コーランの解釈をめぐる宗教関係省との対立の末、ハッスーン共和国ムフティーが定年と任期終了を理由として解任される(2021年11月15日)

ドゥラル・シャーミーヤ(11月15日付)など複数の反体制派メディアは、宗教関係省がアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師を共和国ムフティーの職から解く決定を発出したと伝えた。

決定によると、解職は、ハッスーン師が、定年を迎え、2018年法律第31号によって定められた任期を終了したのを受けたもの。

ハッスーン師の任期は2021年10月25日に終了していた。

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ハッスーン師をめぐっては、11月10日に行われた歌手サバーフ・ファフリー氏の弔問会で、コーランの無花果章について、以下の通り述べ、シリア難民を卑下するような主張を展開していた。

聖コーランにおけるコーランの地図はどこにあるのか? 我々の礼拝において何度も誦えられている聖句のなかにある。
それは次のようなものだ。
1. 無花果とオリーブにおいて、2. シナイ山において、3. また平安なこの町において(誓う)。4. 本当にわれは、人間を最も美しい姿に創った。
アッラーはこれらの国(シャームのくにぐに、シナイ、メッカ)の人間を最も美しい姿で創られた。だが、そこを去った人間を、アッラーはもっとも低い者とした。
すなわち、信仰し、正しいことを行った者たちのみを完全なものとした。それゆえ、彼ら、つまり、シリアにとどまった者には絶えず良き報いが与えられている。
自分たちの国に戻り給え。国外にはあなた方のために祈ってくれる者を見出すことはできない。

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無花果章の和訳は以下の通り:

1. 無花果とオリーブにおいて、
2. シナイ山において、
3. また平安なこの町において(誓う)。
4. 本当にわれは、人間を最も美しい姿に創った。
5. それからわれは、かれを最も低く下げた。
6. 信仰して善行に勤しむ者は別である。かれらに対しては果てしない報奨があろう。
7. なぜそれでも、おまえは宗教(真実)を否定するのか。
8. アッラーは、最も優れた審判者ではないか。

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このタフスィールに関して、フィクフ科学評議会は11月11日に声明を出し、この解釈が逸脱したものだとの見解を示していた。

AFP, November 15, 2021、ANHA, November 15, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 15, 2021、Reuters, November 15, 2021、SANA, November 15, 2021、SOHR, November 15, 2021などをもとに作成。

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