米主導の有志連合のドローンがイドリブ県をミサイル攻撃し、新興のアル=カーイダ系組織フッラース・ディーン機構の司令官ら2人を殺害(2023年2月24日)

ホワイト・ヘルメットはフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/SyriaCivilDefense/)を通じて、所属不明のドローンがイドリブ県北部のカーフ村とダイル・ハッサーン村を結ぶ街道で2人組が乗ったオートバイを狙ってミサイル攻撃を行い、身元不明の2人を殺害したととしたうえで、消火活動にあたり、民間人を保護したと発表、その写真を公開した。

https://www.facebook.com/SyriaCivilDefense/posts/pfbid02niQ8LTTApH5fAizmwNFnPiJRFqGqrqqXvVybKsoBqDJyM51PcjHzJGP3YwWd856Wl

 

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アラビー・ジャディード(2月24日付)は、殺害された2人のうちの1人は外国人で、アブー・イバーダ・イラーキーを名乗るフッラース・ディーン機構の司令官の1人と見られると伝えた。

また、現場では、有志連合が通常使用しているミサイルの破片が発見されたと付言した。

 

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一方、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合所属の無人航空機(ドローン)が、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県北部のカーフ村とマシュハド・ルーヒーン村を結ぶ街道を走行中のオートバイを狙ってミサイル攻撃を行い、外国人ジハード主義者2人を殺害した。

殺害された2人は新興のアル=カーイダ系組織の一つフッラース・ディーン機構のメンバーで、1人はイラク人だという。

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シリア人権監視団は3月4日、死亡したうちの1人の身元に関して、複数筋の情報をもとに、アブドゥッラウーフ・ムハージル、あるいはアブー・サーラ・イラーキーが、イラク国籍で、ダーイシュの州(ウィラーヤ)の総務を担当する司令官(アミール)だったと発表した。

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同監視団によると、この攻撃の約7時間前、シャーム解放機構は同じ地域で、トルコの諜報機関の要請を受けて、ジハード主義者7人を拘束していた。

拘束された7人のうち、2人はアフガニスタン人、それ以外の国籍は不明。

拘束されたアフガニスタン人は5年ほど前まで、アティマ村にあるアター国内避難民(IDPs)キャンプに身を寄せ、反体制武装集団のメンバーとして戦闘に参加していたが、現在はアティマ村近くで清掃業者を営んでいるという。

また、シャーム解放機構から嫌疑をかけられることを恐れて、武器も所持していなかったという。

シャーム解放機構による摘発活動は、テロ組織としてのイメージを払拭し、自らが民主的な組織で、過激なジハード主義組織ではないことを国際社会、とりわけ西側社会に示そうとする政策の一環だと見られるという。

AFP, February 24, 2023、ANHA, February 24, 2023、al-‘Arabi al-Jadid, February 24, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 24, 2023、Reuters, February 24, 2023、SANA, February 24, 2023、SOHR, February 24, 2023、March 4, 2023などをもとに作成。

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