SANAは米軍がハサカ県各所からダーイシュのイラク人メンバー多数をタンフ国境通行所の基地に移送したと伝えるが、シリア人権監視団はこれを否定(2021年1月5日)

SANA(1月5日付)は、複数の地元筋の話として、米軍が、ハサカ県内の北・東シリア自治局支配地内の複数の刑務所に収監していたダーイシュ(イスラーム国)のメンバー数十人を、ヒムス県南東部のタンフ国境通行所に設置されている米軍基地に移送したと伝えた。

移送されたダーイシュ・メンバーは60人。

うち10人がシャッダーディー市東のキャンプ・ブルガール刑務所(ジャブサ・ガス刑務所)の収監者、50人がハサカ市の工業高校刑務所(グワイラーン刑務所)。

護衛を伴った米軍装甲車複数輌でシャッダーディー市に設置されている米軍基地に移送sれたのち、ヘリコプターでタンフ国境通行所に向かったという。

移送されたメンバーのなかには、爆弾製造を統括していたイラク人のカーズィム・ハサン・ジャルカーム氏(アブー・バラー)、車爆弾の製造を専門とするイラク人のハルファーン・ジュドゥーア・ハムド氏らが含まれているという。

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これに関して、シリア人権監視団は、ダーイシュ・メンバー60人の移送は、有志連合が定期的に行っているイラク人メンバーのイラクへの移送であって、タンフ国境通行所には移送されておらず、その数も数十人単位ではないと発表した。

AFP, January 5, 2021、ANHA, January 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, January 5, 2021、Reuters, January 5, 2021、SANA, January 5, 2021、SOHR, January 5, 2021などをもとに作成。

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