自由シリア軍がダマスカス県ジャウバル区のシナゴーグから盗み出したトーラーの写本5点がトルコ南東部で押収される(2021年10月26日)

アナトリア通信(10月26日付)は、トルコ南東部のマルディン県でシリアから密輸されたユダヤ教の聖典トーラー(律法)写本少なくとも5点が押収されたと伝えた。

トーラーが押収されたのはクズルテペ市。

メルディン県の治安当局が通報をもとに調査を行った結果、トーラーの写本5点を発見したという。

写本は1000年前に制作されたもので、金の刺繍入り。

この事件に関連して、警察は容疑者1人を拘束した。

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シリア人権監視団が11月2日に発表したところによると、押収されたトーラーは「自由シリア軍」を名乗るラフマーン軍団がダマスカス県ジャウバル区のシナゴーグから盗み出したもの。

ラフマーン軍団は2018年4月にジャウバル区およびダマスカス郊外県東グータ地区でのロシア・シリア軍との戦闘に敗れ、共闘していたシャーム解放機構の戦闘員らとともにイドリブ県やトルコ占領地に移送されていた。

トーラーは、トルコ占領下のアレッポ県北西部のアフリーン郡に退去したアブドゥンナースィル・シャミールを名乗るラフマーン軍団の司令官が保有していた。

だが、最近になって、アフリーン郡に退去したジャウバル区の名士らが、ラフマーン軍団がシナゴーグから盗んだトーラーなどの引き渡しを求めたことで対立が生じていた。

引き渡しを拒んだラフマーン軍団がトルコ領内に持ち込んだものと見られる。

なお、ラフマーン軍団が盗み出したトーラーの写本は2019年と2020年にもトルコ領内で3点が押収されている。

AFP, November 2, 2021、Anadolu Ajansı, October 26, 2021、ANHA, November 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 2, 2021、Reuters, November 2, 2021、SANA, November 2, 2021、SOHR, November 2, 2021などをもとに作成。

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