アサド大統領はアブハジアのブジャニヤ大統領と会談「イスラエルはパレスチナ人民に対するテロと権利侵害の上に成り立っている」(2021年5月17日)

アサド大統領は、5月16日にシリア入りしたアブハジヤのアスラン・ブジャニヤ大統領を団長とする同国使節団と首都ダマスカスの人民宮殿で会談した。

SANA(5月17日付)によると、会談では、二国間関係の強化、帝国主義ヘゲモニーへの抵抗、軍事・政治・経済テロへの対応、両国情勢、パレスチナにおけるイスラエルの「虐殺」、ウクライナ・クリミア情勢などについて意見が交わされた。

会談には、シリア側から、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣、マンスール・アッザーム大統領府担当国務大臣、ムハンマド・サーミル・ハリール経済対外通商大臣、ムハンマド・ラーミー・マルティーニー観光大臣、ズハイル・ハズィーム運輸大臣(使節団受入代表)、ムハンマド・ハッサーン・カトナー農業・農業改革大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府特別顧問、ルーナ・シブル大統領府特別顧問が出席した。

アブハジア側からは、使節団を構成するブジャニヤ大統領、ヴァレリー・クヴァルキア国会議長、アルカス・クヴィツィナ大統領府事務局長、ベスラン・ゴボア第1副首相兼農業大臣、クリスティーナ・オズガン副首相兼経済大臣、ダウル・コフィ外務大臣、タモラズ・ケシュバ観光大臣、バグラット・コタバ駐シリア大使が出席した。

**

会談後の共同記者会見で、アサド大統領は次のように述べた。

両国の協力の展望は、それを支える多くの要素があるため大きく拡がっている。その筆頭にあげられるのが、共通の社会的要素である。シリアには、2世紀あまり前からアブハジア人コミュニティがあり、彼らは常にシリアの社会的調和(ナスィージュ)の一部となり、シリアの建設、10年にわたるこの戦争での国防に貢献し、殉教者を差し出してくれた。両国にはアルメニア人も暮らしている。ロシアの家族も共にシリアで暮らしている。その数は数百ではなく数千世帯に及ぶ。

共通の社会的要素があれば、協力の絆が作られるのは当然のことだ。アブハジアは、テロに対するこの戦争でシリアと共にあった。シリアはアブハジア、その国と国民の自決、独立の権利、そして世界の他の国々と同じように国家承認を受ける権利と共にあった。

私は大統領に最近になってパレスチナの領内で起きていること、パレスチナ人民に対するイスラエルの攻撃について説明した。イスラエルは常にパレスチナ人民に対するテロ、彼らの権利の侵害、他者の権利の侵害の上に成り立っていると話した。

改めて、今回の訪問が、第1に今後締結される協定ゆえに、第2に、今回議論され、今後合同委員会で議論される議題、さらにはこうした関係を前進させたいという両国、そして両国民の共通の意思ゆえに、重要な訪問になると明言したい。

これに対して、ブジャニヤ大統領は次のように述べた。

シリア国民が平和、安定、繁栄を享受することを願っています。あなた方の計画目標のすべてが達成されると確信している。

シリアがアブハジアの独立を承認したことを非常に感謝している。これによって広範な協力関係の門戸が開かれた。

私の今回の訪問が、経済、文化、社会、さらには教育といった分野での実質的なせいかを達成するためのモーメンタムになるだろう。

 

その後、ブジャニヤ大統領は、カシオン山の戦没者慰霊碑を訪問し、献花した。

AFP, May 17, 2021、ANHA, May 17, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 17, 2021、Reuters, May 17, 2021、SANA, May 17, 2021、SOHR, May 17, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.