トルコのエルドアン大統領はロシアが、シリア北部からのテロリスト一掃を定めたトルコとの合意を遵守していないと批判(2022年11月22日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、ロシアが2019年10月の「平和の泉」作戦に際して交わした停戦合意を遵守していない、と批判した。

エルドアン大統領は以下のように述べた。

我々は、2019年にソチでロシア側と協定を結んでいる。ロシアはテロリストの地域(シリア北部)から一掃する責任がある。我々はロシアにこのことを繰り返し思い出させようとしたが、ロシアは責任を果たさなかった。我々はロシアが責任を果たしていないと告げてきた。

この発言に対して、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「ロシアとトルコは、シリアの安全保障に関する問題において、解釈や意見の違いがある」としつつ、「2人の大統領(ヴラジーミル・プーチン大統領とエルドアン大統領)はこうした意見の違いについても繰り返し議論を重ねてきた」と述べ、反論した。

RIAノーヴォスチ通信(11月22日付)が伝えた。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、RIA Novosti, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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米仏独はトルコのシリア、イラクに対する「鉤爪」作戦を非難(2022年11月22日)

米国務省は、トルコが19日に開始したシリア北部とイラク北部に対する「鉤爪」作戦について、民間人の命を守り、ダーイシュ(イスラーム国)を敗北させるという共通の目標を支えるため、シリアでの事態悪化を止めねばならない」と表明、「イラクにおいてその主権を侵害するような調整なき軍事行動に断固として反対する」と非難した。

一方、米国防総省の高官はロイター通信(11月22日付)に対して、シリア各所に違法駐留を続ける米軍部隊が「シリアとイラクでのトルコの軍事作戦によって危険に晒されてはない」と述べた。

このほか、ジョン・カービー米国家安全保障会議(NSC)の戦略広報調整官は「鉤爪」作戦への対応に関して、ロシアと協議してはいない、と述べた。

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フランスのカトリーヌ・コロンナ外務大臣は、「テロに立ち向かうトルコの安全保障上の懸念を理解している」としつつ、「しかし、このような手段、このような方法ではない」と述べた。

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ドイツ外務省報道官も、声明で「国際法を尊重した適切な方法で対応」するようトルコに呼びかけた。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるラタキア県、アレッポ県を砲撃(2022年11月22日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方のカッバーナ村一帯を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフル・ヌーラーン村、アスアウス村一帯を砲撃した。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍はダイル・ザウル県を初めて爆撃し、シリア民主軍特殊部隊戦闘員を殺傷(2022年11月22日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(11月22日付)によると、トルコ軍戦闘機複数機がダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるマクマン村を5回にわたって爆撃した。

トルコがダイル・ザウル県に対して爆撃を実施するのはこれが初めて。

シリア人権監視団によると、この爆撃で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍特殊部隊の戦闘員1人が死亡、1人が負傷した。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍はハサカ県にある米軍とシリア民主軍YATの合同基地を爆撃(2022年11月22日)

ハサカ県では、ANHA(11月22日付)によると、トルコ軍が正午頃、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ市北に設置されている米軍と、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍テロ撲滅部隊(YAT)の合同基地を無人航空機(ドローン)で爆撃し、YATのメンバー2人が死亡、司令官1人を含む3人が負傷した。

シリア人権監視団によると、爆撃が行われたのはハサカ市北のワズィール休憩所(イスティラーハト・ワズィール)。

トルコ軍はまた、カフターニーヤ(ディルベ・スピーイェ)市近郊の石油採掘施設3ヵ所をドローンで4回にわたって爆撃したほか、タッル・タムル町近郊のアウジャ村を3回にわたって爆撃した。

トルコ軍はさらに、カーミシュリー市の国境通行所(トルコ側はヌサイビーン国境通行所)を砲撃し、シリア軍兵士1人が負傷した。

このほかにも、カフターニーヤ市近郊のカルダーフール村、ダクリー村、ルーターン村、カルキー・シャームー村、カーミシュリー市のアリー・ファッルー交差点、同市近郊のタッル・ザイワーン村、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊のタッル・ワルド村、ルバイア村、ウンム・ムハルマラ村、タッル・アミール村、カスラー村、アサディーヤ村、ブービー村、ダーダー・アブダール村、ハドラーウィー村、ウンム・アシュバ村、アームーダー市近郊のタッル・カイフジー村、シューラキー村、ハースィダ村、シャームルルー村、カーミシュリー市近郊のハラム・シャイフー村、タッル・ザイワーン村、ハイムー村近郊のガソリン・スタンド、タッル・タムル町近郊のウンム・ハイル村、タッル・タウィール村、クーザリーヤ村、クブール・ガラージナ村を砲撃した。

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ラッカ県では、ANHA(11月22日付)によると、トルコ軍は占領下のタッル・アブヤド市に近いハーニー村を砲撃した。

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シリア人権監視団によると、トルコ軍による22日の攻撃で、シリア民主軍兵士4人、シリア軍兵士3人が死亡した。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍がアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市を爆撃、タート・マラーシュ村に対する砲撃で白リン弾、化学兵器を使用か?(2022年11月22日)

アレッポ県では、ANHA(11月22日付)によると、トルコ軍戦闘機複数機がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・アラブ(コバネ)市を爆撃した。

トルコ軍はまた、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市、同市近郊のハルバル村、ワフシーヤ村、マンナグ航空基地、アルカミーヤ村、カフル・アントゥーン村、タート・マラーシュ村、イルシャーディーヤ村、アフラス村一帯、シャイフ・イーサー村、マンビジュ市近郊のムフスィンリー村、フーシャリーヤ村、ズール・マガール村、ジャールカリー村、ズィヤーラ村、アイン・アラブ市近郊のカラ・ムーグ村、クーラーン村、サリーム村、アーシマ村、クール・アリー村を砲撃した。

このうち、カフル・アントゥーン村、タート・マラーシュ村、イルシャーディーヤ村に対する砲撃ではシリア軍兵士1人が死亡、マンナグ航空基地に対する砲撃ではシリア軍兵士2人が死亡、2人が負傷した。

また、タート・マラーシュ村に対する砲撃では白リン弾が使用された。

タート・マラーシュ村に対する砲撃に関して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は声明を出し、化学兵器が使用されたことを確認したと発表した。



一方、シリア人権監視団によると、トルコ軍による砲撃に対抗して、シリア軍がトルコ占領下のいわゆる「ユーフラテスの盾」地域のバーブ・サラーマ国境通行所一帯(国内避難民(IDPs)キャンプ群の近く)、マーリア市一帯を砲撃した。

砲弾の一部はトルコ領内に着弾した。

また、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にある地域から発射された砲弾複数発がアアザーズ市、同市近郊のカルジャブリーン村に着弾し、アアザーズ市で子供1人を含む5人が死亡、3人が負傷した。

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ANHA(11月23日付)によると、トルコ軍の砲撃は過去24時間で1,300回に及び、26ヵ所が標的となり、シリア軍兵士5人が負傷した。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、November 23, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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ハサカ県で盗奪した石油を積んだタンクローリー44輌からなる米軍の車列が、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所を経由してイラク領内に移動(2022年11月22日)

ハサカ県では、SANA(11月22日付)によると、県内で盗奪した石油を積んだタンクローリー44輌からなる米軍の車列が、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所を経由してイラク領内に移動した。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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カザフスタンでアスタナ19会議開幕:ロシアのラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は、米国にシリア北部からの部隊撤退を、「鉤爪」作戦を行うトルコに自制を求める(2022年11月22日)

カザフスタンの首都アスタナで、アスタナ19会議が2日間の日程で開幕した。

会議には、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官を団長とするシリア政府代表団、アレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使を団長とするロシア代表団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を団長とするイラン代表団、セダト・オナル外務大臣補を代表とするトルコ代表団、反体制派代表団が参加するほか、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)代表、赤十字国際委員会、レバノン、イラク、ヨルダンなどの代表者がオブザーバーとして参加ている。

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ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は、会議開催の直前に記者らに対して、シリア各所に違法駐留を続ける米軍が撤退することが、シリア情勢の安定化に資すると述べた。

一方、トルコが19日に開始したシリア北部とイラク北部に対する「鉤爪」作戦については、「ロシアは、トルコがシリアで過剰な軍事力を行使することを控えるべきだと考えている」と述べ、トルコに自制を求めた。

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スーサーン外務在外居住者省次官を団長とするシリア政府代表団はペデルセン・シリア問題担当国連特別代表と会談し、シリア及び中東地域情勢の進展について意見を交わした。

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スーサーン外務在外居住者省次官を団長とするシリア政府代表団はまた、ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使を団長とするロシア代表団と会談し、シリア及び中東地域情勢の進展について意見を交わした。

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SANA(11月22日付)が伝えた。

AFP, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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シリア政府支配地域での新型コロナウイルスの新規感染者は1人、コレラ感染者総数は1,492人に(2022年11月22日)

保健省は政府支配地域で新たに1人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者1人が完治したと発表した。

これにより、11月22日現在のシリア国内での感染者数は計57,390人、うち死亡したのは3,163人、回復したのは54,220人となった。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/posts/pfbid01LVZeRg7Mz7oNBMu5iNEXt8BAiJ5HsSCy2iZ5674yBwws9zBvyv94Z4LCTLt18Tcl

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保健省はまた、コレラ感染者数に関して、感染者数が1,492人に達し、うちこれまでに49人が死亡したと発表した。

感染者数の県別内訳は、アレッポ県909人、ダイル・ザウル県224人、ハサカ県87人、ラタキア県86人、ラッカ県54人、ハマー県32人、スワイダー県26人、ヒムス県25人、ダマスカス県18人、ダマスカス郊外県14人、タルトゥース県9人、ダルアー県5人、クナイトラ県3人。

死者の県別内訳は、アレッポ県49人、ハサカ県4人、ダイル・ザウル県2人、ヒムス県1人、ハマー県1人、ダマスカス県1人。

https://www.facebook.com/MinistryOfHealthSYR/posts/pfbid02ajSdbikjVfWvhs1K5EWeUZsDFEAXutMSPatosP16Z36cpMntaMiP4LAbhjqVeMaKl

AFP, November 22, 2022、ACU, November 22, 2022、ANHA, November 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2022、Reuters, November 22, 2022、SANA, November 22, 2022、SOHR, November 22, 2022などをもとに作成。

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