バアス党は最高執行機関の「民族指導部」を廃し、「民族評議会」のもとでの集団指導体制に移行(2017年5月14日)

バアス党(正式名アラブ社会主義バアス党、1940年に秘密結社として結成され、1947年に政党として正式発足)はシリアの首都ダマスカスで第14回民族大会を開幕し、民族指導部メンバー、シリア地域指導部メンバー、レバノン、パレスチナ、ヨルダン、イラク、イエメン、スーダン、チュニジア、モーリタニアの代表、そしてシリア地域の中央委員会および検閲査察委員会メンバー多数が出席した。

SANA, May 14, 2017

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民族大会は、アラブ民族(アラビア語で「ウンマ」(أمة)全体の党活動を統括する最高執行機関の民族指導部を選出するための党大会で、1954年の第2回党大会で設置された。

なお第2回党大会では、各国(アラビア語で「クトル」(قطر)の党活動を統括する最高執行機関として地域指導部が設置され、シリア、イラク、イエメン、レバノン、ヨルダンといった一定規模の党組織を持つ国がそれぞれ地域指導部を持つことになった。

その後、バアス党はシリアとイラクで政権を掌握したが、両国の党組織はイデオロギー対立、権力闘争を激化させ分裂、民族指導部は、長らくシリアのハーフィズ・アサド前大統領とイラクのサッダーム・フサイン元大統領をそれぞれ書記長とする二つの指導部が併存した。

また、各国の地域指導部もシリアの民族指導部の傘下に身を置く指導部とイラクの民族指導部の傘下に身を置く指導部が併存した。

イラクの民族指導部は2003年のイラク戦争で崩壊、シリアの民族指導部は、ハーフィズ・アサド前大統領が死去して以降、書記長を選出しないまま事実上休止状態となっていた。

シリア側の民族大会が開催されるのは、1980年入り実に17年ぶり。

シリア地域指導部書記長兼中央委員会書記長を務めるアサド大統領は大会には出席しなかった。

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SANA(5月14日付)によると、党大会は、時代の変化や若者世代のヴィジョンや志向の変化に対応するかたちで、よりふさわしい組織体系を再構築することを目的とし、大会ではまず、アブドゥッラー・アフマル副書記長以下現民族指導部が辞表を提出、各国の代表全員から構成される「民族評議会」という新たな枠組みを設け、定期会合を通じた集団指導体制をとることが決定された。

また、第18回民族大会は「創設指導者ハーフィズ・アサド大会」と名づけられ、シリア地域指導部のヒラール・ヒラール副書記長が大会議長に選出、党の組織基盤、「民族評議会」の役割や権能についての審議が行われた。

SANA, May 14, 2017

大会議長を務めたハラール・シリア地域指導部副書記長は、この審議において、出席者に対して、「民族評議会」の次回定例会合で審議する「バアス民族憲章」に関する提案をあげるよう要請した。

AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県東部砂漠地帯でダーイシュとジハード主義武装集団が交戦(2017年5月14日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が東カラムーン地方のマンクーラ地区一帯でジハード主義武装集団と交戦した。

AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はラッカ市に向けて進軍を続ける(2017年5月14日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍およびこれと連携するシリア・エリート部隊が米軍主導の有志連合の支援を受けてラッカ市北部、北東部、北西部一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、ラッカ市北東部4キロ、北部8キロ、北西部13キロの地点まで進軍した。

また、ARA News(5月14日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が米主導の有志連合の支援を受けて、ラッカ市に向け進軍を続け、同市北部および北西部のマッラーリー村、ムアーッズ村、アトシャーナ村を制圧した。

ARA News, May 14, 2017

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、有志連合がシャアファ村を空爆した。

AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県東グータ地方でイスラーム軍がシャーム解放機構、ラフマーン軍団と交戦(2017年5月14日)

ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月14日付)によると、イスラーム軍が声明を出し、東グータ地方のミスラーバー市にある拠点に対するラフマーン軍団、シャーム解放機構の攻撃を撃退したと発表した。


AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

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シリア軍はヒムス県スフナ市一帯などでダーイシュに対する攻勢を強める(2017年5月14日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシューマリーヤ山地一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、ヘリコプターが同地一帯を「樽爆弾」で空爆した。

またシリア軍はスフナ市西部のダーヒク山を空爆した。

このほか、シリア軍はシャーイル油田一帯、タドムル市郊外穀物サイロ地区一帯、ジュッブ・ジャッラーフ町一帯でもダーイシュと交戦した。

なお、クッルナー・シュラカー(5月14日付)によると、スフナ市西部のダーヒク山一帯を空爆したのはロシア軍戦闘機で、女性と子供を含む一家5人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダーイシュ(イスラーム国)支配下のハマーダト・ウマル村、ウカイリバート町一帯を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月14日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市南部一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、墓地地区、ハミーディーヤ地区、ハサーラート地区、カナーマート地区、ハトラ村、サフィーラ村を空爆した。

AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは4件の停戦違反を、トルコ側は2件の違反を確認(2017年5月14日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(5月14日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件確認したと発表した。

ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側の監視チームが確認した停戦違反の内訳は、ダマスカス県・ダマスカス郊外県が3件、ラタキア県が1件。

またトルコ側の監視チームも2件(内訳はダマスカス県・ダマスカス郊外県1件)の停戦違反を確認したという。

ほとんどの停戦違反は、ダーイシュ(イスラーム国)、シャーム解放機構の支配地域として登録されている地域で発生したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 14, 2017をもとに作成。

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ダマスカス県カーブーン区で活動を続けてきた反体制武装集団戦闘員とその家族2,289人がイドリブ県に退去(2017年5月14日)

ダマスカス県では、SANA(5月14日付)によると、バルザ区からの反体制武装集団の戦闘員およびその家族のイドリブ県への退去が12日に完了したのに続き、カーブーン区で活動を続けてきた反体制武装集団の戦闘員1,058人と家族1,231人の合わせて2,289人の退去がシリア政府と反体制武装集団の停戦合意に基づき行われた。

戦闘員らはシリア政府が用意した旅客バスに分乗し、カーブーン区をあとにし、イドリブ県方面へと向かった。

SANA, May 14, 2017

シリア人権監視団によると、反体制武装集団戦闘員の家族多数が、イドリブ県に退去するため、ダマスカス県東グータ地方とカーブーン区を結ぶかたちで反体制武装集団が掘削した地下トンネルを通って、カーブーン区に入った。

一方、武器商人の一団がシリア政府が用意した旅客バスに乗ろうとしていた人々に発砲し、少なくとも2人が死亡した。

AFP, May 14, 2017、AP, May 14, 2017、ARA News, May 14, 2017、Champress, May 14, 2017、al-Hayat, May 15, 2017、May 16, 2017、Kull-na Shuraka’, May 14, 2017、al-Mada Press, May 14, 2017、Naharnet, May 14, 2017、NNA, May 14, 2017、Reuters, May 14, 2017、SANA, May 14, 2017、UPI, May 14, 2017などをもとに作成。

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米主導の有志連合は5月12日~13日の2日間でラッカ県、ダイル・ザウル県などを爆撃(2017年5月14日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月12日~13日の2日間のシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

5月12日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し22回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は15回で、ブーカマール市近郊(1回)、フール市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(6回)、ラッカ市近郊(5回)、タブカ市近郊(2回)に対して行われた。

5月13日はシリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対して36回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は22回で、ブーカマール市近郊(2回)、ダイル・ザウル市近郊(3回)、ラッカ市近郊(13回)、タブカ市近郊(4回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, May 14, 2017をもとに作成。

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