権はマーヒル・アサド大佐が握り、ザバダーニー市、ヒムス市、イドリブ県の掃討作戦を行う。

2. 第549部隊(闘争連隊):ガッサーン・アサド少将が指揮官。ダマスカス県の防衛を担当し、空軍情報局(ジャミール・ハサン少将)のムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市の掃討作戦を行う。

3. 第90(歩兵・機構)旅団:ズハイル・アサド准将が指揮官。10,000人の兵士からなり、対イスラエル戦線の防衛を担当する一方、ダーライヤー市、カフルバトナー町、ハラスター市、ドゥーマー市で掃討作戦を行う。

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『クッルナー・シュラカー』(2月6日付)は、1月31日に死亡したと報じたマナーフ・トゥラース准将に関して、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市の検問所の静止を無視して車で通過しようとして射殺されたと伝えた。

反体制勢力の動き

トルコで避難生活を送るムスタファー・シャイフ准将がシリア革命最高軍事評議会なる新たな離反兵の組織の発足を宣言した。

同声明によると、評議会は、シリア解放を目的としている。

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自由シリア軍は声明を出し、シリア革命最高軍事評議会の発足宣言に関して、「自由シリア軍に属していない…。誰も代表していない」との声明を発表し、離反兵の間でも権力闘争が生じていることが明らかになった。

自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はこの声明のなかで、「こうした評議会の発足、そしてそのタイミングは政府に奉仕するものだ」と批判した。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、「ロシアと中国とイランが野蛮な虐殺の直接のパートナー」と非難した。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、国連安保理での対シリア決議案に対するロシアと中国の拒否権発動を「シリア国民への平手打ち」と非難するとともに、レバノンの政府に国境地域での偵察活動ではなく、シリア人避難民を支援するよう求めた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシアと中国による安保理での拒否権発動に対する西側諸国の批判に関して、「西側の一部の国の発言は恥ずべきもので、半ばヒステリーだ…。ヒステリックな発言はシリアでの暴力が複数の当事者によって行われていることを隠そうとするものだ」と反論し、「過激な武装集団」による暴力の存在を改めて指摘した。

在サウジアラビア・ロシア大使は、記者会見を行い、シリア国内での暴力が、アサド政権以前に反体制勢力によって行使されていると述べた。

またロシアと中国の安保理での拒否権発動を批判する国々に関して、「我々にはシリアの危機を解決するための提案がある。しかし残念なことに、安保理における我々の友人たちは、それに耳を傾けようとはしない」と批判した。

さらにGCC諸国の強硬な姿勢に関して、シリアでの内戦を望んでいるのかと問い、批判した。

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米政府はダマスカスの米大使館の一時閉鎖を決定した。

バラク・オバマ米大統領はNBC(2月6日付)に対して、「軍事的介入なしに(シリアの危機を)解決することが非常に大切だ」と述べ、「制裁とさらなる圧力を継続」する必要があるとし、「転換を見るまで」バッシングを続ける意思を示した。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相は共同記者会見を開き、国連安保理での対シリア決議案に対するロシアと中国の拒否権発動に関して、「ドイツとフランスはシリア国民を失望させない。今起きていることが「スキャンダル」だとしても、我々は…国際社会の活動に対する妨害を受け入れる準備はしていない」と述べた。

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長と会談した。

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スイスの財務大臣は、シリア政府関係者など34人を新たに制裁リストに加えたと発表した。

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国連総会のアブドゥルアズィーズ・ナスル議長は、シリア問題をめぐる国連の無力に対して大いなる懸念を表明するとともに、アサド大統領に対して「国民に耳を傾ける」よう呼びかけた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は11日に予定されていた緊急閣僚級会合を12日に延期すると発表した。

延期はGCC諸国の要請を受けたもの。

AFP, February 6, 2012、Akhbar al-Sharq, February 6, 2012, February 7, 2012、al-Hayat, February 7, 2012, February 8, 2012、Kull-na Shuraka’, February 6, 2012、Naharnet.com, February 6, 2012、Reuters, February 6, 2012、SANA, February 6, 2012などをもとに作成。

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