2012年3月31日のシリア情勢

国内の暴力

シリア人権監視団は、各地での軍・治安部隊の掃討作戦により40人が殺害された、と宣伝した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が軍・治安部隊の砲撃に曝され、離反兵との戦闘により軍・治安部隊兵士2人が殺害された。

またラスタン市では市民2人、タルビーサ市では2人が殺害され、ブワイダ村では離反兵と軍・治安部隊の戦闘で1人が死亡した。

一方、SANA(3月31日付)は、レバノンからシリアに潜入しようとした武装テロ集団と関係当局がバアユーン村近くで交戦し、テロリスト多数を死傷させた、と報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール市郊外での軍・治安部隊の捜査・摘発活動で若者2人が殺害された。

またハフターヤー村で拷問の跡が残った遺体2体が発見された、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カラク地方、ガーリーヤ地方で軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

またヒルバト・ガザーラ町周辺でも同様の戦闘があり、軍・治安部隊兵士2人と市民5人が死亡した。

このほかタファス市では、3月30日の反体制デモに対する弾圧で負傷していた市民3人が死亡した、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、大佐が暗殺された(ただし詳細は不明)。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カフルスーサ区でデモの犠牲者の葬儀に参列していた会葬者数千人に治安部隊が発砲した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハルファーヤー市で行方不明になっていた市民の遺体2体が発見された。

その他の国内での動き

国内で反体制活動を行う変革解放国民戦線は、5月7日予定の第10期人民議会選挙に参加するとの意思を示すとともに、「対話こそが、危機脱却の(唯一の)方法だ」と強調した。

戦線が開いた記者会見には、人民意思党(シリア共産主義者統一国民委員会)のカドリー・ジャミール党首、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル氏、トゥーニー・ダウラー牧師が出席した。

外国の反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はシリアの友連絡グループ第2回会合に先だって記者会見を開き、反体制勢力の脆弱さが、革命的ダイナミズムの欠如ではなく、分裂に起因することを認めた。

そのうえで、「(アサド政権)が終わり、現下の運動がオルターナティブを創出し、体制打倒後の段階を検討することにあるとの合意」のもとにシリアの友連絡グループ第2回会合の議事が進められるべく準備をしていると付言した。

さらに自由シリア軍の武装の是非に関しては、「国民の自衛権」は認められているとしたうえで、「自由シリア軍は戦争のための軍隊ではなく、民間人の保護のための軍」と述べ、是認するとの姿勢を明示した。

『ハヤート』(4月1日付)が、複数の消息筋から得た情報によると、シリア国民評議会は、シリアの友連絡グループ第2回会合に向けて、緩衝地帯の設置、シリア国民の「唯一」の代表としての評議会の国際承認、4000万ドル相当の支援物資配給などのための基金設立、体制打倒後の政権幹部の国際刑事裁判所への訴追のための国際調査委員会設置の実現をめざしている、という。

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自由シリア軍報道官のカースィム・サアドッディーン中佐は、アサド政権が軍、装甲車、重火器を都市部から撤退すれば、停戦に応じる準備がある、と述べた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、シリア情勢に関して、「シリア国民は…(アサド)政権が内紛を煽ろうとしていることに気づくべきだ」と述べるとともに、「自由と尊厳は分かつことはできない。ダルアーであれ、パレスチナであれ、(レバノン)南部であれ…。パレスチナには不正があるが、それ以上にシリアの不正はひどい」と付言した。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表は、「シリアでの執拗な暴力によって革命は衰えず、また過激派を増長させている…。シリア危機の唯一の解決策はアラブ諸国と国連安保理のもとでの真の国民投票だ」と述べた。

諸外国の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使のアフマド・ファウズィー氏は「サウト・ルブナーン」(3月31日付)で、「停戦後ただちにダマスカスに監視団を派遣する…。一両日中にそのための調整と準備を行う」との意向を示した。

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イラク政府は、「仲介者としての役割を維持するため」、イスタンブールでのシリアの友連絡グループ第2回会合に参加しない方向だ、と発表した。

AFP, March 31, 2012、Akhbār al-Sharq, March 31, 2012、al-Ḥayāt, April 1, 2012、Kull-nā Shurakā’, March 31, 2012、Naharnet.com, March 31,
2012、Reuters, March 31, 2012、SANA, March 31, 2012などをもとに作成。

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