米国防省は「安全地帯」(緊張緩和地帯)設置を骨子とする新停戦合意に関して「イランが保障国として参加していること」に懸念を表明し、合意を拒否した反体制武装集団に同調(2017年5月5日)

米国務省は、3~4日に開催されたアスタナ4会議でロシア、トルコ、イランが署名した「安全地帯」設置を骨子とする新停戦合意(「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」)に関して声明を出し、「アスタナでの合意に関して、イランが保障国として参加していることに、我々には依然として懸念がある…。シリアにおけるイランの活動は暴力の停止ではなく、暴力に寄与してきた」と疑義を呈した。

声明では「米国はシリアでの暴力激化を軽減し、人道支援を制限なく配給するのを保障し、ダーイシュ(イスラーム国)などのテロリストを打ち負かすことにエネルギーを集中させ、信頼の持てる政治的な紛争解決策を作り出す環境を整えようとするあらゆるとりくみを支持する。我々はトルコとロシアのとりくみを高く評価するとともに…、現場での困難な状況にもめげず、反体制派が議論に参加することを奨励してきた」としつつ、「アスタナでの合意に関して、イランが保障国として参加していることに、我々には依然として懸念がある…。シリアにおけるイランの活動は暴力の停止ではなく、暴力に寄与してきた」と述べ、アスタナ会議に代表団を派遣していたイスラーム軍など主要な反体制武装集団が覚書を拒否したことに理解を示した。

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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ロジャヴァを主導するPYD報道官は「安全地帯」(緊張緩和地帯)設置を骨子とする新停戦合意を「宗派に基づくシリア分割」「犯罪」と批判し拒否(2017年5月5日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)を主導するクルド民族主義政党の民主統一党(PYD)のイブラーヒーム・イブラーヒーム報道官は、アスタナ4会議でロシア、トルコ、イランが合意した「安全地帯」設置を骨子とする新停戦合意(「緊張緩和地帯設置にかかる覚書)に関して、ロイター通信(5月5日付)に対して、「宗派に基づくシリア分割であり…犯罪だ」と述べ、拒否の姿勢を示した。

イブラーヒーム報道官はまた「ロシアの提案は、2011年に紛争が始まったのを受けて、(シリア)北部で設置されたクルド人の支配下にある自治区を脅かすことになるだろう…。安全地帯設置計画に参加している国々は…自治区を攻撃するだろう」と述べた。

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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ロシアのシリア問題担当大統領特使:「安全地帯」(緊張緩和地帯)では米主導の有志連合の飛行が禁止される(2017年5月5日)

アスタナ4会議に参加していたロシアの代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使は、4日にトルコ、イランの代表団とともに署名した「安全地帯」設置を骨子とする新停戦合意(「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」)に関して、設置される「安全地帯」(緊張緩和地帯)において、「米主導の有志連合の活動は排除される」と述べ、同地上空の飛行は認めないとの見方を示した。

ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使はまた「有志連合の飛行禁止は、(緊張緩和地帯設置にかかる)覚書には明記されていない。だが、これらの地帯は今後、有志連合が事前通告しようがしまいが閉鎖される。この問題は終了済だ」と付言した。

そのうえで「保障国(ロシア、トルコ、イラン)は有志連合の活動を重点的に監視し…、シリアにおいて有志連合に認められる空爆の標的は、ラッカ、ユーラテス川河畔の町々、ダイル・ザウルにおけるダーイシュ(イスラーム国)の拠点、そしてイラク領内のみとなる」と述べた。

一方、「安全地帯」の設置について、「国連安保理の合意を得る必要はない」としつつも、ロシア、トルコ、イランは「安保理に報告を行い…、間違いなく安保理の協力を得ることになろう」と述べた。

ARA News(5月5日付)、『ハヤート』(5月6日付)が伝えた。

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はタブカ市一帯でダーイシュとの戦闘を続ける(2017年5月5日)

ラッカ県では、ARA News(5月5日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がタブカ・ダム(ユーフラテス・ダム)に面するサウラ市の第1地区、第2地区、第3地区、サフル・ハッシャーブ村、イバード村、サフサーファ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦を続けた。

この戦闘で、シリア民主軍はダーイシュ戦闘員50人以上を殲滅、サフル・ハッシャーブ村を制圧した。

これに対して、ダーイシュは無人航空機を投入し、シリア民主軍の拠点などに対する空爆を激化させた。

ダーイシュ・ラッカ州の広報センターは4日、ラッカ市北部のジャルブーア村を無人航空機で空爆したと発表、その写真を公開した。

ARA News, May 5, 2017

なお、シリア民主軍とダーイシュの戦闘はラッカ市東部のカラーマ村一帯でも行われた。

ARA News, May 5, 2017

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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ダマスカス県カーブーン区でシリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の戦闘続く(2017年5月5日)

ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(5月5日付)によると、カーブーン区でシリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦を続けた。

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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シリア軍はダイル・ザウル市南部の発電所をダーイシュから奪取(2017年5月5日)

ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(5月5日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市南部郊外でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、発電所を制圧した。

Kull-na Shuraka’, May 5, 2017

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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「安全地帯」(緊張緩和地帯)設置を骨子とする新停戦合意を拒否したイスラーム軍は、停戦を拒否するシャーム解放機構、ラフマーン軍団との東グータ地方での戦闘の停止を発表(2017年5月5日)

ダマスカス郊外県では、イスラーム軍が声明を出し、東グータ地方でのシャーム解放機構、ラフマーン軍団に対する軍事作戦を停止すると発表した。

声明では、「過激と侵略の組織であるヌスラ戦線(シャーム解放機構)を殲滅、その攻勢を撃退した」としたうえで、「期待されていた目的のほとんどを達成し、グータにとって異質なこの組織のプレゼンスを奪った」と成果を強調、「民間人のため…革命的諸機関の要請に応えるかたちで、ほかの組織との衝突を停止した」としている。

Kull-na Shuraka’, May 5, 2017

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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ヒムス市ワアル地区から8度目となる反体制武装集団の退去が行われ、戦闘員172人と家族1,012人がイドリブ県方面へ(2017年5月5日)

ヒムス県では、SANA(5月5日付)によると、ロシアの仲介によるシリア政府と反体制武装集団の停戦合意に従い、ヒムス市ワアル地区で籠城を続けてきた反体制武装集団戦闘員の退去が行われた。

シリア政府当局への投降を拒否する戦闘員の同地からの退去はこれが8度目で、戦闘員172人とその家族1,012人が、シリア政府の用意した旅客バスに分乗し、イドリブ県方面に退去した。

SANA, May 5, 2017

AFP, May 5, 2017、AP, May 5, 2017、ARA News, May 5, 2017、Champress, May 5, 2017、al-Hayat, May 6, 2017、Kull-na Shuraka’, May 5, 2017、al-Mada Press, May 5, 2017、Naharnet, May 5, 2017、NNA, May 5, 2017、Reuters, May 5, 2017、SANA, May 5, 2017、UPI, May 5, 2017などをもとに作成。

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米主導の有志連合は5月4日、ダイル・ザウル県、ラッカ県などで10回の爆撃を実施(2017年5月5日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月3日のシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

それによると、有志連合は両国領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して20回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は10回で、ブーカマール市近郊(2回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)、タドムル市近郊(1回)、ラッカ市近郊(3回)、タブカ市近郊(3回)で実施された。

CENTCOM, May 5, 2017をもとに作成。

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