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反体制勢力の動き
シリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍参謀委員会は記者会見で化学兵器禁止機関によるシリア国内での化学兵器廃棄に向けた活動に全面協力する意思を表明するとともに、アフメト・ウズムジュ事務局長に対して、反体制武装集団がいかなる化学兵器関連施設をも制圧していないことを声明を通じて明言するよう求めた。
クッルナー・シュラカー(10月15日付)が伝えた。
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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・ザーリム報道官はAKI(10月15日付)に同胞団の政党結成構想に関して、「政党は(同胞団の)政治部門ではなく、開放的で愛国的な性格」を持つと述べ、同胞団以外の組織の参加も想定していることを示唆した。
シリア政府の動き
アサド大統領がダマスカス県内のサイイダ・フサイバ・モスクでのイード・アル=アドハーの集団礼拝に参加、シリア・アラブ・テレビ(10月15日付)などがその様子を放映した。
集団礼拝には、ワーイル・ハルキー首相ら閣僚、アフマド・バドルッディーン・ハッスーン共和国フムティーらが参加、導師は故ムハンマド・サイイド・ラマダーン・ブーティー師の息子でビラード・シャーム・ウラマー連合の新代表のムハンマド・タウフィーク・ラマダーン・ブーティー師が務めた。
ブーティー師は礼拝後の説教で、「祖国と民族の安寧のために多くの血を流した我が勇敢なる軍」への謝辞を述べる一方、「アッラー・アクバル」をスローガンとしてテロ・破壊活動を行う反体制武装集団を非難、「正しいイスラームへの再認識」を主唱した。
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シリア・アラブ・テレビ(10月15日付)は、アスマー・アフラス大統領夫人が、ダマスカス県内の戦没者の子息が通う女学校を訪問し、学生らと懇談、オリーブを植樹する様子を放映した(https://www.youtube.com/watch?v=BBWXVOIM18k)。
映像のなかで、アスマー夫人は「私たちはこの世界に文字を教えた人々の末裔です。私たちはこの世界に医療、商業、建築を教えた人々の末裔です。こうした歴史はシリアのアイデンティティの一部をなしています…。この国を羽ばたかせ、将来にわたって国を建設しましょう。私たちが使うことのできる真の武器とは、知識という武器、知性という武器です」と述べた。
またアスマー夫人は「私たちはこれまでに何度も、アスマー夫人はシリアを去った、ロシア、ベイルートに去ったと耳にしてきました。アスマー夫人のことを云々するのがどれだけ好きなのでしょう…。私はここに居ます。私の夫、私の子供たちはシリアにいます。私が彼らといるというのが自明の真実です。私はまた、大多数のシリア人と同じように愛国心を育んできました。どこで暮らそうと、どこを旅しようと…国より崇高なものなどないのです」と強調した。
さらに「私は現在、3人の子供の母親です。彼らへの私の責任とは、彼らに同じ概念を教えることです。外国で暮らして、どのように彼らに愛国心を教えることができるのでしょうか?家族で仲良くせず、自分の家で暮らさず、家族と食卓をともにせず、どのように国の文化、歴史、文明を教えるのでしょうか?そんなことは不可能です。国が抱える問題のただ中に暮らすことなく、彼らにどのようにして国の発展に貢献するように教えるというのでしょう?」と付言した。
国内の暴力
ダマスカス県では、SANA(10月15日付)によると、カナワート区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、市民4人が負傷した。
また、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヨルダン人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)が、バーブ・トゥーマー地区のアルメニア・カトリック教会、マズラア地区のロシア大使館近く、ティジャーラ地区のファイハー遊園地、ムハージリーン区、マーリキー地区、ラウダ地区、マイダーン地区などに複数の迫撃砲弾が着弾したと主張した。
また同ネットワークによると、アサーリー地区、ジャウバル区を軍が空爆・砲撃した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(10月15日付)によると、反体制武装集団が、ヤブルード市郊外にある聖コンスタンティヌス教会と聖ヘレナ教会に爆弾を仕掛け爆破させた。
人的被害はなかったが、建物が損害を受けた。
また、ザマルカー・アルバイン回廊、アイン・タルマー渓谷、ダイル・アサーフィール市校が、ダブラ農場、ドゥーマー市郊外、フジャイラ村、スバイナ町、ダーライヤー市、リーマー農場、ナバク市郊外、ヤブルード市郊外、カーラ市郊外、アドラー市郊外、ジャラージール町郊外、ダイル・アティーヤ市郊外、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)によると、ビラーリーヤ村、ナシャービーヤ町、ハズラマー市、ダーライヤー市、アルバイン市、ムウダミーヤト・シャーム市、ブワイダ市を軍が砲撃した。
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ダルアー県では、SANA(10月15日付)によると、ブスル・ハリール市、ナワー市、タファス市、アトマーン村、ダーイル町、ブスラー・シャーム市郊外、ダルアー市、ヌアイマ村、インヒル市、ガーリヤ市、タッル・フドル一帯、ジャムリーン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)によると、ナワー市、ブスル・ハリール市、タファス市、ヌアイマ村で、軍と反体制勢力が交戦した。
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アレッポ県では、SANA(10月15日付)によると、フマイマ村、カースティールー回廊、ナイラブ航空基地北部、フライターン市東部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)によると、軍がマンナグ航空基地、サフィーラ市一帯を砲撃する一方、反体制武装集団はクワイリス航空基地近くのタッル・フーサ村をロケット弾で攻撃した。
またハーン・アサル村周辺、アレッポ中央刑務所、ハーン・トゥーマーン村などで軍と反体制武装集団が交戦した。
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イドリブ県では、SANA(10月15日付)によると、ビンニシュ市、サルミーン市、アルバイーン山周辺、マアッル・ブライト市、シュワイハ市、マジャース市、フータ市、アブー・ズフール航空基地周辺、バザーブール村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(10月15日付)によると、レバノン領からタッルカラフ市郊外に潜入しようとした反体制武装集団を国境警備隊が撃退した。
またヒムス市バーブ・フード地区、サフサーファ地区、クスール地区、ワアル地区、ワルシャ地区、タッル・ザハブ町、カフルラーハー市、サムアリール村、ブルジュ・カーイー村、タッルドゥー市、ナースィラ村、ラスタン市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)によると、軍がカルアト・ヒスン市、ヒムス市ワアル地区などを砲撃した。
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ハマー県では、SANA(10月15日付)によると、ジスル・ジスル・バイト・ラース村で、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、リビア人戦闘員らを殲滅した。
一方、シャーム・ネットワーク(10月15日付)が、ムーリク市南部のラハーヤー検問所を反体制武装集団が制圧したと報じた。
諸外国の動き
AFP(10月15日付)は、ギリシャ当局の話として、ペロポネソス半島沖で沈没した船舶に乗っていたシリア人避難民73人が救出され、カラマタ港に到着したと報じた。
避難民のうち11人が女性、18人が子供だった。
AFP, October 15, 2013、AKI, October 15, 2013、al-Hayat, October 16, 2013、Kull-na Shuraka’, October 15, 2013、Naharnet, October
15, 2013、Reuters, October 15, 2013、Rihab News, October 15, 2013、SANA, October
15, 2013、UPI, October 15, 2013などをもとに作成。
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