ハサカ県の対イラク国境付近で人民防衛隊がヌスラ戦線およびイスラーム国と激しく交戦、クウェート外相がトルコ外相との会談後の記者会見のなかで「シリアの失敗国家への転落」に関して警鐘を鳴らす(2013年10月24日)

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反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(10月24日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はアレッポ県アターリブ市を支配する「自由シリア軍」に対して、シャリーア法廷に服すよう求めるとともに、市内の検問所2か所の撤去を要求した。

Kull-na Shuraka', October 27, 2013

Kull-na Shuraka’, October 27, 2013

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アレッポ県バーブ市および同市郊外を管轄するシャリーア委員会は声明を出し、「イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を承認せず、我々の兄弟と戦う組織だとみなす」と発表、相互主義の原則で対処するとの意思を表明した。

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イブン・タイミーヤ・ムジャーヒディーン大隊を名乗る武装集団はビデオ声明を出し、シリア当局が逮捕したサウジアラビア人男性を5日以内に釈放するよう、シリア、ロシア両政府に警告、釈放されない場合、拘束中のロシア人を処刑すると発表した。

ロイター通信(10月24日付)などが報じた。

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Rihab News, October 24, 2013

Rihab News, October 24, 2013

シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は『ワタン』(10月24日付)に、シリア革命反体制勢力国民連立の一員としてジュネーブ2会議への参加を求める西側諸国の提案を同潮流が拒否したことを明らかにした。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー前事務局長はAKI(10月24日付)に、ジュネーブ2会議への参加をめぐって、ロンドンでのシリアのとも連絡グループ外相会議での協議結果を受けて、評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の間でコンセンサスに達しつつあるとしたうえで、大会への参加をめぐって「タカ派」は存在しないと述べた。

そのうえで、ジュネーブ2会議をめぐる決定(ジュネーブ合意)を遵守しようとしないのはアサド政権の側だと主張、同政権の影響力を維持するかたちでの移行期政府の樹立に改めて消極的な姿勢を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のサミール・ナッシャール氏は『ハヤート』(10月25日付)に、22日にイスタンブールで予定されていた総合委員会会合が11月1日に延期されたことを明らかにした。

総合委員会会合では、ジュネーブ2会議への参加について協議が予定されていた。

シリア政府の動き

アサド大統領はダマスカス郊外県での火力発電所ガス・パイプラインへのテロによる停電の復旧作業にあたる電力省、石油鉱物資源省のスタッフを慰問、謝意を示した。

SANA(10月24日付)が報じた。

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SANA(10月24日付)によると、ダマスカス国際空港近くの火力発電所に燃料ガスを供給するためのパイプラインが反体制武装集団によって破壊され、ダマスカス県南部一帯地域が停電した事件に関して、イマード・ハミース電力大臣が、他県などから電力供給を融通することで、停電が徐々に回復しつつあると述べた、と報じた。

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AFP(10月24日付)は、女性収監者問題を扱っている女性弁護士スィーマー・ナッサール氏の話として、シリアの当局が女性収監者64人を釈放したと報じた。

アレッポ県アアザーズ市で拉致されたレバノン人巡礼者の釈放をめぐって、反体制武装集団が主張してきた要求に応じた動き。

釈放された女性のほとんどが、ダマスカス郊外県出身者で、レバノン人1人、パレスチナ人3人も含まれており、いずれもアドラー女性刑務所に収監されていた。

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クッルナー・シュラカー(10月24日付)は、ヒムス刑事裁判所が、ブログへの書き込みを理由に2009年12月に逮捕され、スパイ容疑で禁固5年の有罪判決を受けていたタッル・マルーヒーさん(1991年、ヒムス生まれ、高校生)の刑期の4分の1への減刑を認めたと報じた。

マルーヒーさんの代理人を務めるウマル・カンダジー弁護士によると、この決定を受け、収監中のアドラー女性刑務所から24日釈放されると見られる。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、対イラク国境に位置するヤアルビーヤ町周辺で、民主統一党人民防衛隊がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国などと激しく交戦した。

この戦闘で、人民防衛隊はヤアルビーヤ町近郊のマズラア町、スィーハ村を制圧し、多数のサラフィー主義戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(10月24日付)によると、スフナ市で、軍が反体制武装集団を掃討し、同地の治安を回復した。

またサダド村、マヒーン町、アーラーク村、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、ヒムス市バーブ・フード地区、クスール地区で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(10月24日付)によると、フタイタト・トゥルクマーン市で軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、同地を制圧した。

前線司令官によると、フタイタト・トゥルクマーン市の制圧により、ダマスカス国際空港街道一帯の反体制武装集団は完全に掃討されるという。

また軍は、TAMICO周辺、ザマルカー回廊、アルバイン市、ドゥーマー市郊外、ブワイダ市郊外、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、ヤブルード市郊外、マアッラト・サイドナーヤー町、カーラ市西部、ナバク市北東部、ルハイバ市東部、アドラー市南部で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、イスラーム旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月24日付)によると、ダルアー市内各所、タファス市、イズラア市、ブスル・ハリール市、ナワー市、ザアルール市、ハーヌート市、サイダー町、ナマル町、ハッラーン村、ドゥワイラ村、アイン・バイダー村で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(10月24日付)によると、ダッラ村、ジャバル・クーズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、サウジアラビア人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(10月24日付)によると、クワイリス村、アルバイド村、ラスム・アッブード村周辺、アブー・ジャッバール村南部、ターディフ市、カースティールー街道、ナッカーリーン村、カラム・マイサル市、サフィーラ市で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、サラーフッディーン地区、シャイフ・ヒドル地区、サーフール地区、スライマーン・ハラビー地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(10月24日付)によると、マアッラトミスリーン市、カストゥーン村、アイン・ラールーズ市、シャイフ・バフル市、サラーキブ市、サルジャ村、バザーブール村、マンタス市、マアッラト・ヌウマーン市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

NNA(10月24日付)によると、ベカーア県西ベカーア郡ハウシュ・ハリーマ地方で、爆発物を積んで走行中の自動車を軍が追跡、乗っていた4人と交戦した。

これにより、自爆ベルトを着用した男性1人を含むシリア人2人が死亡、2人が逮捕された。この交戦により、レバノン軍兵士2人も負傷した。

諸外国の動き

クウェートのスバーフ・アーリド・ハマド・スバーフ外務大臣は、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣とクウェート市で会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談後の共同記者会見でスバーフ外務大臣は「シリアは失敗国家へと転落しつつある。過激思想、麻薬、武器、犯罪者が横行している」と警鐘を鳴らした。

ダウトオール外務大臣は「トルコはシリア人避難民への門戸解放政策をとってきたが…、国際社会が適切な対応をとっておらず、失望と不快感を表明する」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がトルコの首都アンカラに到着した。

AFP, October 24, 2013、AKI, October 24, 2013、al-Hayat, October 25, 2013、Kull-na Shuraka’, October 24, 2013, October 27, 2013、Naharnet,
October 24, 2013、NNA, October 24, 2013、Reuters, October 24, 2013、Rihab
News, October 24, 2013、SANA, October 24, 2013、UPI, October 24, 2013、al-Watan, October 24, 2013などをもとに作成。

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