地元民兵とシリア軍第5軍団がダーイシュとの2週間におよぶ戦闘の末、ダルアー市ダム街道地区を完全制圧(2022年11月15日)

ダルアー県では、SANA(11月15日付)が治安筋の話として伝えたところによると、ダーイシュ(イスラーム国)のスリーパーセルと、地元民兵、シリア軍第5軍団第8旅団との戦闘が続いていたダルアー市ダム街道地区が完全に制圧され、ダーイシュの「テロリスト」が浄化された。

同筋によると、治安作戦により、司令官4人を含むテロリスト数十人を殲滅、爆弾が仕掛けられていた自爆用の車輌4台を捕獲したほか、14日には爆弾が仕掛けられた車輌1輌を破壊し、乗っていた自爆戦闘員1人を殺害した。

また、数年にわたって使用されていたダム街道地区内での複数の作戦司令室、指揮所1ヵ所を浄化した。


シリア人権監視団によると、同地の制圧は、双方の激しい戦闘の末、ダーイシュ・スリーパーセルが、技師会館から撤退したことを受けたもの。

同監視団によると、ダルアー市ダム街道地区での戦闘で、ダーイシュのメンバー2人が死亡した。

また、ダーイシュの司令官1人を含むメンバー5人の遺体が発見された。

これにより、10月31日以降のダルアー市などでのダーイシュに対する治安作戦での死者は、民間人6人(うち子ども2人、メディア活動家1人、高齢者1人)、ダーイシュ・メンバー16人、地元民兵・第5軍団兵士5人となった。

一方、イナブ・バラディー(11月15日付)によると、同地のスリーパーセルのリーダーだったムハンマド・ムサーラマ氏(通称「ハフー」)とムアイイド・ハルフーシュ氏(通称「アブー・タアジャ」)の消息は不明。


他方、HFL(11月15日付)によると、地元民兵とシリア軍第5軍団第8旅団は、ダーイシュのスリーパーセルのリーダーの1人、ムハンマド・ムサーラマ氏(通称「ハフー」)の住居に到達し、同住居を含む住居複数棟、周辺のビル複数棟を制圧した。

HFLはまた、地元民兵と第8旅団が、ハマーディーン地区に向かおうとしていた車輌1輌を破壊、乗っていた「自由シリア軍」の元司令官のハーリド・アバーズィード氏(通称「アブー・ウマル」)を負傷させたと伝えた。

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一方シリア人権監視団によると、ジャースィム市で、地元民兵が2018年のシリア政府との和解以降、逮捕者の釈放が行われていないとして、主要道路を封鎖し、抗議の意思を示した。

AFP, November 15, 2022、ANHA, November 15, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 15, 2022、HFL, November 15, 2022、‘Inab Baladi, November 15, 2022、Reuters, November 15, 2022、SANA, November 15, 2022、SOHR, November 15, 2022などをもとに作成。

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