大統領選挙をめぐる動き(2014年5月28日)

SANA(5月28日付)などによると、シリア大統領選挙在外投票が在外公館で実施された。

これに関して、『ワタン』(5月28日付)は、外務在外居住者省筋の話として、在外投票に先だって、38の在外公館に約20万人の在留シリア人が選挙登録を行った、と報じた。

SANAなどによると、在外投票が実施された主な国は以下の通り:

アラブ諸国:ヨルダン、イラク、レバノン、スーダン、モーリタニア、オマーン、イエメン、アルジェリア。

そのほかの中東諸国:イラン、アルメニア、キプロス。

西中北欧諸国:スペイン、オーストリア、スウェーデン、チェコ。

東欧諸国:ロシア、ポーランド、ウクライナ、セルビア、ベラルーシ、ルーマニア。

中南米諸国:ヴェネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、キューバ。

アフリカ諸国:南アフリカ、ナイジェリア、セネガル。

アジア諸国:日本、中国、北朝鮮、マレーシア、インド、パキスタン。

しかし、「シリアの友連絡グループ」に参加する11カ国を含むアラブ連盟加盟国12カ国、米、英、仏などの欧米諸国では在外投票は禁止された。

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

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SANA(5月28日付)によると、在外投票が実施された在外公館のうち、ベイルートのシリア大使館では、予定されていた投票時間(5月28日午前7時~午後5時)を過ぎても、在留シリア人による投票が終わらなかったため、外務在外居住者省は投票時間を午後10時まで延長、また29日も在外投票も行うことを決定した。

またSANAなどシリアの主要なメディアは、ベイルートのシリア大使館に投票に向かう在留シリア人の車が渋滞する様子を報じた。

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AFP(5月28日付)によると、ヨルダンの首都アンマン(アブドゥーン地区)にあるシリア大使館で、大統領選挙在外投票が行われ、治安当局が厳戒態勢を敷くなか、大使館前には数百人の在留シリア人が列を作り、投票の順番を待った。

しかし、SANA(5月28日付)は「数万人の在留シリア人」が在外投票を済ませたと報じた。

またAFP、SANなどによると、投票を行った在留シリア人は、シリア国旗やアサド大統領の掲げ、選挙実施への支持を表明した。

これに対し、大使館から200メートル弱の場所で、反体制活動家数十人が集まり、「血の選挙に反対」、「と殺人再選に反対」といったプラカードを掲げて選挙に抗議した。

なおヨルダンには、60万人以上がUNHCRに難民登録を行っているが、ヨルダン当局によると避難民を含む在留シリア人は約700万人に達するという。

国連によると、周辺諸国などで避難生活を送るシリア人の数は2014年4月の段階で280万人以上おり、うち100万人以上がレバノン、77万人がトルコ、60万人がヨルダン、22万人がイラク、13万7,000人がエジプトで避難生活を送っている。

また国内で避難生活を余儀なくされているシリア人は650万人に達している。

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イラクの首都バグダードでは、SANA(5月28日付)によると、予定されていた投票時間(5月28日午前7時~午後5時)を過ぎても、在留シリア人による投票が終わらず、投票時間が深夜まで延長された。

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日本では、東京都港区赤坂にあるシリア大使館に「日本の南北から多数」の在留シリア人が訪れ、で在外投票が行われた。

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なおSANA(5月28日付)によると在外投票が行われた各国(ロシア、ヨルダン、レバノンなど)では、投票に訪れた在留シリア人が選挙実施を支持する示威行動を行った。

また、大統領選挙在外投票が実施されなかった米国(ウィスコンシン州)、エジプト(カイロのシリア大使館前)、スイス、フランス、ドイツ、ベルギーでは、在留シリア人が、大統領選挙実施を禁じた当局に抗議するためのデモ集会を開き、参加者が用意した投票箱に投票用紙を入れ、抗議の意を示した。

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最高憲法裁判所のマージド・フドラ報道官はAFP(5月28日付)に対し「(6月3日に投票が行われる大統領)選挙は、ラッカ市以外のすべての都市で実施される」と述べた。

これに関して『ハヤート』(5月29日付)は、「すべての都市」という言葉に、ダマスカス郊外県、シリア北部よび東部、さらにはアレッポ市やダイル・ザウル市の反体制勢力制圧地区での選挙は想定されていない、としたうえで、約600万人が居住するシリア領内の40%の地域で選挙が行われるに過ぎないとの見方を示した。

なお、シリアの総人口(2013年)は約2,300万人。

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SANA, May 28, 2014

SANA, May 28, 2014

SANA(5月28日付)によると、アレッポ市(アレッポ大学)で、大統領選挙実施と軍による「テロとの戦い」を支持する集会が開かれ、バアス党支部幹部、学生、人民諸組織、職業諸組合メンバーらが参加し、アサド大統領への支持を訴えた。

集会には、バアス党シリア地域指導部のヒラール・ヒラール副書記長が出席した。

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クッルナー・シュラカー(5月28日付)は、ラタキア県ジャブラ市で、6月3日に行われる大統領選挙への投票をボイコットするよう呼びかけるビラが配布されたと報じた。

Kull-na Shuraka', May 28, 2014

Kull-na Shuraka’, May 28, 2014

AFP, May 28, 2014、AP, May 28, 2014、ARA News, May 28, 2014、Champress, May 28, 2014、al-Hayat, May 29, 2014、Kull-na Shuraka’, May 28, 2014、al-Mada Press, May 28, 2014、Naharnet, May 28, 2014、NNA, May 28, 2014、Reuters, May 28, 2014、SANA, May 28, 2014、UPI, May 28, 2014などをもとに作成。

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