ダルアー市ダルアー・バラド地区で立て籠もりを続ける反体制武装集団メンバーを代表する中央委員会はロシア側に停戦合意を受諾したと伝える(2021年9月5日)

ダルアー県では、SANA(9月5日付)などによると、武装解除を拒否するダルアー市ダルアー・バラド地区で立て籠もりを続ける元反体制武装集団メンバーらがシリア北部への退去を拒否したことを受けて、シリア軍(第4師団)が同地の元反体制武装集団メンバーの拠点や放題に対して集中的に攻撃を加えた。

シリア人権監視団によると、シリア軍の砲撃により、3人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア政府の治安委員会と武装解除を拒否してダルアー市ダルアー・バラド地区で立て籠もりを続ける反体制武装集団メンバーを代表する中央委員会がロシア軍の使節団の仲介のもと、ダルアー市マハッタ地区にある県立競技場で会合を開いた。

この会合で、中央委員会側は、ロシア軍の使節団に対して、9月1日に交わされた停戦合意を6日に実施する旨を伝えた。

合意が実施されれば、元反体制武装集団メンバーの武装解除と社会復帰、武装解除拒否者のシリア北部への移送、ロシア軍憲兵隊の監督のもとシリア軍によるダルアー市ダルアー・バラド地区内など10カ所の検問所設置などが行われる。

武装解除拒否者は、シリア北部への移動に向けた準備を始めているという。

一方、HFL(9月5日付)は、ロシア軍側が9月6日の午前10時までの猶予を与え、それまでに合意が実施されない場合、シリア軍が介入すると脅迫したと伝えた。

なお、シリア人権監視団によると、ダルアー市ダルアー・バラド地区の包囲(立て籠もり)が始まった6月末以降の犠牲者は、民間人23人(うち子供6人、女性4人)、シリア軍兵士26人、元反体制武装集団メンバー20人。

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このほか、シリア人権監視団によると、ダルアー県ダーイル町で空軍情報部の兵士2人が何者かによって殺害された。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、占領下ゴラン高原に近いハッジャ村でシリア軍の士官1人と治安機関協力者1人が何者かによって殺害された。

殺害時、上空にはイスラエル軍航空機が旋回していたという。

AFP, September 5, 2021、ANHA, September 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 5, 2021、HFL, September 5, 2021、Reuters, September 5, 2021、SANA, September 5, 2021、SOHR, September 5, 2021などをもとに作成。

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