シリア反体制勢力の動き(2014年5月19日)

シリア革命反体制勢力国民連立のアスアド・ムスタファー暫定政府国防大臣が辞職した。

ムスタファー前国防大臣は辞職に合わせてメッセージを発表、そのなかで「政権が国民の頭上でシリアを破壊し続けることに対して偽証者でありたくない」と述べるとともに、「(暫定政府)国防省は、革命家たちのニーズに即応するための最低限の義務すら果たす能力がない。これらの要求を実現するためのあらゆる答えは潰えてしまった」と抗議の意を示した。

Kull-na Shuraka', May 19, 2014

Kull-na Shuraka’, May 19, 2014

反体制筋によると、ムスタファー国防大臣は、連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長から戦闘員への資金不足に抗議して辞職したというが、連立筋によると、ムスタファー国防大臣は、ジャルバー議長に暫定政府首班の職を要求、これが拒否されたことを受け辞職したという。

一方、連立のムハンマド・ファールーク・タイフール副議長(シリア・ムスリム同胞団)は、ムスタファー国防大臣の辞職が、「シリアの危機管理の方法をめぐる国際社会の対応」が原因だと述べた。

タイフール副議長は「シリア人の苦悩に対して大国が下した決定は、現地で解釈がなされた場合、象徴的で価値がない」と非難した。

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ダイル・ザウル県で活動するとされる「自由シリア軍対ダーイシュ作戦司令室」は声明を出し、アフマド・ムスタファー国防大臣辞職にいたるシリア革命反体制勢力国民連立暫定政府の対立が、ダイル・ザウル県、とりわけ自らへの資金供与や買収行為をめぐるものだとしたうえで、アフマド・トゥウマ首班およびムスタファー前国防大臣の両名を承認しないことを決定したと発表した。

また「自由シリア軍対ダーイシュ作戦司令室」は、自由シリア軍参謀委員会のアブドゥルイラーフ・バシール参謀長に対して、顧問の一人であるアフマド・ジャディーア准将にダイル・ザウル県での作戦に関与しないよう支持するよう求めるとともに、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長とサウジアラビア政府にダイル・ザウル県住民の救済するよう呼びかけた。

なお声明には以下の武装集団が署名した:

1. ジャアファル・タイヤール・イスラーム旅団

2. イブン・カイイム旅団

3. アーイシャ末裔旅団

4. ズバイル・ブン・アウワーム旅団

5. アンサール・スンナ旅団

6. バシャーイル・ナスル旅団

7. バドル殉教者旅団

8. タービヤ殉教者旅団

9. ムウタ旅団

10. イフラース軍

11. カーディスィーヤ旅団所属各大隊

12. ハムザ革命旅団

13. アンサール・ハック戦線

14. ウマル旅団所属カアカーア・イスラーム旅団

15. アフル・スンナ・ワ・ジャマーア軍

16. ハック軍

17. アッラー・アクバル大隊

18. ウマル・ムフタール旅団

19. ジャルズィー殉教者旅団

20. ハドラー旅団

21. アスマー大隊所属アブー・バクル大隊

22. ジャズィーラの盾旅団所属アーイシャ大隊

シリア人権監視団は、2011年3月18日から2014年5月17日までの紛争による死者総数が16万2,402人に達したと発表した。

死者の内訳は、民間人が5万3,978人(うち8,607人が子供)、軍および親政権武装集団戦闘員が6万1,170人、ジハード主義武装集団を含む反体制武装集団戦闘員が4万2,701人、身元不明者が2,891人だという。

反体制武装集団戦闘員4万2,701人は、離反兵および武装した民間人と、外国人戦闘員およびジハード主義者に分類され、前者の死者数は2万9,201人、後者は1万3,500人だという。

一方、軍および親政権武装集団戦闘員6万1,170人のうち、軍・治安部隊兵士は3万7,685人、国防隊および人民諸委員会のメンバーが2万3,485人だという。

またこのほかに、ヒズブッラー戦闘員死者が438人、そのほかの親政権外国人戦闘員が1,224人いるという。

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ARA News(5月20日付)によると、シリア・クルディスタン民主党がイラク・クルディスタン地域のアルビル市で合同会合を開き、参加4党の組織を統合した。

AFP, May 19, 2014、AP, May 19, 2014、ARA News, May 19, 2014、Champress, May 19, 2014、al-Hayat, May 20, 2014、Kull-na Shuraka’, May 19, 2014、al-Mada Press, May 19, 2014、Naharnet, May 19, 2014、NNA, May 19, 2014、Reuters, May 19, 2014、SANA, May 19, 2014、UPI, May 19, 2014などをもとに作成。

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