2012年2月19日のシリア情勢

中国の動き

中国の翟隽外務次官は国内で反体制活動を行う民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表とダマスカスで会談した。

アブドゥルアズィーム代表は、RT(2月19日付)に対して、会談で中国側に対して、暴力停止のためアサド政権に圧力をかけるとともに、シリア国民を支持するよう求めたと述べた。

また反体制運動の糾合に関して、「反体制勢力の統一は戦略的目標だ。なぜならそれは一方で、反体制勢力そのものを、他方で平和的な民衆のインティファーダを強化するからだ」と述べた。

しかし「この問題(反体制勢力の統一)は内外の反体制勢力による政治的な意思(のとりまとめ)を必要とし、共通の政治的ビジョンを必要とする。しかし一部の活動家は国民的な決定を望んでいない…。シリアの危機解決策をめぐって、国内、アラブ、国際社会で綱引きが行われており…、そのことが解決に至ることを妨げている」と述べ、反体制勢力内の対立や外部介入の弊害を改めて認めた。

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翟外務次官はまた、同じく国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表、ムナー・ガーニム書記長と会談した。

同会談に関して、シリア国家建設潮流は声明を出し、反体制勢力が対話による問題解決を概ね支持しているが、アサド政権が信頼を欠いていることが対話を妨げていると伝えたと発表した。

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中国の新華社通信(2月19日付)は、「シリア危機には対話を通じた平和的な解決への希望が依然としてある」と報じ、外国の介入に改めて警鐘を鳴らした。

国内の暴力・反体制デモ

ダマスカス県では、ダマスカス県・ダマスカス郊外県地元調整委員会報道官だというムハンマド・シャーミーを名のる人物によると、治安部隊が多数展開するなかで、「ゼネストと市民的不服従」の呼びかけに呼応するかたちでカダム区、マイダーン地区、ジャウバル区、バルザ区、カフルスーサ区でゼネストが行われ、学校での授業終了時間後に反体制デモが行われた、という。

マッザ区調整委員会報道官だというアブー・フザイファ・マッズィー氏によると、治安部隊によって(18日に)殺害されたサーミル・ハティーブ氏の葬儀を早朝(7時)に行うよう家族に強制したが、葬儀は10時半に行われた。

またダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市などでも反体制デモが行われた、という。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県ランクース市周辺に戦車・兵員輸送車輌数十両が展開した。

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シリア人権監視団によると、ダルアー県フラーク市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、イドリブ県ジスル・シュグール市、同カフルナブル市、ハサカ県カーミシュリー市でも反体制デモが発生した、という。

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シリア革命総合委員会によると、ヒムス県ヒムス市バーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区などに対する軍・治安部隊の掃討作戦が続いた。

またタドムル市では、シリア人権監視団によると、2月4日から軍・治安部隊の包囲が続き、多くの住民が同市から避難した、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ニダール・ガザール同県裁判所の検事長、ムハンマド・ズィヤーダ判事が乗った車が「何ものか」に襲撃され、両氏と運転手の合わせて3人が殺害された。

SANA(12月19日付)は、武装テロ集団の犯行と断じた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市とマアッラトミスリーン(イドリブ県)を結ぶ街道で男性1人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、スフナ市とアシャーラ市でそれぞれ1人が殺害された。

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ハマー県では、SANA(2月19日付)によると、カフル・トゥーン町とタッル・サキーン村を結ぶバスが武装テロ集団に襲撃され、民間人4人が殺害された。

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複数の活動家によると、治安部隊の弾圧により合わせて約10人が殺害されたという。また、ハマー県上空では戦闘機が旋回したというが、弾圧とは無関係だと思われる。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, February 19, 2012

Kull-na Shuraka’, February 19, 2012

SANA(2月19日付)は、シリア、イラク、レバノン、イランは、イランから3国への電力輸出に関する相互理解覚書に署名したと報じた。

これにより、シリアとレバノンに1,200~1,300メガワットの電力が送電される、という。

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マロン派のサミール・ナッサール・ダマスカス司教は、反体制運動をめぐる困難に関して、「対話の強化」を呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア人ビジネスマンのファイサル・クドスィー氏(ナーズィム・クドスィー元首相の長男、ロンドン在住)は、BBC(2月19日付)に対して、シリア経済が西側の制裁によって打撃を被っており、現体制が「街の圧力」でゆっくりと解体している、と述べた。

諸外国の動き

アルジェリアのアブドゥルアズィーズ・ベルハーディム首相は「アラブ連盟はもはや連盟ではない。その名前とは異なりアラブとはほど遠い。創設メンバーの一つへの軍事介入を安保理やNATOに求め、アラブ諸国の力を破壊する組織になりさがった」と痛烈に批判した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は「我々はリビアで行ったようには(シリアに)介入できない…。しかし別の多くのことができる」と述べた。

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ロシアのガティロフ外務次官はツイッターで「シリアの人権状況への客観的な評価が求められている」と述べ、国連事務総長に専門家の派遣を求めると意思があることを示した。

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エジプト政府は、国内での弾圧継続への「不満のメッセージ」としてシャウキー・イスマーイール在ダマスカス大使の召還を決定した。

シリア政府は対抗措置として、ユースフ・アフマド在カイロ大使の召還を決定した。

AFP, February 19, 2012、Akhbār al-Sharq, February 19, 2012、BBC, February 19, 2012、al-Ḥayāt, February 20, 2012、Kull-nā Shurakā’, February 19, 2012、Reuters, February 19, 2012、SANA, February 19, 2012などをもとに作成。

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