イランの首都テヘランを訪問中のファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣は、ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務大臣と会談した。
会談後の記者会見で、ミクダード外務在外居住者大臣は、アスタナ会議の保障国であるイラン、ロシア、トルコの三カ国首脳会談の閉幕声明を「バランスのとれた声明」と評価、発表にいたるイランの取り組みに謝意を示した。
また、トルコ軍によるシリア領内へのいかなる攻撃、「安全地帯」設置を名目とした領土のトルコ化は中東地域の安全保障と安定を揺るがすと非難、シリア国民が主権を防衛し、あらゆる領土分割の計画を頓挫させると強調した。
ミクダード外務在外居住者大臣はさらに、米国、トルコ、イスラエルにシリアの国土の占領や駐留が永遠に続くものでないことを悟らせる必要があるとしたうえで、シリア国民が解放を終わらせるための抵抗を続けると述べた。
シリアやイランに対する西側諸国の制裁については、国際法、国連憲章への違反だと非難、米国と西欧諸国は、覇権主義の時代が終わったことを認識しなければならないと訴えた。
最後に、シリアでの「テロとの戦い」への支援を続けるイランに謝意を示すとともに、テロで避難を余儀なくされた難民に帰国を呼び掛けた。
一方、アブドゥッラフヤーン外務大臣は、トルコが計画しているシリア北部への軍事侵攻作戦への懸念を改めて表明、シリア軍のみがシリアの領土の統一性と安全を維持するべきだと述べた。
また、石油などの資源が豊富なジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東地域)における米国の違法駐留を「中東地域を苦しめる危機の一つ」と指摘、米国が資源の略奪、分離主義民兵やダーイシュ(イスラーム国)を支援していると避難、米軍はシリアから撤退しなければならないと述べた。
イスラエルによるシリアへの度重なる攻撃については、シオニスト政体が弱体化していることを示すものだと述べた。
SANA(7月20日付)が伝えた。
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ミクダード外務在外居住者大臣は、その後、イランの最高指導者アリー・ハーメネイー最高指導者と会談した。
会談でハーメネイー最高指導者は、シリアの主権、領土の一体性・保全を尊重する必要があると改めて強調、シリアとの協力関係を継続し、さまざまな分野で関係を発展させていきたいと述べた。
また、シリアに違法に駐留を続ける米軍を撤退させ、シリアの天然資源の略奪を食い止め、シリア国民に対する一方的な制裁を解除する必要があると述べた。
これに対して、ミクダード外務在外居住者大臣は、イラン、ロシア、トルコの首脳会談におけるイランの取り組みに謝意を示すとともに、イランとの協力継続の意向を改めて表明した。
SANA(7月20日付)が伝えた。
AFP, July 20, 2022、ANHA, July 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 20, 2022、Reuters, July 20, 2022、SANA, July 20, 2022、SOHR, July 20, 2022などをもとに作成。
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