イドリブ県などでシリア軍と「決戦」作戦司令室の戦闘が続く(2020年11月1日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから241日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がM4高速道路の沿線に位置するタルナバ村近郊でシリア軍の車輌を攻撃し、兵士多数が死傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

「決戦」作戦司令室はまた、ザーウィヤ山地方のファッティーラ村近郊で、シリア軍の車輌を攻撃、兵士多数が死傷したほか、シリア政府の支配下にあるダール・カビーラ村、ミラージャ村を砲撃した。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるカファルヤー町、ザーウィヤ山地方のカンスフラ村、ラーミー村、カフルシャラーヤー村、カフル・ウワイド村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のサルマーニーヤ村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方一帯を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がダーラ・イッザ市にある国民解放戦線を傘下に置く国民軍の拠点を包囲し、これを制圧した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を29件(イドリブ県14件、ラタキア県8件、アレッポ県2件、ハマー県5件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は29件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を5件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, November 1, 2020、ANHA, November 1, 2020、al-Durar al-Shamiya, November 1, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 1, 2020、Reuters, November 1, 2020、SANA, November 1, 2020、SOHR, November 1, 2020などをもとに作成。

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