米国防総省報道官「シリアに駐留する米軍は約900人。シリア北東部と南東部のタンフ国境通行所の駐屯地に軍事的プレゼンスを維持する」(2021年10月8日)

米国防総省のジェシカ・マックナトリー報道官(海軍中佐)はディフェンス・ワン(10月8日付)に対して、米軍約900人がシリアに駐留し、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とともに活動を続けていることを明らかにした。

マックナトリー報道官は、「我々の任務がダーイシュ(イスラーム国)の弱体化に限られている」としたうえで、「シリア北東部と南東部のタンフ国境通行所の駐屯地に軍事的プレゼンスを維持する」と述べ、撤退の予定がないことを明らかにした。

AFP, October 9, 2021、ANHA, October 9, 2021、Defense One, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2021、Reuters, October 9, 2021、SANA, October 9, 2021、SOHR, October 9, 2021などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がヒムス県中部のT4航空基地をミサイル攻撃、所属不明のドローンがダイル・ザウル県ブーカマール市一帯の「イランの民兵」拠点を爆撃(2021年10月8日)

シリア軍は報道声明を出し、10月8日午後9時33分、イスラエル軍戦闘機が、米主導の有志連合が違法に駐留するヒムス県タンフ国境通行所一帯上空から、同県中部のT4航空基地(対フール航空基地)方向に向かってミサイル多数を発射、シリア軍防空部隊がこれを迎撃、ほとんどのミサイルを撃破したと発表した。

しかし、この攻撃により、シリア軍兵士6人が負傷、若干の物的被害が出た。

SANA(10月8日付)が伝えた。

一方、シリア人権監視団は、イスラエル軍の攻撃により「イランの民兵」複数が死傷したと発表した。

タイムズ・オブ・イスラエル(10月10日付)によると、この爆撃で外国人2人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍の攻撃と前後して、所属不明の無人航空機(ドローン)1機がシリア政府の支配下にあるブーカマール市上空に飛来し、市内にあるアーイシャ病院周辺の「イランの民兵」の拠点複数カ所が攻撃を受け、「イランの民兵」が銃で応戦した。

同監視団によると、ブーカマール市近郊の「イランの民兵」複数カ所で爆発が発生したほか、同市に近いハリー村周辺の砂漠地帯でも爆発が発生した。

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021、Times of Israel, October 10, 2021などをもとに作成。

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リフアト・アサド副大統領が23年ぶりにシリアに帰国(2021年10月8日)

『ワタン』(10月8日付)は、リフアト・アサド元副大統領がシリアに帰国したと伝えた。

同紙のフェイスブックのアカウントは以下の通り伝えている。

フランスでの投獄を防ぐため、アサド大統領はリフアト・アサドの言動に対して寛大に対応、シリアへの帰国を認める。

リフアト・アサドは、欧州で反体制派として30年以上近く過ごした末に、昨日(10月7日)晩ダマスカスに戻った。
『ワタン』が得た情報によると、リフアト・アサドは昨日、ダマスカスに戻った。裁判所で判決が下され、スペインでも財産と資産を没収され、フランスでの投獄を回避するためである。
複数筋が『ワタン』に語ったところによると、バッシャール・アサド大統領は、リフアト・アサドが行ったことをすべてを許し、他のあらゆるシリア市民とまったく同じように、しかし厳しい規則のもとでシリアに戻ることを許した。彼がいかなる政治的、社会的役割を担うこともないだろう。

https://www.facebook.com/AlWatanNewspaper.sy/posts/3074377482885166

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リフアト・アサド氏の経歴は以下の通り。

  • 1937年8月22日、ラタキア県カルダーハ市で生まれる。
  • 1958年、シリア軍に入隊。
  • 1966年2月のクーデタ(2月23日運動)で、治安部隊を率いてアミーン・ハーフィズ国家革命評議会議長とムハンマド・ウムラーン国防相を逮捕。
  • 1969年、サラーフ・ジャディード少将の腹心で情報局長のアブドゥルカリーム・ジュンディー大佐を打倒。
  • 1970年、革命防衛隊を設立。
  • 1971年、バアス党地域指導部のメンバーに選出される。
  • 1970年代半ばから1980年代初めにかけて、革命防衛隊を率いてシリア・ムスリム同胞団の武力弾圧を主導。
  • 1983年11月、ハーフィズ・アサド大統領が心臓発作で倒れたのを機に権力掌握を画策。
  • 1984年3月、アブドゥルハリーム・ハッダーム(当時外務大臣)、ズハイル・マシャーリカバアス党党地域指導部副書記長とともに副大統領(無任所)に就任。
  • 1984年5月、側近や護衛とともに有効実務使節団としてモスクワを訪問(事実上の国外追放)。その後、ジュネーブを経てパリに移動。1985年と1992~1998年にシリアに一時帰国・滞在するも、それ以外はロンドン、パリ、マルベリャ(スペイン)などに滞在。
  • 1984年11月、国家安全保障担当副大統領を任じられる。
  • 1998年2月8日、ハーフィズ・アサド大統領は1998年政令第8号を発し、リファアト・アサドを副大統領職から解任。
  • 2014年、フランス司法当局は、9000万ユーロ相当の資産購入にかかるマネー・ロンダリング、脱税、横領の容疑でリフアト・アサド氏を起訴。
  • 2017年、スペイン司法当局はマネーロンダリングの捜査に関連して、リフアト・アサド氏の資産銀行口座を凍結。
  • 2020年6月、パリの裁判所はリフアト・アサド氏に懲役4年の有罪判決を下すとともに、フランス国内の資産没収を命じた。

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃(2021年10月8日)

アレッポ県では、ANHA(10月8日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のタッル・マディーク村を砲撃した。

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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ダルアー県サナマイン市で元反体制武装集団メンバー、指名手配者、兵役忌避者らが所持していた武器のシリア軍への引き渡しと社会復帰にかかる手続きが続く(2021年10月8日)

ダルアー県では、SANA(10月8日付)によると、サナマイン市に設置された和解センターで、同市と周辺の村々の元反体制武装集団メンバー、指名手配者、兵役忌避者らが所持していた武器のシリア軍への引き渡しと社会復帰にかかる手続きが続けられ、数十人が手続きを済ませた。

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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米主導の有志連合の貨物車輌など約50輌が兵站物資などを積んでイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所から新たに進入(2021年10月8日)

ハサカ県では、SANA(10月8日付)がカフターニーヤ市の複数の地元筋の話として伝えたところによると、米主導の有志連合の貨物車輌など約50輌からなる車列が兵站物資などを積んで、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入し、県内に違法に設置されている米軍基地に向かった。

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県マアーッラト・ナアサーン村を砲撃し3人が負傷し(2021年10月8日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるマアーッラト・ナアサーン村を砲撃し、3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍がカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所から兵員輸送車、武器を積んだ貨物車輌など45輌からなる車列をシリア領内に新たに進入させた。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(イドリブ県6件、ラタキア県2件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3060700640839338

AFP, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で293人、北・東シリア自治局支配地域で275人、アル=カーイダとトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で148人(2021年10月8日)

保健省は政府支配地域で新たに293人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者66人が完治し、8人が死亡したと発表した。

これにより、10月8日現在の支配地内での感染者数は計36,453人、うち死亡したのは2,322人、回復したのは24,365人となった。

https://www.facebook.com/syrianarabnews/posts/618473616202386

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに275人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、8人が完治し、12人が死亡したと発表した。

これにより、10月8日現在の支配地内での感染者数は計29,894人、うち死亡したのは1,000人、回復したのは2,227人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性175人、女性100人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市46人、カーミシュリー市43人、マーリキーヤ(ダイリーク)市20人、ルマイラーン町2人、アリーシャ・キャンプ3人、マアバダ(カルキールキー)町1人、アームーダー市14人、ダルバースィーヤ市17人、アレッポ県のアイン・アラブ(コバネ)市1人、シャフバー地区(タッル・リフアト市)2人、ラッカ県のラッカ市69人、タブカ市39人、ダイル・ザウル県18人。
https://www.facebook.com/smensyria/posts/1700801250109805

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で10月8日に新たに148人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、419人が完治し、2人が死亡したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡2人、イドリブ郡48人、ハーリム郡78人、アリーハー郡0人、アレッポ県スィムアーン山郡3人、ジャラーブルス郡0人、バーブ郡0人、アフリーン郡17人、アアザーズ郡0人。

これにより、同地での感染者数は計76,967人、うち死亡したのは1,407人、回復したのは42,738人となった。
https://www.facebook.com/ACUSyria/posts/1681764682028416

AFP, October 8, 2021、ACU, October 8, 2021、ANHA, October 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2021、Reuters, October 8, 2021、SANA, October 8, 2021、SOHR, October 8, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民390人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は710,687人に(2021年10月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報を公開し、10月7日に難民390人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民357人(うち女性107人、子供182人)、ヨルダンから帰国したのは33人(うち女性10人、子供17人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は710,687人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者314,888人(うち女性94,632人、子ども160,310人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,799人(うち女性118,784人、子ども201,851人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,800,865人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は939,967人(うち女性282,074人、子供479,083人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は101,792人(うち女性39,394人、子供33,547人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,370,388人(うち女性421,953人、子供677,313人)。

https://www.facebook.com/mod.mil.rus/posts/3060698857506183

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 8, 2021をもとに作成。

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