カーミシュリー市での国防隊と内務治安部隊の戦闘続く、ロシア軍とシリア民主軍の仲介で一時停戦(2021年4月23日)

ハサカ県では、ANHA(4月23日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市ではまた、バニー・サブア部族の名士の1人ハーイス・ジャルヤーン氏が早朝、政府支配下の国立病院の北東にある自宅前で何者かによって銃で撃たれて死亡した。

殺害される直前、ジャルヤーン氏は国防隊との会合に出席し、戦闘停止を説得していたという。

カーミシュリー市ではまた、国防隊と内務治安部隊(アサーイシュ)による戦闘が続いた。

戦闘は、タイ地区内(アッバース・アッラーウィー学校、イブン・スィーナー学校一帯、同地区西部など)やハルクー学校一帯で激しく行われ、国防隊は同地の建物の屋上などに狙撃手を配置し、内務治安部隊に対峙した。

これに対して、内務治安部隊は、国防隊が攻撃の拠点としていたタイ地区東部のファーディル・ハサン学校とイブン・スィーナー学校を制圧した。

国防隊と内務治安部隊の戦闘を収束させるため、ロシア軍憲兵隊と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の代表が、カーミシュリー市内で会合を開き、4月24日午後6時から25日午前10時までの一時停戦を合意した。

これを受け、内務治安部隊は声明を出し、ロシア軍憲兵隊とシリア民主軍の仲介と保障を受け入れ停戦すると発表した。

一方、国防隊は、停戦合意後もハルクー地区に至る交差点にある内務治安部隊の拠点複数カ所に対して攻撃を加えた。

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北・東シリア自治局執行評議会のビーリーファーン・ハーリド共同議長は、ANHA(4月23日付)の取材に応じ、そのなかで、「ダマスカスの政府は、その傭兵を頻繁に用いて、地域の安定と治安を脅かし、地域における自治のプロジェクトを反故にしようとしている」と批判、国防隊の攻撃を食い止めると断固たる意思を示した。

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SANA(4月23日付)によると、カーミシュリー市近郊のジャルマズ村でタイ部族の部族長と名士たちが会合を開き、カーミシュリー市一部地区に対するシリア民主軍の攻撃や住民に対する犯罪行為を非難する声明を出した。

声明において、部族長と名士らはまた、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東地域)の部族に対して、米国の支援を受けるシリア民主軍に対して団結して対抗するよう呼び変えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるズィーバーン町で、シリア民主軍が密輸用の水上通行所に勤務していた男性を射殺した。

AFP, April 23, 2021、ANHA, April 23, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 23, 2021、Reuters, April 23, 2021、SANA, April 23, 2021、SOHR, April 23, 2021などをもとに作成。

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