米匿名高官:タンフ国境通行所の米軍基地への攻撃に使用されていたドローンは5機でイラン製、米軍は攻撃を事前に察知し兵士を退避させていた(2021年10月26日)

AP(10月26日付)は、ヒムス県南東部のタンフ国境通行所に米軍(そして英軍)が違法に設置されている基地に対する10月20日の所属不明の無人航空機(ドローン)とロケット弾による攻撃に関して、米国の高官らはイランが背後にいると考えていると伝えた。

高官らは、匿名を条件に、攻撃がイランの支援を受けて促され、ドローンはイランを離陸して攻撃を行ったわけではないが、イラン製だと考えていると述べた。

匿名高官らによると、攻撃は爆発物を装備したドローン5機によって行われ、タンフ国境通行所の基地内の米軍部隊の駐屯地とシリアの反体制派の展開地が狙われた。

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フォックス・ニュース(10月26日付)は、ヒムス県南東部のタンフ国境通行所に米軍(そして英軍)が違法に設置されている基地に対する10月20日の所属不明の無人航空機(ドローン)とロケット弾による攻撃に関して、米軍が事前に攻撃を察知していたと伝えた。

米軍高官がフォックス・ニュースに明らかにしたところによると、攻撃に先立って、米軍はC-130輸送機複数機で基地に駐留する米軍約200人を退避させ、攻撃時に基地にいた米兵は25人程度だったという。

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米国防総省のジョン・カービー報道官は、ヒムス県南東部のタンフ国境通行所に米軍(そして英軍)が違法に設置されている基地に対する10月20日の所属不明の無人航空機(ドローン)とロケット弾による攻撃に関して、「複雑で、連携が行われ、慎重な」攻撃だったとしつつ、詳細についての言及を避けた。

カービー報道官は「海外の我が軍の保護と安全は最重要課題だ…。報復がなされるとすれば、それは我々が選んだ時間、場所、そして方法によるものとなる。我々がこうした決定に先んじて何かすることはないだろう」と述べるにとどまった。

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なお、イランのファルス通信(10月22日付)、レバノンのヒズブッラーに近いアフド・ニュース(10月22日付)など親イラン・ヒズブッラーの複数のメディアは、この攻撃が10月18日のイスラエル軍によるヒムス県中部のT4航空基地(タイフール航空基地)への爆撃に対する「抵抗枢軸」の報復だと伝えているという。

AFP, October 26, 2021、al-‘Ahd, October 22, 2021、ANHA, October 26, 2021、AP, October 26, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2021、Fars News Agency, October 22, 2021、Fox News, October 26, 2021、Reuters, October 26, 2021、SANA, October 26, 2021、SOHR, October 26, 2021などをもとに作成。

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