民主統一党のムスリム共同党首はシリア問題の解決が「アサド抜きではなされえない」との見解を示す、アフリーン市郊外では同党人民防衛隊がイスラーム国の司令官を含む6人を殺害(2013年10月25日)

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反体制勢力の動き

『ラアユ』(10月25日付)は、民主的変革諸勢力国民調整員会のムンズィル・ハッダーム報道官の話として、同委員会がシリア革命反体制勢力国民連立メンバーのリヤード・サイフ元人民議会議員を団長とする反体制勢力合同使節団を結成し、ジュネーブ2会議に出席することに同意したと報じた。

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民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はトルコのカナルD(10月25日付)のインタビューに応じ、そのなかで「アサド抜きで(紛争)解決に至ることは不可能だ。なぜならアサドが残留しないいかなる解決策も、シリアのアラウィー派200万人の殺戮を意味するからだ」と述べた。

シリア政府の動き

シリア・アラブ・テレビ(10月25日付)は、軍がラタキア県郊外でシャームの民のヌスラ戦線の指導者アブー・ムハンマド・ジャウラーニーを殺害したとの速報を流した。

しかし、SANA(10月25日付)はその後、ジャウラーニー氏殺害を伝えた「我々のニュース第143号を破棄願いたい」との訂正文を発表した。

なおシャームの民のヌスラ戦線も26日に声明を出し、「征服者アブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏が元気だとの吉報を伝えよう」と発表し、シリア・アラブ・テレビの報道内容を否定した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、スーク・ワーディー・バラダー村のウサーマ・ビン・ザイド・モスク近くで爆弾を積んだ自動車が爆発し、子供3人を含む20人が死亡、数十人が負傷した。

これに関して、地元調整諸委員会は、死者が30人以上、負傷者が100人以上に及んだと主張した。

またSANA(10月25日付)は、この爆発が「テロリスト」の犯行だと断じた。

一方、クッルナー・シュラカー(10月25日付)は、スーク・ワーディー・バラダー村での爆弾テロを「自由シリア軍」の攻撃だとしたうえで、彼らがハーマ町のサアドッディーン・モスク前でも車爆弾を爆発させようとしたが、未遂に終わったと報じた。

このほか、SANA(10月25日付)によると、ウタイバ村近郊で、軍が反体制武装集団を要撃し、イスラーム旅団やシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員約40人(「テロリスト41人と、サウジ人、カタール人、イラク人など約10人」)を殺害した。

また、ザマルカー回廊、ドゥーマー市郊外、TAMICO周辺、ブワイダ市郊外、ランクース市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

これに関して、シリア人権監視団は、要撃によって20人以上が死亡したと発表した。

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アレッポ県では、マヤーディーン・チャンネル(10月25日付)によると、アフリーン市郊外での戦闘で、民主統一党人民防衛隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の司令官の一人アブー・ウサーマ・ウルドゥンニー氏を含む6人を殺害した。

一方、SANA(10月25日付)によると、クワイリス村、アルバイド村、ラスム・アッブード航空基地周辺、ナッカーリーン村、マーイル町北部、アナダーン市南部、アレッポ市カーディー・アスカル地区、アシュラフィーヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(10月25日付)によると、24日に引き続き、ヤアルビーヤ町周辺で、民主統一党がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と激しく交戦した。

民主統一党は、ヤアルビーヤ町の国境通行所制圧をめざしているという。

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ラタキア県では、SANA(10月25日付)によると、シャフルーラ村、ドゥワイリカ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(10月25日付)によると、サダド市に侵入した反体制武装集団と軍が交戦、複数の戦闘員を殺傷した。

またスフナ市周辺、ブルジュ・カーイー村、タッルドゥー市、ガースィビーヤ村、下ムハッラム村、フーシュ・ハッジュー村、ダール・カビーラ村、ヒムス市カラービース地区、ワアル地区、クスール地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月25日付)によると、ダルアー市内各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(10月25日付)によると、カニーヤ村、カフルラーター市、バクサリヤー市、マアッルバリード市、サラーキブ市、シャイフ・バフル市、ウンム・ジャリーン村、マアッルシャムシャ市、マアッラト・ヌウマーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

自由シリア軍参謀委員会のルワイユ・ミクダード政治広報調整官は、AFP(10月25日付)に対し、24日にトルコに到着したアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長ら自由シリア軍幹部と会談したと語った。

会談で、イドリース参謀長は「流血停止を望んでおり、問題の根本にはバッシャール・アサドがあり、そのことがとりあげられねばならない」と述べたという。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がカタールを訪問し、タミーム・ビン・ハマド首長と会談、シリア情勢について協議した。

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ノルウェーのブルゲ・ブレンデ外務大臣は、シリアの化学兵器廃棄問題に関して、ノルウェー国内で廃棄作業の一部を行うとの米国の提案を受け入れないことで米国と合意したと発表した。

受け入れ拒否の理由について、ブレンデ外務大臣は、廃棄に必要な施設が国内に整っておらず、国連安保理決議第2118号が定める廃棄期限までに作業を終えられる見込みがないことなどをあげた。

AFP(10月25日付)が伝えた。

AFP, October 25, 2013、al-Hayat, October 26, 2013、Kanal D, October 25, 2013、Kull-na Shuraka’, October
25, 2013、al-Mayadeen, October 25, 2013、Naharnet, October 25, 2013、al-Ra’y, October 25, 2013、Reuters, October 25, 2013、Rihab News, October 25, 2013、SANA,
October 25, 2013、UPI, October 25, 2013などをもとに作成。

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