所属不明のドローンがイドリブ県で「穏健な反体制派」として知られた自由イドリブ軍の車輌を攻撃(2020年11月11日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから251日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、所属不明の無人航空機(ドローン)が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるM4高速道路沿線のアリーハー市に近いマアッルバリート村で、バラク・オバマ前米政権の支援を受けていた「穏健な反体制派」の一つ自由イドリブ軍の戦闘員が乗った車輌を攻撃した。

死傷者はなかった。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、シリア軍は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のフライフィル村、カンスフラ村、バーラ村一帯、バイルーン村を砲撃した。

これに対して、「決戦」作戦司令室を主導するシャーム解放機構は、シリア政府の支配下にあるカフルナブル市などにグラード・ロケット弾約25発を打ち込んだ。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を30件(イドリブ県22件、ラタキア県3件、アレッポ県1件、ハマー県4件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は30件。

一方、トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, November 11, 2020、ANHA, November 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, November 11, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 11, 2020、Reuters, November 11, 2020、SANA, November 11, 2020、SOHR, November 11, 2020などをもとに作成。

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