シリア民主軍はシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構がトルコ占領下の「オリーブの枝」地域の南部と西部にひそかに進入し、同地を掌握していると断じる(2022年5月31日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターは声明を出し、シャーム解放機構のメンバーが、トルコの庇護を受ける「傭兵」(シリア国民軍)との合意に基づいて、トルコの占領下にあるアレッポ県アフリーン市一帯のいわゆる「オリーブの枝」地域の南部と西部にひそかに進入し、同地を掌握していると発表した。

AFP, June 1, 2022、ANHA, June 1, 2022、Orient News, June 1, 2022、Reuters, June 1, 2022、SANA, June 1, 2022、SOHR, June 1, 2022などをもとに作成。

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シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県ザーウィヤ山地方、ハマー県ガーブ平原を砲撃(2022年5月31日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、スフーフン村、バーラ村一帯、フライフィル村、バイニーン村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のクライディーン村一帯を砲撃した。

AFP, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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トルコ占領下のバーブ市で、前日に続きIDPs女児強姦事件をめぐって民兵がシリア国民軍憲兵隊本部に詰め寄る(2022年5月31日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市で前日に続いて、ヒムス県タドムル市からの国内避難民(IDPs)の12歳の女児1人が強姦された事件をめぐって、タドムル市出身の民兵らがシリア国民軍の憲兵隊本部の前に集まり、犯人への極刑を求めた。

AFP, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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ロシア軍ヘリコプターがハサカ県のカーミシュリー市からアームーダー市、ダルバースィーヤ市、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町にいたる国境地帯上空に飛来、トルコ軍を牽制(2022年5月31日)

アレッポ県では、ANHA(5月31日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のアキーバ村、ウンム・フーシュ村、ウンム・クラー村、ワフシーヤ村、ダイル・ジャマール村、ザイワーン村、シャッアーラ村、スーガーニカ村の森林地帯、バイナ村を砲撃した。

 

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍ヘリコプター2機が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市からアームーダー市、ダルバースィーヤ市、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町にいたる国境地帯上空に飛来、偵察活動を行った。

偵察活動は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がシリア難民100万人の「自発的」帰還を口実とした新たな軍事侵攻の実施を示唆したことを受けたもの。

AFP, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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カーミシュリー市、ハジーン市(ダイル・ザウル県)、ラッカ市でトルコ軍による断続的な侵略と砲撃に抗議するデモ(2022年5月31日)

ハサカ県では、SANA(5月31日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市の文化センター前で、トルコ軍による断続的な侵略と砲撃に抗議するデモが行われ、多数の住民が参加した。

抗議デモは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がシリア難民100万人の「自発的」帰還を口実とした新たな軍事侵攻の実施を示唆したことを受けたもの。

 

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また、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の共同統治下にあるダイル・ザウル県ハジーン市、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるラッカ県ラッカ市でも同様の抗議デモが行われた。

AFP, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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カーミシュリー市近郊のタッル・ザハブ村の住民がシリア軍検問所の支援を受けて米軍の車列の進行を阻止(2022年5月31日)

ハサカ県では、SANA(5月31日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の支配下にあるカーミシュリー市近郊のタッル・ザハブ村の住民がシリア軍検問所の支援を受けて、村を通過しようとした米軍の装甲車5輌と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の四輪駆動車1輌からなる車列の進行を阻止し、これを退却させた。

AFP, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で1人(2022年5月31日)

保健省は政府支配地域で新たに1人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治したと発表した。

これにより、5月31日現在のシリア国内での感染者数は計55,893人、うち死亡したのは3,150人、回復したのは52,688人となった。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/videos/981888465718888/

AFP, May 31, 2022、ACU, May 31, 2022、ANHA, May 31, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2022、Reuters, May 31, 2022、SANA, May 31, 2022、SOHR, May 31, 2022などをもとに作成。

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NHK総合「おはよう日本」:シリア人傭兵がウクライナでロシア軍の爆撃により死亡(2022年5月31日)

NHK総合の「おはよう日本」(5月31日付)は、シリア人傭兵(「国際義勇兵」)がウクライナでの戦闘で死亡した伝えた。

死亡したのは、アブドゥッラフマーン・アフマドを名乗る男性。

ウクライナ東部ハルキウ州に対するロシア軍の爆撃で死亡したことを、NHK特派員が彼の上官だという男性から電話で伝えられた。

アフマド氏の遺体はその後シリアに移送され、同地で埋葬された。

アフマド氏の父は弁護士で、将来を嘱望されていたが、4年前にシリア領内に対するロシア軍の爆撃で母親ら家族を殺害され、反体制派の戦闘員になった。

ロシアの侵攻を受けるウクライナに共鳴し、同地入りし、ウクライナ軍とともにロシア軍との戦闘に参加していた。

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ニュースは、トルコのイスタンブール支局の佐野圭崇記者がウクライナでロシア軍と戦うシリアの反体制派戦闘員に行ったインタビューをもとに制作された5月17日のNHK Worldのリポート(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/videos/20220517210511912/)の内容を踏襲したもの。

5月17日のリポートでは、佐野記者のインタビューに応じた1人スハイル・ハンムード氏(スハイル・アブー・トウ(TOW))が、ウクライナ行きを決心した理由について、「カネが傭兵になったことの動機の一つだ…。トルコにいる妻と子供にカネを送って、自分たちで生活できるようにするためだ」と述べていた。

32歳のハンムード氏は、シリアでの戦闘に参加することで月20米ドルの報酬を得ていたが、生計を立てることができず、ウクライナで「傭兵」になる道を選んだという。

ハンムード氏はまた、「ウクライナに行くと、月2000米ドルを得られる…。妻にカネを送ることができる」などと述べた。

取材に応じたトルコの難民キャンプに身を寄せている妻も佐野記者のインタビューに対して、ハンムード氏の決断にショックを隠し切れない様子で、彼の身に何か起きたら、身寄りのいないトルコで生活ができなくなり、どうしていいか分からないなどと述べた。

ハンムード氏は3月末にシリアを発ち、4月半ば、妻はウクライナにいる彼からメッセージを受け取ったが、それ以降連絡が取れていないという。

一方、リポートは、傭兵の1人アブドゥッラフマーン・アフマド氏は、ウクライナで教練を行い、部下に対して「あそこにロシア兵がいると思って狙え…。我々がすべきは、多くのロシア兵を殺すことだ」と指導する様子を紹介した。

28歳のアフマド氏は、300人の部下とともにウクライナのために戦っているという。

アサド政権を支援するロシア軍が行った爆撃で5年前に母と弟を亡くした彼は、インタビューで「カネや信仰が動機ではない…。母と弟の仇をとりたい…。殺されてもいい」と答えている。

アフマド氏によると、ウクライナには自分が経験したのと似た状況があり、「ウクライナもシリアと同じように侵略を受けた…。私はウクライナの人々とともにある…。私はロシアを追い出すまで戦う」との決意を述べた。

彼の所在がシリアで最後に確認されたのは3月末。

その後、5月初め、NHKに対して、アフマド氏についての情報を得た。彼が所属する武装組織のリーダーは、彼はウクライナで死んだことを明かした。

司令官は「これは死んだ兵士のビデオだ…。私はこの若い男性がアブドゥッラフマーンだと分かった」と述べた。

彼が所属する武装組織のリーダーによると、彼はハルキウの前線でロシア軍の攻撃によって10人の兵士とともに殺害された。

アフマド氏の遺体はトルコを経由してシリアに移され、埋葬されたという。

アフマド氏ら傭兵は、トルコから貨物機でウクライナに移送されたという。

武装組織のリーダーによると、3,000人の傭兵がウクライナ入りし、「仲介者」を通じてウクライナ軍の指揮下に入っているという。

なお、対するアサド政権側は、40,000人がウクライナ行きを希望して登録を済ませており、ロシアは前線での戦闘に参加するシリア人には月7,000米ドル、それ以外の任務に就いた場合は月3,000米ドルを支給することを約束しているという。

シリアからウクライナに行っているのは「義勇兵」ではなく、カネで雇われている「傭兵」だが、トルコのウクライナ大使館は、シリアからの「義勇兵」はいないとNHKの取材に答えている。

また、中継地となっているトルコはシリアの反体制派に資金援助、教練を行っているが、トルコ外務省の報道官もシリアの反体制派がウクライナに入ったことについては否定している。

NHK, May 17, 2022、May 31, 2022をもとに作成。

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