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反体制勢力の動き
『ハヤート』(10月17日付)などによると、シリア南部(ダルアー県など)で活動する反体制武装集団約70組織が共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の活動を「失敗」と非難、同連立の「承認を撤回する」と発表した。
武装集団はまた「南部地域革命司令評議会」を結成し、反体制武装闘争を継続する意思を明示した。
この承認撤回声明に関して、自由シリア軍参謀委員会のルワイユ・ミクダード政治広報調整官はAFP(10月16日付)に「サリーム・イドリース参謀長の自由シリア軍参謀委員会を拒否するものではない」と述べた。
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シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官はアナトリア通信(10月16日付)に対して、ジュネーブ2会議でアサド政権内の一部との交渉を合意し得ると述べた。
サーフィー報道官は、アサド政権が「シリア国民の血で手が汚れているために決して席をともにできないグループ」と「席をともにできるグループ」に分けられるとしたうえで、ファールーク・シャルア副大統領を後者の例として上げた。
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シリア国民評議会元メンバーのマラフ・ビカーイー氏は、ジュネーブ2会議への事実上の不参加を表明した評議会に関して「独断的でその場しのぎ」と非難した。
そのうえで「シリア国民評議会もシリア革命反体制勢力国民連立も…シリアの人道状況、戦争状況と完全に乖離している」と非難した。
AKI(10月16日付)が伝えた。
国内の暴力
ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サイイダ・ザイナブ町郊外のジュダイダ市で、軍、ヒズブッラーの戦闘員らが反体制武装集団と交戦した。
また、クッルナー・シュラカー(10月16日付)によると、自由シリア軍が撤退したフジャイラ村郊外の農場に入ろうとしたヒズブッラーとアブー・ファドル・アッバース旅団の戦闘員50人以上が、地雷に触れ死亡した。
また軍などの攻撃を避けるため、ズィヤービーヤ町からバサーティーン地方に避難したと思われる女性・子供ら65人の惨殺遺体が発見された。
一方、SANA(10月16日付)によると、軍がブワイダ市での反体制武装集団の掃討を完了し、同市の治安を回復した。
これに関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表(在ベイルート)は、ブワイダ市が、軍、国防隊、ヒズブッラーの民兵、アブー・ファドル・アッバース旅団の攻撃で制圧されたことを認めた。
また、SANA(10月16日付)によると、ハラスター市、ザマルカー回廊、ムライハ市、ドゥーマー市郊外、ダブラ農場、フジャイラ村、スバイナ町、ルハイバ市郊外、ダイル・アティーヤ市郊外、リーマー農場、サキー農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・地下トンネル・装備を破壊した。
このほか、ジャルマーナー市、ハラスター市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡、20人以上が負傷した。
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ダマスカス県では、SANA(10月16日付)によると、バルザ区、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(10月16日付)などによると、ナワー市を軍が砲撃し、民家などを破壊する一方、市内の農道を避難民を乗せて移動していたバスが、軍が敷設した地雷に触れて大破、乗っていた子供4人と女性複数を含む25人(シリア人権監視団によると21人)が死亡した。
しかしこれに関してSANA(10月16日付)は、ナワー市で車に爆弾を仕掛けようとしていた「テロリスト」が誤爆して死亡した、と報じた。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ中央刑務所内で軍とシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人運動が交戦した。
同監視団によると、反体制武装集団はアレッポ中央刑務所の外壁に設置された軍のバリゲードに対して自爆攻撃を2度にわたって行ったという。
一方、SANA(10月16日付)によると、ラスム・アッブード航空基地南部、アレッポ中央刑務所周辺、マンビジュ市・バーブ市街道、クワイリス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、軍がアシュラフィーヤ地区、シャイフ・マクスード地区、ジュダイダ地区などに潜入しようとした反体制武装集団を殲滅した。
このほか、アクス・サイル(10月17日付)は、アナダーン市で、スカイ・ニュース・アラビックの取材班3人が「解放区」の取材中に消息を絶ち、誘拐・拉致されたと思われると報じた。
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ハマー県では、SANA(10月16日付)によると、アルシューナ村とハリージャ村を結ぶ街道で軍が反体制武装集団が乗った車を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
また、アクラブ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(10月16日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、キースィーン村、ガジャル村、スルターニーヤ村、サラーム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、SANA(10月16日付)によると、軍がドゥールシャーン村、ナワーラ村、カビール村、アティーラ村、ファルラク村、イムリーク村に対して特殊作戦を行い、イラク・シャーム・イスラーム国の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(10月16日付)によると、アトマーン村、タファス市、サイダー町、ヌアイマ村、インヒル市、フラーク市、ムライハ市、ナワー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、16日から続くジュワーディーヤ市郊外(タッル・アッルー村など)での民主統一党とイラク・シャーム・イスラーム国などサラフィー主義武装集団との戦闘で、前者の戦闘員12人、後者の戦闘員29人が死亡した。
この戦闘で、民主統一党人民防衛隊はサラフィー主義戦闘員の遺体多数を回収、そのなかにはシャームの民のヌスラ戦線司令官のエジプト人1人も含まれているという。
諸外国の動き
潘基文国連事務総長は、シリアの化学兵器廃棄の査察・検証を行う化学兵器禁止機関(OPCW)と国連の合同派遣団のトップとなる特別調整官に、スィグリッド・カーグ国連事務次長補を任命したと発表した
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AFP(10月16日付)によると、化学兵器禁止機関は、シリア国内で化学兵器の廃棄に向けて活動中の調査隊が、約20カ所あるとされる関連施設のうち11施設で査察・検証作業を実施したと発表した。
このうち6施設では、査察・検証作業に加えて、製造設備を稼働不能にしたり、化学物質が充填されていた弾薬を破壊したという。
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米国務長官のジェン・サキ報道官は、シリア国民評議会がジュネーブ2会議への不参加を表明したことに関して、反体制勢力の参加が「基本的で重要」としたうえで、「我々は反体制勢力に大会に代表を送るよう後押しし続けている」と述べた。
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ロシア外務省は、ダマスカス郊外県カラムーン山地一帯やマアルーラー市のキリスト教住民約50,000人が「西側諸国によって支援された」シリア国内の暴力を回避するため、ロシア国籍の取得を申請している、と発表した。
同発表によると、50,000人のなかには、医師、弁護士、技師、ビジネスマンなどが含まれているという。
AFP(10月16日付)が伝えた。
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国民難民高等弁務官事務所のフィリップ・ルクラーク氏は、フランスのフランソワ・オランド大統領が最近の会談で、シリア人避難民500人を受け入れることを誓約したと述べた。
AFP(10月16日付)が報じた。
AFP, October 16, 2013、AKI, October 16, 2013、al-Hayat, October 17, 2013、Kull-na Shuraka’, October 16, 2013、Naharnet, October 16, 2013、Reuters, October 16, 2013、Rihab News, October 16, 2013、SANA, October 16, 2013、UPI, October 16, 2013などをもとに作成。
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