シリア軍はイドリブ県マアーッラト・ウルヤー村にあるトルコ軍の拠点一帯を砲撃(2020年11月9日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから249日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が政府支配下のサラーキブ市の西に位置する「決戦」作戦司令室支配下のマアーッラト・ウルヤー村にあるトルコ軍の拠点一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまた「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のカンスフラ村、バーラ村、ファッティーラ村、バイニーン村、ダイル・サンバル村、ハフサルジャ村、サラーキブ市西近郊一帯を砲撃した。

これに対して「決戦」作戦司令室はシリア政府の支配下にあるカフルナブル市を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原に潜入を試みる一方、「決戦」作戦司令室もシリア政府の支配下にある歓迎計画地区に潜入、交戦した。

シリア軍はまた「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村、クライディーン村、マシーク村、サルマーニーヤ村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方のタルディーン村、カッバーナ村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(イドリブ県16件、ラタキア県11件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は28件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を11件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, November 9, 2020、ANHA, November 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 9, 2020、Reuters, November 9, 2020、SANA, November 9, 2020、SOHR, November 9, 2020などをもとに作成。

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