マンビジュ市近くの通行所でシリア民主軍の徴兵に抗議する住民との連帯を訴えるデモが行われる一方、マンビジュ市の部族長と名士は徴兵制廃止などを要求することを合意、北・東シリア自治局は緊急会合で対応協議(2021年6月6日)

アレッポ県では、SANA(6月6日付)によると、シリア政府支配地域と北・東シリア自治局支配地域の境界に位置するターイハト・トゥワイマート村とアブー・カフフ町間の通行所で、アレッポ県の部族らが集まり、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の徴兵制に抗議するマンビジュ市および同市一帯での抗議デモへの連帯を表明した。

デモ参加者は声明を発表し、「シリア民主軍とそれに付随する者たちがマンビジュ市から退去し、同地の住民に寄り添わなければ、我々は同市に入る」、「雇われた殺戮者との交渉も和解もない」、「賢き殉教者たちの血はシリア民主軍とそれに付随する者たちのマンビジュ市からの退去を必ずもたらす」と表明した。

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また、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市で地元の部族長と名士が会合を開き、マンビジュ民政評議会(正式名マンビジュ市および同郊外民主民政評議会)に対して、6月10日木曜日までに、政治支配地域から同市に搬入させる商品にかけられている関税の撤廃、同市に配給される燃料の増量、飼料とセメントの適正価格での提供、民政評議会の解体と、住民による新たな民政局の選出、同市が受け入れている国内避難民(IDPs)への補償金の廃止を求めることでを合意した。

会合ではまた、住民の要求をとりまとめ、マンビジュ民政評議会に示すことを目的とする小委員会を設置する旨を合意した。

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一方、ANHA(6月6日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市で、シリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会がすべての司令部と所属機関代表を一堂に会して緊急会合を開催し、同市および周辺地域の情勢への対応について協議した。

マンビジュ軍事評議会の広報センターによると、会合では、内乱を煽り、治安と安定を見出そうとする勢力がいるとしたうえで、こうした動きを許さず、慎重に対応することを確認した。

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このほか、ラッカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマーニイーヤ村で住民1人が自宅で正体不明の武装集団を受けて死亡した。

AFP, June 6, 2021、ANHA, June 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2021、Reuters, June 6, 2021、SANA, June 6, 2021、SOHR, June 6, 2021などをもとに作成。

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